事業の承継7 もう一人の娘婿
もし,後継者が,イソップの寓話「三人のレンガ職人」の一人目のように,ひび割れた両手を見せながら,日がな一日のレンガ積みの仕事の苦しさを訴えるような人間なら,“事業の承継など,やめなはれ!”と言ってあげるべきでしょう。
そうでないと,可愛い子に,苦役の軛を嵌めることになるからです。
もし,後継者が,二人目のレンガ職人のように,家族を食べさせるために壁を作っているのだ,と答えるような人間なら,聖書の文句を引用して,“人はパンのみにて生くる者に非ず”と教えてあげるべきでしょう。
そうすれば,息子は他に生きがいとなる仕事を探すかもしれないからです。
もし,後継者が,三人目のレンガ職人のように,目を輝かせながら,自分は,歴史に残る偉大な大聖堂を作っているのだ,と答えるような人間なら,慶び,喜ぶべきでしょう。
子の幸福,これに勝るものはないからです。