賢い事業承継の手順 7 除外合意や固定合意を結ぶ際に結べる他の合意も利用した遺留分対策が可能
一つの会社に,二人の覇気横溢した息子がいるという場合,しかも,いずれもが,われ王とならん,王佐の才は持ち合わさぬ,と考えている場合,このような会社の経営者は,喜ぶべし,です。
この場合は,「ロスチャイルド家の5本の矢」に学ぶべし。
「ロスチャイルド家の5本の矢」 とは,ロスチャイルド家の紋章のことです。
この紋章は,1822年にオーストリア政府(ハプスブルク家)より、ロスチャイルド家に,男爵の称号とともに授けられたものですが,この紋章の中に,ロスチャイルド家の祖であるマイアー・ロスチャイルド(1744-1812年)の五人の息子,それぞれの家系を象徴した五本の矢が,一つの手に握られた図が描かれています。
マイアー・ロスチャイルドは,フランクフルトのゲットー(ユダヤ人の居住区)で生まれ育ち,古銭商から身を起こし,領地と城を持つ伯爵家を顧客とし,その宮廷御用商になるなどして地盤を固め,以後,銀行業その他の事業を始め,成功させていきます。
やがて,彼は,五人の息子を,フランクフルト(長男アムシェル)、ウィーン(二男ザロモン)、ロンドン(三男ネイサン)、ナポリ(四男カール)、パリ(五男ジェームス)に行かせ,五か所を拠点に銀行業などの事業を拡大させていきます。
ロスチャイルド家の紋章に描かれた五本の矢は,この五家のことで,それを握った手は,堅い結束を象徴するものです。
会社経営者が,自社を,誰に承継させるかは,難しい問題です。
会社の株主は,会社を支配できる株主と,支配できない株主に,はっきり分かれるのが,現在の会社法ですので,会社を一つにしておいた場合,一将功成って万骨枯る,ということも起こりかねません。
有能な後継者候補者が複数いるような場合,会社を分社化して,それぞれの後継者に,独立して会社を任せる方法をとって,成功したケースが,多々,あります。
我が国にも,古くから,商家においては,のれん分けの風習もあり,事業の分割は,よく見られるところです。
法律的には,会社の分割や事業譲渡になりますが,これはオーナー社長には,簡単にすることができます。
経営者たる者,一度は考えるべき問題です。
「ロスチャイルド家の5本の矢に学ぶべし」です。