公用文用語 もと(「下」と「元」と「基」)の使い分け
Q 「公用文における漢字使用等について」第1項⑵では,
ア 次のような代名詞は,原則として,漢字で書く。
例 俺 彼 誰 何 僕 私 我々
と書かれ,ここでは「誰」という代名詞は,原則として漢字で書くものとされています。
しかしながら,同じ「公用文における漢字使用等について」第1項(2)の中で,
キ 次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
例 ・・・・・
できる(だれでも利用ができる。)
と書かれ,ここでは「だれ」は平仮名で書かれております。
「だれ」と読む単語が,一方で原則だとされる「誰」と漢字で書かれ,他方で「だれ」と平仮名で書かれていることを,矛盾なく説明できるのか?
A
無論,できます。
法則は,漢字はその固有の意味を訴求する歌舞伎役者であり,平仮名は固有の意味を持たない黒子だと教えているところですので,漢字固有の意味を訴える場面では漢字の「誰」」,そうでない場面では平仮名の「だれ」と書き分ければよいのです。
ところで,漢字の「誰」には,特定の人物の正体を問う意味が含んでいますが,その意味で「だれ」と読む単語を書く場合は,漢字で書かなければなりません。これが原則的な使用になります。
しかしながら,「だれ」という読みの単語を使う場合でも,特定の人物の正体を問う意味が含まれないものなら,漢字では書けず,平仮名で書かなければなりません。したがって,「だれでも利用できる。」という,文又は語句を書く場合は,「だれ」という語に訴求力はありませんので,平仮名で書くことになるのです。