コラム
(補説) 隣家の住人が難しい人や怖い人であれば,これも瑕疵
2015年11月5日
(1)難しい人
大阪高裁平成16.12.2判決は,子供のいる人に対し,「子供がうるさい」と怒鳴ったり,洗濯物に水をかけたり,泥を投げつけるような住民が隣家にいることを瑕疵と認め,土地建物の価格の20%に相当する456万円が瑕疵による損害であると認めました。
(2)怖い人
東京高裁平成19.12.25判決は,警察からの情報では暴力団関係者の可能性ある人物が,脅迫的言辞をもって隣地に家を建てさせないと言ったため,隣地を購入した人が家を建てることができなくなった事件で,その宅地の15%が減価するほどの「隠れた瑕疵」があると認定しています。
なお,この事件の一審判決は,瑕疵による損害を,土地購入代金の30%の減価があるとして、1551万円と判示しましたが,高裁判決は,隣家の怖い人の,家を建てるなという要求が,宅地全体に及んでいるのではなく,一部であること,残りの土地だけでも建物を建築することは可能であることを考慮し,宅地の減価を15%であるとして、775万5000円に変更したものです。
なお,高裁判決の,この件でいう瑕疵とは,「目的物の通常の用法に照らし、一般人であれば誰もがその使用の際に心理的に十全な使用を著しく妨げられるという欠陥、すなわち一般人に共通の重大な心理的欠陥」であると判示しています。
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