コラム
23 冠水被害を受けやすい宅地は瑕疵なのか?
2015年11月15日 公開 / 2015年11月16日更新
地域性は,土地の瑕疵にあらず
その地域性は,土地の価格に反映せり
これが,裁判所の一般的な認識です。
冠水被害を受けやすい宅地は瑕疵ある宅地ではないが,宅建業者は,そのことを知っておれば,買主に説明する義務があるが・・・との裁判例
1 瑕疵ではない
東京高裁平成15.9.25判決は、
地盤が低く、降雨等により冠水しやすいという土地の性状は、通常、付近一帯の土地の価格評価に織り込まれていること、また、道路の排水設備の整備等によって改善されうる性質のものであることからして、独立して瑕疵であることを認めることは困難である、判示しました。
東京地裁平成19.1.25判決も、また、東京地裁平成19.10.30判決も、同じ結論です。
2 瑕疵でなくとも、告知義務はあるか?
東京高裁平成15.9.25判決は、
売主が宅建業者としての地位にある場合,当該業者は,宅地建物の専門的知識を有するのに対し,購入者はそのような知識に乏しく,専門家を信頼して宅地建物を購入するのであるから,売主たる当該業者は,この面からも,売買契約に付随する信義則上の義務として,その取引物件に関する重要な事柄については,これを事前に調査し,それを購入者に説明する義務を負うというべきである,と判示しております。
もっとも,この事件では,場所的・環境的要因からする土地の性状は,当該土地の用途地域(工業地域,住居専用地域)などと異なり,簡便に調べられる事柄ではないので,当該業者が上記のような土地の性状に関する具体的事実を認識していない場合には,説明義務はない,と判示しております。
東京地裁平成19.1.25判決も、また、東京地裁平成19.10.30判決も、同じ結論です。
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