民法と税法 低額譲渡の基準となる「時価の2分の1未満の価額」の射程範囲
主債務者が無資力の場合は、課税されません。
所得税法64条2項は、「保証債務を履行するため資産の譲渡があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額」については、「なかつたもの」とみなされますので、譲渡代金から回収不能金額を控除した結果、譲渡所得がない場合は、非課税になります。
ただし、主債務者に資力がないため求償権の行使が不可能であることを知りながら、あえて保証人になった場合は、いわば保証人から主債務者へ贈与したに等しく「求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたとき」に該当せず、この規定の適用を受けることはできません。
ただ、主債務者の債務が借り換え債務で、保証人が借り換え前の債務の保証人でもある場合は、主債務者の資力については、借り換えした時点ではなく、借り換え前の借入時を基準に判断されます(さいたま地裁平成16.4.14判決)ので、借り換え前の借入れ当時、主債務者が無資力者でなければ、その後無資力者になった後の借り換え債務について保証した場合は、その履行のため、資産を売却したとき、上記規定が適用になり、求償権が行使できない金額は譲渡価格から控除され、課税されません。