民法と税法 低額譲渡の基準となる「時価の2分の1未満の価額」の射程範囲
いいえ。原則として、かかりません。
昭和43年11月25日大阪地方裁判所判決は、妻が夫から無償で土地を借受けた場合、つまり使用貸借契約を結んだ場合、借主である妻は、その契約によって無償で利益を受けているが、その利益は、通常権利金が支払われる地域であっても、権利金を支払わないですんだことによる権利金相当額ではなく、妻が夫に支払わずにすんだ賃料相当額である、と判示し、使用貸借契約では権利金の認定課税を認めませんでした。
国税庁は、この判決を契機に、相続税法(相続税と贈与税)の取扱いを変更し、相続税個別通達昭48直資2-189「使用貸借に係る土地についての相続税お呼び贈与税の取扱いについて」で、取扱いを整備し、使用貸借の場合は権利金の認定課税をしないこと、地代相当の贈与についても、その金額が少額である場合や課税上弊害がないと認められる場合には贈与税は課税しないことにしました(相基通9-10)。
参考(国税庁のQ&Aより)
親の土地に子供が家を建てたとき [平成17年4月1日現在法令等]
土地の貸し借りが行われる場合に、借り手は地主に対して地代を支払います。
権利金の支払が一般的となっている地域においては、地代のほか権利金などの一時金を借地権設定の対価として支払うのが通例です。しかし、親の土地に子供が家を建てたときに地代や権利金を支払うことは通常ありません。
このように地代も権利金も支払うことなく土地を借りる場合を土地の使用貸借といいます。
親の土地を使用貸借して子供が家を建てた場合、子供が親から借地権相当額の贈与を受けたことになるのではないかという疑問が生じます。
しかし、使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われていますので、この場合、子供に借地権相当額の贈与税が課税されることはありません。
この使用貸借されている土地は将来親から子供が相続する時に相続税の対象となります。相続税の計算のときのこの土地の価額は他人に賃貸している土地ではなく自分が使っている土地として評価されます。つまり、貸宅地としての評価額でなく更地としての評価額になります。(昭48直資2-189)
<注意>
なお、使用貸借契約を結んでも税金がかからないというのは、地主、借主とも個人の場合だけです。法人が関与しますと、税金がかかりますので、注意が必要です。