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債権法改正 請負③ 請負人の担保責任の期間の制限

菊池捷男

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テーマ:債権法改正と契約実務

(請負人の担保責任の制限)
第636条 請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
第637条 前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

2 前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

【コメント】
第636条は,実質的な改正ではない。
第637条は,現行法が「・・・瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、『仕事の目的物を引き渡した時』から1年以内にしなければならない。」とあるのを,『注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知』するだけで,履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができることにしたのである。
通知をするだけで,履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除ができることになるが,これらの請求や解除は,債権に関する消滅時効の規定の適用を受け,5年内にしないと時効消滅することになる。

なお,現行法の638条では,建物その他の土地の工作物の請負人には,5年(普通の建物)と10年(鉄筋コンクリート造りなど)の担保責任期間を設けているが,改正法でこの規定は削除されるので,建物など土地の工作物についての担保責任も,改正法637条が適用になる。
2項は,新設規定である。このような請負人は保護の必要がないからである。

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