債権法改正 大改正。債権の原則的な消滅時効期間は5年になる。短期はなし
(転貸の効果)
第613条 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
2 前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。
3 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
【コメント】
現行法の1項前段の「転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。」という言葉を,「転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。」と改めたもの。
現行法では,転借人の負う義務は誰の義務なのか,どの範囲の義務なのかが明確ではないため,改正法で,
①転借人の義務とは,転借人の転貸借契約に基づく転貸人(賃借人)に対する債務であること,
➁その履行先は賃貸人であること,
③しかし賃貸人に履行する限度は,賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲になること
(判例法理)を明確にしたもの。
例えば,賃貸人甲と賃借人乙とは建物を月10万円で賃貸し,その建物を乙が転借人丙に月12万円で転貸している場合,丙は甲に対し,月10万円の限度で支払義務を負うというこである。そして,丙がその債務を履行した場合は,残りの月2万円の債務は乙に支払うことになる。
3項は,諸説対立していたところを,判例法理で明文化した重要な改正条項である。熟読玩味されたい。