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債権法改正 画期的改正・法定利率の変動制移行・逸失利益が増額

菊池捷男

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テーマ:債権法改正と契約実務

本コラムは,本年3月31日に国会に上程された債権法改正案です。

(法定利率)
民法第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年3パーセントとする。
3 前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。
4 各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。
5 前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の6年前の年の1月から前々年の12月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が1年未満のものに限る。)に係る利率の平均をいう。)の合計を60で除して計算した割合(その割合に0.1パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。

コメント
 大改正である。実務に影響すること実に大きい。
 現行法の下では,法定利率は,民事で年5%,商事で年6%であるが,改正法の下では,民事、商事を問わず、年3%になることと、3年ごとに変動することにしたのである。
 これまで、法定利率と市場金利の間には大きな乖離があった。その乖離がいくらかは是正されたといえよう。
 この影響は、交通事故による逸失利益の損害賠償額が、年5%の割合で中間利息が控除された後の金額であるものが、その中間利息が年3%の割合で控除されることになるので、支払われる逸失利益が増額になるなどの影響が出てくる。
 なお、この改正に伴い、商法第514条は削除することになる。

(金銭債務の損害賠償額の算定に関する特則)
民法第419条第1項
金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

コメント
現行法は、単に「法定利率」と規定しているところを、改正法では、「 債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率」と改めた。いうまでもなく、法定利率が変動することになったからである。


(中間利息控除)
民法第417条の2  将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。
2 将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。

コメント
交通事故による後遺症に基づく逸失利益は、後遺症が発生した時点ではなく、交通事故に遭った日の法定利率で計算されることになることが明確にされた

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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