改正法の下では、特別損害の範囲が変わる 主観から客観へ
本コラムは,本年2月に公表された債権法改正要綱案を前提にしています。
要綱案は,その後,本年3月31日に債権法改正案になって国会に上程され,現在審議中です。
要綱案と改正案では,実質的な違いはありませんが,部分的には,用語や表現が違うところがあります。
いずれ,本コラムは,法律改正がなされた後で,正しい条文を紹介した上で,補足させていただく予定です。
それまでの間,要綱案の説明で,ご容赦ください。
5 自己契約及び双方代理等
民法第108条
(1) 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
(2) (1)本文に定めるもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
コメント
現行法の条文では,自己契約や双方代理をした場合の法律効果が明記されていないうらみがある。
(1)で,これを明記し,(2) は,形式的には,現行の108条には違反しないが,判例によってその趣旨が及ぶとされたものを明文化したもの。
これまでの判例法を条文にした規定
6 代理権の濫用
第○○条(新設)
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方が当該目的を知り、又は知ることができたときは、当該行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
コメント
判例の条文化である。