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労働 大学の教員等の無期転換権

2015年4月6日

テーマ:労働

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 退職 手続き

大学の教員等の任期に関する法律という法律があります。
その内容を抜粋することにしますが,番号は,条文の番号と同一のものです。
1,目的
 この法律は,「任期を定めることができる場合その他教員等の任期について必要な事項を定めること」を目的としたもので,これにより、「大学等への多様な人材の受入れを図り、もって大学等における教育研究の進展に寄与することを目的とする」法律です。
2,言葉の定義ですが,
①大学とは,学校教育法に規定する大学をいい,
②教員とは,大学の教授、准教授、助教、講師及び助手をいい,
③教員等とは,教員と国立大学法人法に規定する大学共同利用機関法人等の職員のうち専ら研究又は教育に従事する者を併せていわれ,この法律の適用(と準用)を受けます。
④任期とは,教員等との労働契約において定められた期間であって、当該期間の満了により退職することとなるものをいいます。
3,公立の大学の教員の任期に関しては,公立の大学の学長は、教育公務員特例法に規定する評議会(評議会を置かない大学にあつては、教授会)の議に基づき、当該大学の教員(常時勤務の者に限る)について、任期を定めた任用を行う必要があるときは、教員の任期に関する規則を定めなければならず,教員の任期に関する規則を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないことになっています。
4,略
5,教員の任期について,
国立大学法人、公立大学法人又は学校法人は、当該国立大学法人、公立大学法人又は学校法人の設置する大学の教員について、
一  先端的、学際的又は総合的な教育研究であることその他の当該教育研究組織で行われる教育研究の分野又は方法の特性にかんがみ、多様な人材の確保が特に求められる教育研究組織の職に就けるとき。
二  助教の職に就けるとき。
三  大学が定め又は参画する特定の計画に基づき期間を定めて教育研究を行う職に就けるとき。
のいずれかに該当するときは、労働契約において任期を定めることができます。
この場合は,あらかじめ、当該大学に係る教員の任期に関する規則を定めておかなければなりません。そして,教員の任期に関する規則を定め、又はこれを変更しようとするときは、当該大学の学長の意見を聴くものとされ,かつ,公表するものとされています。
なお,この任期を定めたことで,教員が当該任期中(当該任期が始まる日から一年以内の期間を除く。)にその意思により退職することを妨げるものであってはならないとされています。
6,略
7,任期の定めがある労働契約を締結した教員等の当該労働契約に係る労働契約法第18条第1項 の規定の適用については、同項 中「5年」とあるのは、「10年」とされています。

 つまり,労働契約法18条により,付与せらた無期転換権に関する,労働契約法18条1項「・・・通算契約期間・・・が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。・・・この場合において、・・・労働条件は,現に締結している有期労働契約の内容である労働条件・・・と同一の労働条件・・・とする。」との規定の中の「五年」が「十年」とされたのです。

 この無期転換申込権の発生までの期間が10年を超える場合になった特例規定は平成26年4月1日から施行されています。
 なお,学生として大学に在学していた間に,TAティーチング・アシスタントなどとして雇用されていた場合の期間は,通算期間に算入されません。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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