弁護士と格言 口論乙駁は,コンセンサスを求める場にふさわしからず
弁護士は、特殊専門的な職業であり、資格です。
一般の人には、そこまでの量と質を兼ね備えた知識は持っていないであろうと思える、法律知識を、持つことが当然だとされる存在です。
その知識の仕入れ先は法律であり、判例であり、裁判例です。
あるいは、裁判実務の中で得られた種々の情報です。
この知識は絶対に必要です。
常に知識を増やし、学ぶ努力は欠かせません。
それなくして弁護士なし、というくらいに重要なものなのです。
しかしながら、その分、弁護士の情報源は、社会一般から見ると、偏っています。
偏っているということは、物事を見る目が、価値観が、物事の正邪に対する判断が、そして行動が、法律を基礎としたものに縛られやすいという,偏見の呪縛に陥るリスクがある,ということになります。
一般の人は、弁護士が陥るかもしれない偏見の呪縛の外にいます。弁護士とは違った価値観や思考方法で、本能的に物事の適否や正邪を嗅ぎわける嗅覚を持っています。
それは、一般の人が、それぞれ住む世界で得た特殊な知識、特殊な経験、その世界で学んだ知恵、養われた価値観が、それぞれ違う形で存在しているからです。
ですから、弁護士は、自分の分野では、自信をもって人に教えることができても、他の分野では、一般の人から謙虚に学ぶことが必要です。
専門に特化しながら、専門外から謙虚に学ぶ。
弁護士に限らず、社会に生きていくすべての人にいいうることではないかと思います