コラム
自治体私債権の回収マニュアル③ 債権管理
2014年12月23日
自治体の有する債権については,次の事柄はいつでも分かるように記録しておくべきです。
1,債権の特定
例:○○市○○条例に基づく○○資金貸付金
貸付金年月日 平成 年 月 日
債務者 ******
貸付金 金○○万円
2,弁済期限 これは時効完成日を知るために必要な事柄です。
なお,貸付金で分割弁済の約束のある債権のような場合は,最初の弁済日と最終の弁済日。ただし,期限の利益を喪失している場合は,期限の利益喪失日に変更しておくこと。時効期間は,期限の利益喪失の日から(初日不算入の原則によりその翌日を起算日に)進行します。
注意事項①:期限の利益の喪失原因が,催告による場合と,催告なしに到来する場合があるので,注意が必要です。
注意事項②:期限の利益喪失約款が書かれていない債権の場合は,すでに履行期の到来した分割弁済額しか請求できず,期限未到来の金額については請求できませんが,すでに期限が到来した分割債務の不払いを理由に,契約を解除すると,残額一時に請求できますので,時効期間の開始日も早くなります。
3,債権証書の原本の保存場所
4,連帯保証人の住所,氏名
5,債務者及び連帯保証人の死亡年月日,相続人の住所氏名及び法定相続分
6,債権の弁済記録
7,遅延損害金の率(自治体の場合,多くは,遅延損害金までは請求しないので不要と思えば書かないでもかまいません。)。
8,消滅時効期間の満了の日
この日を経過した債権は,裁判の手続をとっても,負けてしまいますので,費用と労力が無駄になり,手続をとるメリットはありません。
関連するコラム
- 自治体のする契約 2 私法上の契約と公法上の契約 2013-09-11
- 地方行政 臨時職員と労働契約法18条による無期転換請求権 2015-05-28
- 地方行政 4 行政財産の目的外使用許可から賃貸借契約締結へ 2013-03-09
- 地方自治 概算払と前金払の違い 2015-03-13
- 自治体がする契約 14 単年度主義と長期継続契約 2013-09-27
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。