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自治体私債権の回収マニュアル④ 分割納付(分納)

2014年12月24日 公開 / 2014年12月25日更新

テーマ:地方行政

コラムカテゴリ:法律関連

1,履行期限の延長等
 地方自治法240条3項は「普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その徴収停止、履行期限の延長又は当該債権に係る債務の免除をすることができる。」と定め,これを受けて,地方自治法施行令171条の6で,履行期限の延長又は当該債権に係る債務の免除ができる理由を定めています。

2,履行期限の延長としての分割納付(分納)
 通常は,滞納者に分割誓約書を差し入れてもらって分割納付してもらっています。
分割納付書に,期限の利益喪失約款をいれてもらうのが通常です。

3,いきなり訴訟提起をするのは相当ではない
いきなり訴訟提起をするのは,相当ではありません。滞納者と協議を尽くし,まずは,分割納付の約束をしてもらい,分納に努力してもらうべきです。
その場合,人的(保証人)・物的(抵当権など)担保を徴求するべきでしょうが,それが得られなくとも,分納は認めるべきです。
なお,分納誓約書の差し入れは,消滅時効の中断事由である「債務の承認」になりますので,その点でも,その徴求は励行すべきです。


参照:
地方自治法240条 この章において「債権」とは、金銭の給付を目的とする普通地方公共団体の権利をいう。
2 普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その督促、強制執行その他その保全及び取立てに関し必要な措置をとらなければならない。
3 普通地方公共団体の長は、債権について、政令の定めるところにより、その徴収停止、履行期限の延長又は当該債権に係る債務の免除をすることができる。

地方自治法施行令171条の6 普通地方公共団体の長は、債権(強制徴収により徴収する債権を除く。)について、次の各号の一に該当する場合においては、その履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合において、当該債権の金額を適宜分割して履行期限を定めることを妨げない。
一 債務者が無資力又はこれに近い状態にあるとき。
二 債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、その現に有する資産の状況により、履行期限を延長することが徴収上有利であると認められるとき。
三 債務者について災害、盗難その他の事故が生じたことにより、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であるため、履行期限を延長することがやむを得ないと認められるとき。
四 損害賠償金又は不当利得による返還金に係る債権について、債務者が当該債務の全部を一時に履行することが困難であり、かつ、弁済につき特に誠意を有すると認められるとき。
五 貸付金に係る債権について、債務者が当該貸付金の使途に従つて第三者に貸付けを行なつた場合において、当該第三者に対する貸付金に関し、第一号から第三号までの一に該当する理由があることその他特別の事情により、当該第三者に対する貸付金の回収が著しく困難であるため、当該債務者がその債務の全部を一時に履行することが困難であるとき。
2 普通地方公共団体の長は、履行期限後においても、前項の規定により履行期限を延長する特約又は処分をすることができる。この場合においては、既に発生した履行の遅滞に係る損害賠償金その他の徴収金(次条において「損害賠償金等」という。)に係る債権は、徴収すべきものとする。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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