継続的売買契約条項⑦ 契約期間と中途解約条項
Q 当社は,テナントビルの賃貸事業をしている会社ですが,今般,テナントから,契約書には,「公租公課は貸主が負担する。」と書かれているのに,共益費の内訳を見ると,公租公課や人件費が含まれているのはけしからん,と言われ面食らっています。そのような理屈は通るのですか?
A そのような理屈は,通りません。
借地借家法32条1項本文は「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、・・・・・又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」と規定していることから明らかなように,公租公課は,賃料の一要素になっているのです。 通常の建物賃貸借契約においては,「公租公課は貸主が負担する。」という条項を入れることが一般化していますが,これは,公租公課(固定資産税及び都市計画税のこと)は,不動産の所有者に課されるものですから,いわば当然のことを書いたにすぎません。
ですから,通常は賃料の中に公租公課は含まれて請求されていますが,むろん,共益費の中に含めてもかまいません。
また,人件費も同じことです。
通常,賃料は,次のような構成要素から成り立っていますが,公租公課も人件費も,賃料や共益費の要素になっているのです。
(1)純粋の賃料
純粋の賃料=基礎価格に期待利回りを乗じて得た額
(2)必要経費
①減価償却費
➁維持管理費(維持費,管理費,修繕費等)
③公租公課(固定資産税,都市計画税)
④損害保険料(火災保険,機械,ボイラー等の各種保険)
⑤貸倒れ準備費
⑥空室による損失相当額
等