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契約書 実状に合わない瑕疵担保期間をなんとかしたい

2014年11月3日

テーマ:契約書

コラムカテゴリ:法律関連


 当社は,小売商です。複数の問屋やメーカーから,毎月,大量の商品を仕入れていますが,その商品を顧客に売るまでの間は,その商品を検査することは事実上できないことが多々あります。商品そのものが店頭での販売用に包装されていたり,量が多すぎていたり,倉庫に搬入した後,店頭に並べるまでの間は,1品ごとに,すべてを検査する人手も時間もないなどの理由からです。
 しかし,商法に定められた商品の瑕疵担保期間は短く,そのめ,隠れた瑕疵があっても,売主の瑕疵担保責任を追及できないのでは困ります。どうすればよいのでしょうか?


 商取引における売主の瑕疵担保期間に関し,商法526条1項は「商人間の売買において、買主は、その売買の目的物を受領したときは、遅滞なく、その物を検査しなければならない。」と定め,2項で「前項に規定する場合において、買主は、同項の規定による検査により売買の目的物に瑕疵があること又はその数量に不足があることを発見したときは、直ちに売主に対してその旨の通知を発しなければ、その瑕疵又は数量の不足を理由として契約の解除又は代金減額若しくは損害賠償の請求をすることができない。売買の目的物に直ちに発見することのできない瑕疵がある場合において、買主が六箇月以内にその瑕疵を発見したときも、同様とする。」と定めていますので,買主から売主に対し瑕疵担保を請求できる期間は,最大で6か月間です。
それでは,瑕疵担保責任の追及ができない場合もあるでしょう。
その場合に備えて,商品売買基本契約の中に,特約を設けて,
「甲が乙より買受ける商品のうち,その性質,買受ける量,販売までのその商品の保管の状況などを総合的に考え,消費者の手に渡った後でないとその商品に瑕疵があるかどうかを検査することが著しく困難な商品については,瑕疵担保期間の起算日を,甲が消費者(顧客)に販売した日と定めることとする。」という条項を設けるとよいでしょう。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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