使用者のための労働問題 普通解雇と懲戒解雇の違い
Q 当社は,平成26年10月23日の取締役会で,就業規則に,次のような勤勉手当の規定を追加し,4月1日に遡って適用したいと考えています。
第○○条 社員が,給与の計算期間内に,遅刻及び欠勤をしなかったとき(有給休暇を含む)は,当該月の給与に,勤勉手当として○○○○円を追加して支給する。
質問① 規定の場所は,30条の次に置きたいのですが,その規定を31条とすると,現在の31条以下の規定は1条ずつ繰り下げることになりますが,そうはしたくないのですが,できますか?
質問② 附則はどう書けばよいのですか?
A
回答① 本則で,追加する条文を,30条の2にし,最終行の後に(平成26年10月23日追加)と書くとよいでしょう。
第30条の2 社員が,給与の計算期間内に,遅刻及び欠勤をしなかったとき(有給休暇を含む)は,当該月の給与に,勤勉手当として○○○○円を追加して支給する。
(平成26年10月23日追加)
回答➁ 附則は,次のように書くとよいでしょう。
附則(平成26年10月23日追加)
第30条の2は,平成26年10月23日から施行し,平成26年4月1日から適用する。
これは,法律の改正で,条文を追加するときの書き方です。民法904条の2などの例があります。
就業規則の場合も,条文を追加するときは,いつ追加変更したのか,いつから施行するのか,適用を遡らせる場合はいつからから適用するのかを明確に書く必要があります。
参考
民法904条の2の場合
(寄与分)
第904条の2 共同相続人中に、・・特別の寄与をした者があるときは、・・・その者の相続分とする。
2 前項の協議が調わないとき、・・・・・寄与分を定める。
3 寄与分は、・・・・・残額を超えることができない。
4 第二項の請求は、・・・・・に規定する場合にすることができる。
(昭55法51・追加、平16法147・一部改正)
という規定になっていますが,この条文の最終行の括弧書きで,この条文がいつ追加されたものかが分かるようにされているのです。
また,民法の附則も,
附 則 (昭和55年5月17日法律第51号)
(施行期日)
1 この法律は、昭和56年1月1日から施行する。
(民法の一部改正に伴う経過措置)
2 (略)
民法904条の2は,昭和55年に法律51号改正民法によって新たに創設された規定です。民法904条は特別受益者の具体的相続分に関する規定の最後の規定であり,民法904条の2も,具体的相続分を算出するための規定ですので,民法904条の後に置くのが自然であるため,その後に枝番をつけて新しく設けられたものです。