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公用文の書き方 10 公用文では平仮名で書くことが増やされている 

菊池捷男

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テーマ:公用文用語

 「公用文における漢字使用等について」別表1(2)オでは,
 「おって  かつ  したがって  ただし  ついては  ところが  ところで また  ゆえに」のような接続詞は,原則として,平仮名で書くべきものとされています。 
 この中には,常用漢字表では漢字で書くことが予定されている言葉もあるのですが,公用文では平仮名で書くこととされているのです。
 一例を挙げて,「但し」という漢字について説明します。
 常用漢字表では,「但」という漢字が掲載され,その音訓表には,音字はなく,訓字が「ただし」と書かれ,その用例欄には「但し書き」が,1つだけ,書かれています。
 したがって,常用漢字表に従えば,「ただしがき」は「但し書き」と表記することになります。

 しかしながら,「公用文における漢字使用等について」では,前述のように,「但し」は「ただし」と平仮名で書き,「但し書き」は「ただし書」と書くことが定められています。
 
 すなわち,
常用漢字表では,○「但し」 ○「但し書き」と書きますが,
公用文を書く場合は,○「ただし」 ○「ただし書」と書くことになるのです。

 ところで,文章を書くのに,公用文とそれ以外の文書で,言葉を使い分けねばならない理由はないはずです。公用文が,言葉の意味を厳密に考えた結果,「但」という漢字の使い方が問題だと思えば(実際,問題はありますが。),公用文以外の文書でも,「ただし」と平仮名で書くようにすべきでしょう。

 なお, 「但」という漢字の使用については,別のコラムで触れてみたいと思いますが,「常用漢字表」や「公用文における漢字使用等について」を見ていくと,私たちは,これまで,無意識のうちに,漢字を,本来の意味を考えず,使っていることに気づかされます。
 早い話,漢字を当て字として使っていることが多いと思うのです。
「公用文における漢字使用等について」は,私たちの誤った漢字使用の慣行に反省を求め,漢字ではなく,平仮名で書くべきところでは平仮名で書く,ということを求めているのではないかと考えます。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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