コラム
公用文用語 9 おりる・おわる・おこなう
2014年6月19日 公開 / 2014年6月20日更新
1,おりる(降りる・下りる)
① 降りる
意味:(主として人が)高いところから低いところへ移動すること
例 :階段を降りる。電車から降りる。社長を降りる。試合を降りる。対立候補が降りる。
意味:自然現象にも使われる
例 :霜が降りる。寄生虫が降りる。
熟語:降格・降雨・降雪・降参・投降
➁ 下りる
意味:(主として物が)高いところから低いところへ移動すること
例 :遮断機が下りる。肩の荷が下りる。幕が下りる。許可が下りる。
意味:人に関する場合もある
例 :駆け下りる。階段を下りる。(これらは「降りる」も使われています。)
熟語:階下・眼下・下男・下等
③「降りる」と「下りる」を使い分ける基準は明確ではない
傾向としては、物の移動の場合は「下りる」、人の移動の場合は「降りる」が使われいるといわれますが、物の移動の場合でも、霜が降りる、朝露が降りるなど「降りる」が使われる場合もあり、人が乗り物から「おりる」場合、飛行機や車からは「降りる」が使われているものの、舟や馬からは「下りる」が使われています。ただ、これらは下船や下馬という熟語があるからだとされています。
ですから、熟語がないところでは、物の移動の場合は「下りる」、人の移動の場合は「降りる」が使われいる傾向にあるといえるでしょう。
2,おわり(「終わり」か「終り」か?)
① 終わり
本則:「送り仮名の付け方」(昭和48年6月18日内閣告示第2号)本文1の通則2本則(1)により、「終える」という用語に合わせた用語です。
すなわち、「終」を意味する動詞は、自動詞の「おわる」と他動詞の「おえる」の2つがあり、漢字で書くと「終わる」と「終える」の2つになり、「終」の訓読みは「お」になりますので、それに合わせて、名詞も「終わり」と書くものとされたのです。
② 終り
許容:「送り仮名の付け方」では,「終り」も許容されています。
この場合の「終」の訓読みは「おわ」になります。
動詞が自動詞としての「終わる」と他動詞としての「終える」があるとはいえ、名詞は「おわり」1つだけなので「終り」を,慣用として認めるという意味です。
3,おこなう(行う)
「おこなう」を漢字で表記すると、自動詞と他動詞の2つがあるわけではないので、「行う」が本則です。
しかし、「行なう」も許容とされています。
関連するコラム
- 公用文用語 もと(「下」と「元」と「基」)の使い分け 2014-07-19
- 公用文用語 「等」と書くか「など」と書くか? 2014-07-09
- 公用文の書き方 5 “動詞は漢字で,補助動詞は平仮名で書く”と覚えるべし 2014-09-06
- 公用文の書き方 14 漢字で書く接続詞 「及び」「並びに」「又は」「若しくは」 2014-09-15
- 「宜しくお願い致します」という書き方は間違い 2016-01-19
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。