勝つことを知りて負くることを知らざるは,災いその身に受く
会議体で,1人の委員が甲論を吐き,別の人が乙論で反駁する,ということはよくありますが,物事を決めるための会議体での,相手を説き伏せようとする口論乙駁は,いたずらに時間がかかるのみで,決してよい結果を生むものではありません。
そうかといって,議論を打ち切り,多数決で物事を決定する姿勢も,反対意見を持つ人には,納得の得られるものとは思えません。
ではどうすればよいのか?といいますと,会議体に出席した人全員から,意見の表明をしてもらう方法が,案外,全委員が納得できる結論に達することがあるのです。
提出議案に対し賛否を求めたところ,Aが甲論を述べ,Bがそれに反対し乙論を述べ,AとBの間に甲論乙駁が始まり,他の委員が黙って聞くという状態になったときは,議長が,AB双方に対し,他の委員の意見を求めるという言い方で議論を停止してもらい,他の委員全員の意見を一人ひとり述べてもらうのです。
そうすると,ABいずれかが,自分の意見が,本人が思う以上の少数意見であることを知ったときなど,持論を撤回し,反対論を述べた人の意見に賛成することもあるのです。
他の委員も,そういう考えなら,自分もその意見に賛成しようという納得感が生まれるのです。
また,面白いことに,全委員個々に意見を述べてもらうと,各委員は,他の委員の述べる良質の意見の影響を受け,さらに自説に自信を持つ人,逆に他の委員の良質の意見に納得し,自説を変更する人なども出,会議体の結論は,自ずと一つの結論に落ち着くことが多いのです。これがコンセンサスであろうと思います。
委員も,始めに結論ありきではなく,全員の自由闊達な意見を聴きながら,自分の結論を生み出すという考えでいる方が,多数決では得られない納得感が生まれるように思います。
また,会議に要する時間も,全委員からの意見聴取の方が,AとBの甲論乙駁に手を拱いたときに比べ,はるかに短くてすむように思います。
全員一人ひとりが意見を述べる結果の結論が,コンセンサスといわれるものなのでしょう。