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契約書知識 21 公共法人における契約方法

2014年1月17日

テーマ:契約書

コラムカテゴリ:法律関連

1,公共法人の意味
公共法人とは,法人税法2条5号別表1に規定された法人で,地方公共団体,国立大学法人,地方独立行政法人,地方道路公社,株式会社日本政策金融公庫などがあります。
公共法人は,①国又は地方公共団体に代わって事業をしていること、②各事業年度の利益及び残余財産が特定の個人又は法人の利益に使われることがないこと、③資本又は基金が国又は地方公共団体の拠出によっていること,所得税法や消費税法で優遇措置を受けていること等の特徴があります。

2,契約締結方法
公共団体のうちの地方公共団体がする契約については,地方自治法231条により,一般競争入札,指名競争入札,随意契約,せり売りが定められています。その他の公共法人の場合も,一般競争入札,指名競争入札,随意契約の3つは採用されています。
これら3つの契約方法では,一般競争入札が最優先されるべきことになっていますが,事実上は,指名競争入札が原則になっています。


3,近年における現状

近年(平成19年以降)、総務省は事実上の原則になっている指名競争入札が引き起こした談合などの弊害に対する反省などから、一般競争入札を中心にするよう指導を強めています。
①しかしながら,一般指名競争入札の場合は,安いが質の悪い仕事をする業者が入札に参加する可能性もあるため,これを防ぐ方法として、低入札価格調査制度(基準を下回る価格で入札した業者については低入札した事情を調査し適正な工事が期待できないと判断したときは入札を無効にする制度)、最低制限価格制度(最低制限価格を設定してそれを下回る業者の入札を無効にする制度)、総合評価入札制度(入札額を含め最も高い評価点をとった業者を落札者とする制度)の導入や、公契約条例(最低賃金制度を守らない落札業者に対して契約を解除できるとする制度)を設けて悪質業者を排除しようとするなどの努力をしています。

②指名競争入札については、談合などの弊害頻出の反省から、恣意的な業者の指名ができないよう指名選考委員会などで指名基準を明確にして公表した上で業者を選定するなど手続きの透明化・明確化に努めるほか、公募型指名競争入札(公募に応じた業者の中から入札業者を指名する入札方法)、技術情報募集型指名競争入札(高い技術を有する業者の中から指名業者を選定して入札させる方法)、施工方法提案型指名競争入札等の方法を採用しています。

③随意契約でも、プロポーザル方式(企画競争型契約=契約の相手方に企画を出し合ってもらい最も優れた企画を出した業者と契約を結ぶ方法。これには①公募型と②指名型があります)等の方法をとり、できるだけ競争性のある、しかし地域産業の育成も視野に入れた優良な業者との契約ができるような方法が考えられています。


この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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