離婚原因の一つである「夫婦関係の破綻」が,別居期間が短くとも認められる場合
これは,本連載コラム4の記述について質問があったので回答を書くものです。その質問と回答は後述のとおりですが,そこに至るまでの記述は,離婚4の内容と同じです。
Q 私(婚姻前凸山凡子、婚姻による凹川凡子)は、婚姻のときに、夫(凹川秀)を戸籍筆頭者とする戸籍に妻として入籍した者ですが、先日、裁判上の和解により離婚をし、その際、私と夫の間に生まれた子(凹川優)の親権者になりました。
私は、どのような戸籍の届出をすればよいのですか?
離婚と戸籍・姓
離婚が成立した場合は,その日から10日以内に戸籍の届出をしなければなりません(※10日目が土曜・日曜等市役所の業務が休みの場合は、その翌開庁日までが届出期間です。)。
届出がなされると,戸籍の筆頭者でない妻は,夫婦の戸籍から除籍されることになりますが、その場合、
①なにもしなければ、婚姻前の籍に戻ります(両親である凸山太郎、花子の籍に復帰)。
②婚姻前の姓に戻り、あなたを戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作ることもできます(凸山凡子を戸籍筆頭者とする新戸籍を創設。本籍は自由に決めることができる)。この方法を選択すると、①の婚姻前の戸籍に戻ることはできません。
③離婚の際に称していた姓を称する届出をすれば、あなたを戸籍筆頭者とした戸籍を新しく作る(凹川凡子を戸籍筆頭者とする新戸籍を作る)こともできます。
なお,子である凹川優くんは、離婚による影響を受けません。凹川秀の籍に入ったままです。しかし、優君の親権者があなたに指定されているので、家庭裁判所に氏の変更の許可申請をして、あなたの籍に入れることはできます。
【質問】
子の氏と母である私の氏は同じ氏ですが,それでも氏の変更ができるのですか?
【回答】
できます。
子の氏の変更といえば,「凹川」姓から「凸山」姓など他の氏への変更と思われるかもしれませんが,子の氏の変更は,子の親権者が子を自分の籍に入れるための変更ですから,変更前の氏と変更後の氏が同じであっても可能です。
例えば,上の例で言えば,離婚の際親権者である母が旧姓に戻らない場合は,凹川凡子ですが,子の籍は夫である凹川秀の戸籍に入っていますので,子も凹川姓のままです。この場合で,子を母の籍に入れるためには,凹川秀を戸籍筆頭者とする「凹川」姓から凹川凡子を戸籍筆頭者とする「凹川」姓への変更が可能になるのです。