相続税のお話し 7 代償分割に潜む落とし穴
1補完税の意味
相続税額は、相続開始時の遺産の額によって決まります。そこで、相続人の課税対象になる遺産の額を減らす目的で、生前贈与する場合を想定して、贈与税を課すことにしたのです。これが贈与税は相続税の補完税だと言われる所以です。
2相続税の節税目的の贈与
しかし、それでも、相続税の節税目的の贈与はなされます。
それは、贈与税の基礎控除額や、税率の差を利用した贈与です。
例えば、贈与を受けた人は、1年間に110万円の基礎控除が認められます、基礎控除額を超えた贈与であっても、それが200万円以下の部分の贈与税は10%でしかありません。
そこで、例えば、ある人が、親から、毎年310万円の贈与を受けた場合、その人は、毎年、(310万円-110万円)×0.1=20万円の贈与税がかかるだけですが、これは均して税率を出せば、6.45%でしかありません。
しかし、この人が生前贈与を受けなかった場合、相続開始時の遺産は、310万円多くなっているのですが、それにかかる相続税率は、40%であるかもしれないし、50%であるかもしれませんので、その場合は、贈与税より、はるかに高い相続税を支払うことになります。
このように、相続税の税率と贈与税の基礎控除額を計算に入れた税率を比較して、毎年、贈与を繰り返すことで、相続税を節税している人がいるのです。