クイーン・エリザベス号乗船記⑤ 食事
A子さんが指摘した第1の点は、インハウスローヤーと顧問弁護士との情報収集力の差という話になります。
これは、例えば、取引上のトラブルが生じたときを考えると分かりますが、インハウスローヤーは、直接、現場に行き、自社の従業員から事情を聴取するだけでなく、トラブルの相手方からも事情聴取をし、自社に責任があると思えば謝罪などもして、その原因を納得できるまで探ることができるのに対し、顧問弁護士は情報が会社の担当者からの伝聞でしか得られないことから、情報が少量かつ不正確さが避けられないということ、を比較するだけで、十分理解できることではあります。
この情報収集力の差は、エックス線で胃の様子を視るのと、胃カメラで胃を視る以上の差になると思われます。
一定程度の規模を超えた会社・法人・自治体は、1つの法律事務所を会社内に抱えるくらいの規模で、弁護士を雇用すべきです。その会社のためにだけ働く弁護士の集団を作るのです。社内規定の作成や変更、労働法規を遵守した労務管理、あらゆる法的紛争を想定した、独禁法・下請法・不正競争防止法等の法令に違反しない、きめ細かな条文からなる、各種取引ごとの契約書の作成や修正、社内の発明などの権利化、あるいは、契約の現場へ足を運び、否、契約締結の担当者となって、その国の法令に沿った契約交渉をする等々、なすべき仕事は山積しているはずです。これらに対処するには、もはや、外部の法律事務所では、無理です。自前の、自社の仕事のみに特化した法律事務所が必要だと思うのです。