遺言執行者④ 相続財産目録調整義務続き➁
Q 先日、父が亡くなりました。相続人は、私と兄の2人です。
父は「全財産を兄に相続させる。」という遺言を書いていました。
父の遺産は、多くの借家や賃貸マンションと預貯金があるように思えますが、兄は、父の遺産の明細を教えてくれません。
また、父は生前、兄に不動産などを生前贈与していると思いますが、その明細も分かりません。
父の遺産や生前贈与財産の調査方法、遺留分減殺請求の方法、相続財産の中の借家の家賃の一部を支払って貰えるのかを、教えて下さい。
A
1 被相続人の相続開始時の財産等の調査方法
⑴ 不動産について、市町村役場で、被相続人の名寄帳(固定資産税課税台帳)を調べ、不動産の全部の情報を得る(「相続ノート」27ページ)。
⑵ その情報を元に、不動産登記簿謄本を法務局より得て、抵当権の設定があるかどうかを調べ、金融機関に抵当権等を設定していることが分かると、その金融機関に対し、「取引履歴の開示請求」をする。すると金融機関は、10年間の取引履歴の開示をしてくれるので、金融機関の預貯金関係を知りうる(「相続ノート」57ページ)。
⑶ お兄さんへの生前贈与分については、お兄さんの不動産と思えるものを現地に行って調べ、法務局からブルーマップを得て、土地の地番を調べ、登記簿謄本をとって調べる(「相続ノート」27ページ)。
2 遺留分
それらを元に、あなたの遺留分と遺留分侵害額の計算をして下さい(「相続ノート」100ページの「遺留分侵害額計算シート」を利用下さい)。侵害額が計算できたら、お兄さんに、その減殺を請求すべきです。その方法は「相続ノート」103ページ参照。
3 遺留分問題解決まで、家賃に対する遺留分侵害額割合を請求することができる
お兄さんが遺言書で取得した財産の中には、多数の借家や賃貸マンションがあるようですので、あなたは、遺留分減殺請求をした後、その家賃の遺留分侵害額割合分を、お兄さんに支払えと言って請求することができます(「相続ノート」105ページ)。