不動産 中間省略登記ができない理由
不動産の購入は一生の大事。購入した不動産に瑕疵や見込み違いがあるとき、買主は、売主あるいは仲介業者に対し、どのような請求ができるのでしょうか?
第1 買主が請求できること
1 売主に対し請求できること。
⑴ 錯誤無効の主張(売買契約の要素に錯誤があった場合)
請求内容・・・売買契約は無効。よって、売買代金あるいは手付金の返還を請求する。
⑵ 債務不履行解除の主張(売主に売買契約違反、とくに説明義務違反がある場合。)
請求内容・・・売買契約を解除する。よって、売買代金あるいは手付金の返還を請求する外に、損害賠償の請求(違約金について言えば、倍返しの請求)をする。
⑶ 瑕疵担保責任の追究(不動産に隠れた瑕疵がある場合で次の①又は②の場合)
①(瑕疵の程度が売買契約の目的が達成できないほど大きい場合)
請求内容・・・売買契約を解除する。よって、売買代金あるいは手付金の返還を請求する外に、損害賠償の請求(違約金について言えば、倍返しの請求)をする。
②(瑕疵の程度が売買契約の目的を達成できないとまでは言えない場合)
③請求内容・・・損害賠償の請求をする。
⑷ 不法行為の主張(売主が①故意に問題のある不動産を買わせた(故意責任)か、又は、②注意義務違反(とくに説明義務違反)という過失(過失責任)により不動産を買わせた場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。
2 売主側の仲介業者に対する請求
⑴ 不法行為の主張(売主側仲介業者が①故意に問題のある不動産を買わせた(故意責任)か、又は、②注意義務違反(とくに説明義務違反)という過失(過失責任)により不動産を買わせた場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。
3買主側の仲介業者に対する請求
⑴ 債務不履行の主張(買主側の仲介業者に仲介契約違反、とくに説明義務違反がある場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。
⑵ 不法行為の主張(買主側仲介業者が①故意に問題のある不動産を買わせた(故意責任)か、又は、②注意義務違反(とくに説明義務違反)という過失(過失責任)により不動産を買わせた場合)
請求内容・・・損害賠償の請求をする。
第2請求できる期間
1錯誤無効の主張
売買代金あるいは手付金の返還は売買代金を支払った時から10年間(商行為の場合5年間)
2債務不履行解除
損害賠償の請求等は、不法行為を引き渡しを受けた日から10年間(商行為の場合5年間)
3 瑕疵担保責任
隠れた瑕疵があることを知った時から1年間。ただし、それに基づく損害賠償の請求等の債権は、瑕疵のあることを知ったときから1年以内であっても、通常の時効期間で消滅します(最高裁平成13.11.27判決)ので、最長、不動産の引渡を受けた時から10年間(商取引だと5年間)。
なお、
①期間の合意
瑕疵担保期間の1年間という期間は、当事者の合意により短縮することも伸長することもできます。
②宅建業者の場合の特約制限
ただし売主が宅地建物取引業者である場合は、瑕疵担保責任の期間について引渡後2年以上とする特約をする場合を除いて、買主に不利な特約はできないことになっております(宅地建物取引業法40条)。
③法人と消費者との取引
また宅地建物取引業者でなくとも、法人が、民法で定めるより買主である消費者に一方的に不利な特約を結んだ場合も無効になります(消費者契約法10条)。
④ 新築建物の瑕疵担保期間
なお新築建物の売買の場合で、瑕疵が建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものであるときは、建物引き渡しの時から10年間は売主が瑕疵担保責任を負い、これに反する特約で買主に不利なものは無効とされます(住宅の品質確保の促進等に関する法律88条)。この期間は20年以内であれば、特約で伸長することができます。(同法90条)
④商人間での売買契約
商人間の売買契約では、そのいずれもが宅建業者でなくとも、瑕疵担保期間は6箇月しかありません(商法526条2項)。本コラム「不動産13」参照
4 不法行為の主張
不法行為があったことを知ったときから3年間又は不法行為の時から20年間