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間違えやすい法令用語11 解約・解除

2011年6月12日 公開 / 2012年8月17日更新

テーマ:法令用語

コラムカテゴリ:法律関連

1 「解約」と「解除」
「解約」も「解除」も、ともに、既存の契約を解消するときに使われる用語ですが、意味は違います。講学上は、解除は、遡及的に契約を消滅させるもの、解約は、将来に向かって契約を消滅させるものですが、法令上の用語と必ずしも一致するわけではありません。

2 民法上の「解除」
民法で、解除とは、契約当事者の一方の意思表示によって、契約の効力を遡及的に消滅させ、契約が初めから存在しなかったと同じような法律効果を生じさせること、をいいます。
解除の効果は、契約当事者双方とも、未履行部分については履行の義務がなく、既履行部分については原状回復の義務を負い、また、解除をした当事者から相手方に対し損害賠償の請求ができる場合があります(民法540条、545条)。

3 公法上の「解除」
行政法関係では、解除が、行政処分等に基づいて築かれた継続的な法律関係の効力を、将来に向かって消滅させる(民法で言う「解約」)ことをいう場合もあります。保安林の指定の解除(森林法26条)等です。

4 解約
解約とは、賃貸借のような継続的な契約関係において、契約当事者の一方の意思表示により、契約の効力を将来に向かって消滅させること、をいいます。講学上、解除と区別して、「解約告知」又は「告知」ともいわれますが、法令上は、解約のことを解除という場合も多くあります。
例えば、民法626条1項本文は、「雇用の期間が5年を超え・・・るときは、・・・当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。」と規定していますが、この場合の「解除」は、その効果が将来に向かってのみ生ずるだけですので、講学上の「解約」になります。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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