コラム
間違えやすい法令用語10 通貨・法貨・貨幣・紙幣・銀行券
2011年6月11日 公開 / 2012年8月17日更新
1 意味
「通貨」とは、「通」が「強制通用力のある」意味、「貨」が「おかね」を意味するところから、「法定のおかね」つまり「法貨」と同義語です。
「貨幣」は、通貨と同じ意味でも使われますが、通貨のうちの鋳造されたものをいうこともあります。
我が国で、貨幣とは五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類の鋳造貨幣(コイン)です。
「紙幣」は「紙でできたおかね」で、「銀行券」も同じく「紙でできたおかね」です。
すこし、詳しく説明します。
2 通貨
通貨とは、「強制通用力を認められた支払手段」をいいます。
法律によって強制通用力が与えられているので、法貨ともいいます。
我が国には、「通貨」は「法貨として無制限に通用する」銀行券(日本銀行法46条2項)と、「額面価格の二十倍までを限り、法貨として通用する」貨幣((通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律7条)があります。
3 貨幣
貨幣は、一般的には、広義の意味で「強制通用力を認められた支払手段」をいいますので、通貨と同義になりますが、我が国の場合は、法律上「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」5条1項で、五百円、百円、五十円、十円、五円及び一円の六種類とされています(ただし、国家的な記念事業として閣議の決定を経て発行する記念貨幣は別です。5条2項)。
4 紙幣
紙幣は、「紙で作られた通貨」あるいは「紙で作られた広義の貨幣」をいいます。
紙幣には、「広義では政府の発行するいわゆる政府紙幣のほか強制通用力を賦与された銀行券を含むが、狭義では前者だけを指す」(有斐閣発行:法律用語辞典第3版)とされています。
5 銀行券
銀行券は、「もともとは、銀行が発行する手形で、銀行の社会的信用を背景に流通手段として用いられたもの。現在は一般に、中央銀行が独占的に銀行券を発行し、これに強制通用力を与える制度がとられており、また、本位貨幣との兌換(だかん)の認められない不換銀行券となっている。我が国では日本銀行が発行している(日銀46①)。」(有斐閣発行:法律用語辞典第3版)のです。
日本銀行法施行令13条には「日本銀行券の種類は、一万円、五千円、二千円及び千円の四種類とする。」と定められています。
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