コラム
法令用語 「ないし」や「乃至」は使わず,「から・・・まで」を使う。
2014年7月7日 公開 / 2017年10月4日更新
1,乃至(読み:ないし)
意味:法令用語としての意味は,「何々から何々まで」というものです。
用例:刑事訴訟法第69条は「裁判長は、・・・第57条乃至第62条、第65条、第66条及び前条に規定する処分をし・・・」と規定しています。
その意味:「第57条乃至第62条」というのは,57条から62条までの間にある条文の全部を指します。「から・・・まで」の意味です。
2,常用漢字の「乃至」の2つの意味
常用漢字の「乃至」には,①「から・・・まで」の意味と➁「あるいは」とか「又は」の意味があります。
そのため,前述の刑事訴訟法69条の「第57条乃至第62条」は,「第57条から第62条までの全部の条文」という①の意味に理解せず,➁の「第57条又は第62条」の意味に誤解される危険があります。
その危険を避けるため,現在,「乃至」は法令用語としては使わないことになりました。
3,法令用語としては,現在使われていない
現在,「から・・・まで」を使う場合は,平仮名で「から・・・まで」と使います。乃至は使いません。
用例:民法118条は「単独行為については、・・・第113条から前条までの規定を準用する。・・・」
4,公用文も「から・・・まで」を使うこと
当然,「乃至」は使わず,「から・・・まで」を使うことになります。
(筆者注:条文内の数字は正しくは漢数字ですが,便宜上,アラビア数字に置き換えています。)
追記:2016.9.6
5,今は、「乃至」と書かず、「ないし」と書く
乃至の「乃」は,「常用漢字表」には搭載されていません。
遅くとも,平成22年11月30日付け改正「常用漢字表」後,「常用漢字表」に搭載されていない語は,法令用語だけでなく,公用文でも使えませんので,「乃至」は,法令用語としてだけでなく,公用文でも,使えないことになっています。
ですから,公用文の中で,「ないし」という語を使う場合は,平仮名で「ないし」と書くことになります。
最高裁判所第二小法廷平成平成28年6月3日判決書には,「我が国の慣行ないし法意識に照らして・・・」というように,「ないし」という語は,平仮名で書かれています。
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