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間違えやすい法令用語12 期間・期限・期日

2011年6月13日 公開 / 2012年8月17日更新

テーマ:法令用語

コラムカテゴリ:法律関連

1 期間
「期間」とは、ある時点から他の時点までの一定の時間的隔たりの間の長さ、をいいます。例えば、1月1日から1月31日まで、という場合です。
期間は、前出の「1月1日から1月31日まで」というような確定日から確定日までの間を設定する場合もあれば、確定日を定めず、たんに「10日間」という場合、一方の確定日のみを定めて「1月1日から2週間」「3月20日までの10日間」などという定め方もあります。

なお、民法では、同法140条で「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」という規定(これを「初日不算入」又は「初日不算入の原則」といいます)がありますので、1月1日の時点で「今日から2週間以内に債務を履行せよ」と言われた場合は、期間は初日である1月1日を含まないで、1月2日から2週間になり、期間の末日は1月15日になります。
これに反し、刑法犯罪の公訴時効については、刑事訴訟法上55条1項ただし書きで「・・・但し、時効期間の初日は、時間を論じないで一日としてこれを計算する。」と規定されていますので、民法の場合とは異なります。

2 期限
「期限」とは、例えば、不動産等の高額の物の売買契約の場合、契約日とは別の日を代金弁済の日と定める場合があり、この場合は、その日が到来したときに、代金支払義務が生じますが、これが期限のうち始期と呼ばれるものです。すなわち、「期限」とは、「法律行為の効力の発生、消滅又は債務の履行が、将来発生することの確実な一定の日時の到来にかかっている場合の、その一定の日時」(有斐閣:法律用語辞典第3版」)をいい、そのうち「始期」とは、法律行為の効力を発生させる日のことです。

⑴ 始期
民法135条1項は「法律行為に始期を付したときは、その法律行為の履行は、期限が到来するまで、これを請求することができない。」と規定していますが、このように「始期」とは、法律行為の効力を発生させる日のことです。
例①「来月1日から賃貸する」とか、例②「今月末日に支払う」とかの例がこれにあたります。
例①の場合は、来月1日が到来してはじめて賃料請求権が発生するのです。
例②の場合は、今月末日が債務の弁済日になるのです。

⑵ 終期
民法135条2項は「法律行為に終期を付したときは、その法律行為の効力は、期限が到来した時に消滅する。」と規定していますが、終期とは、法律行為の効力の消滅を、将来確実に到来する事実の発生にかからせる付款のことです。
例③「今年の年末まで賃貸する」という場合がそうです。
例③の場合は、今年の年末に賃貸借契約は終了するのです。

3 期日
「期日」とは、特定の日または特定の日時を指す言葉ですが、その日(又は日時)に法律効果が発生又は消滅する場合もあれば、何らかの手続がなされる場合もあります。
前者の例としては、都市再開発法87条1項「施行地区内の土地は、権利変換期日において、・・・新たに所有者となるべき者に帰属する。・・・」という規定があります。この場合の期日は、「特定の日」を意味し、「権利が発生する期日」ということになります。
後者の例としては、民事訴訟法93条1項「期日は、申立てにより又は職権で、裁判長が指定する。」があります。この場合の期日は「特定の日時」で「口頭弁論の手続」が行われます。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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