遺言執行者観に関する謬説がなくなるまで①
1 労働事件が多発
今年に入って労働事件が多発しています。
解雇、雇い止め、懲戒処分、出向契約の解除に伴う職場の変更、超過勤務手当請求事件などです。
2 弁護士の心得
① 正確で緻密な法律知識を持ち、事実関係が分かれば、即、法的判断ができるだけの力をつけていること
② 短時間で、集中した、職場での事情聴取で事実関係を把握すること
3 ②の事実把握力で勝敗が決まる
弁護士が、使用者の代理人の立場で、労働事件を担当する場合、社長や専務、部長といった幹部や管理者から事情聴取をしても、事実関係の把握は出来ません。
多くの場合、彼らの労働者の対する言い分は、抽象的で、評価的でしかないからです。
しかし、その労働者が仕事をしている、あるいは仕事をしていた現場に足を踏み入れ、その労働者のしてきた仕事を現地で再現し、その労働者の問題行動を、同僚の社員など多くの人から、半日か1日、時間をかけて事情聴取をしてみますと、事実関係が驚くほどよく分かります。
社長や専務でも把握できていなかった事実が、その問題社員の問題点が、より具体的に、より明確に、分かってくるのです。
その問題が具体的に分かったとき、それを前提に、弁護士は法的判断を下せばよいのです。勝てると見れば、勝てる書面を書き、勝てる証拠を収集し、勝てないと思えば、和解の道を探るのです。
3 短時間で集中した準備
労働事件は、労働者から申立てる地位保全の仮処分から始まるケースが多く、事件受任から審尋の日まで1月も与えられないため、準備する時間は十分ではありません。ですから、2に書いた現場での準備は、短時間の内に集中的にしなけらばならないのです。
労働事件で負けている弁護士の書面の内容は、具体的な事実の摘示が少なく、抽象的で、評価的な主張が多いのが実情です。勝っている弁護士の書面は、具体的で、詳細です。その事実を書いた書面を読むだけで勝負がついていることが分かるほどにです。
弁護士は、そのような書面を書かなければなりません。そのためには、現場での時間をかけ集中した聴き取りが重要になってくるのです。