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コラム

「中古住宅の購入+リノベーション」を検討している方へ

2021年10月2日

テーマ:リノベーション

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: リノベーション費用耐震リフォームリノベーション工事

|リノベOKの中古住宅はあまりない

兼業で不動産業をはじめてから約1年が経ちます。
そんな中で感じているのが「良質な中古住宅はほとんどない」
ということです。

TVや雑誌の影響なのか、
「土地買って新築はけっこうな額だから、便利なところで手軽に(値頃な金額)中古買って、
そのあと好きなようにリノベ(リフォーム)すりゃいいんじゃない?」
と考えている人が多いと感じます。

こうして不動産のポータルサイトをインターネットで調べはじめ、
希望エリアにその情報がほとんどなく、
結局、手が届く(返済が出来る)んだったら新築建売もいいかな、
という感じで、安いけど冬寒い(=光熱費がとてもかかる)ルートへ向かい、
郊外の田や畑を宅地化して分譲する建売住宅が増えてゆくのだな、と感じています。

※市街地でもあちこちに空き家があって問題になっているはずなのに、なかなか不動産市場に出てこない、という問題はまた別の機会に採り上げます。

ポータルサイトで見かけるお値頃価格の中古住宅は、
・物件内覧の際になってはじめて「過去に水害を受けている」と告知されたり、
・いわゆる「事故物件」と呼ばれる物件であったり、
・ハザードマップを見ると「土砂災害危険区域内」だったり、
・もともと「市街化調整区域」で再建築不可だったり、
・近所にものすごく評判の悪い隣人が住んでいたり、
と、何かしらの問題点があることがほとんどです。

中にはこうした重要事項説明に必要不可欠な情報を聞かされずに売買契約をしてしまい、
結局泣き寝入りせざるをえず、ちょっとリフォームして転売を狙っている、なんてこともあるようなないような・・・。

ですからポータルサイトに掲載され、掲載年月日から相当期間が過ぎている中古物件はいつまでたっても掲載され続け、次第に金額が下がってゆきます。

そうして、「このくらい値段が下がったんだからそろそろ」という感じでまた誰かが購入してしまう、ということが起きているようです。

参考)長野県内のハザードエリアを調べるサイトのひとつ
信州くらしのマップ

リノベーションに耐える良質な中古住宅を探している人は、不動産ポータルサイトだけを常時ウォッチングするのではなく、別の方法も併用することを考えたほうがよいと思います。

|中古物件を探す方法は?

リノベーション(リフォーム)をして見た目がよくなったとしても、安心な暮らしを担保する必要最低限な耐震性が確保されていなければ元も子もありません。
また、耐震改修工事をリノベ工事に含ませるとしても莫大が費用がかかるようなら、それはもう建て替え=新築工事をすべきでしょう。
巨大地震がいつ起きてもおかしくないと言われて久しいわけですから、耐震性の確保は全てに優先されるべきです。
しかし耐震性については中古住宅を内覧したり、図面を見せてもらっただけでは、一般の方にはわかろうはずもありません。
壁の中や床下や屋根裏を部分的に覗くだけでも足りません。

安全な中古住宅を流通させるため、国や市町村では”インスペクション(既存建物状況調査)”の制度を普及させ、建築士による評価を得た後に中古住宅の売買を行うのがよろし、ということで3年前の平成30年より中古住宅の媒介契約の際、そのあっせんの有無を売り主に問う項目が宅建業法で定められましたが、その成果はほとんどないと言っていいほどです。

当然買主側からの要求でインスペクションの実施も可能ですが、その制度があることも知らない買主は、結局リフォームする段になってようやく「あ~、こんなに費用かかるんだ~」を知ることになるようです。
まあ、売り主側からすれば、インスペクションはこれから売ろうとする建物の評価を下げるようなことが発覚するようなものなので心理的にもまず積極的に行いませんし、インスペクション費用も当然かかりますから、この制度は3年経ったいまでも中古住宅の流通過程でほとんど知られることなく埋もれています。

リノベーション(リフォーム)が可能な中古住宅をお探しなら、多少の費用はかかっても、購入前に必ずインスペクションを実施することをおすすめします。
長野県では、インスペクションに対する費用補助制度があります
あんしん空き家流通促進事業
※中古住宅を購入(売買契約)しないとこの補助制度は利用できません。あしからず。

中古車を買う時は、ある程度その車はその道のプロの手によって整備されているでしょうし、車検制度も厳然としてあるので安心できようかと思いますが、恐ろしいことに住宅の場合は、建築士など建築実務者などによる第三者チェックが全く行われることなく流通してしまっているのです。
車検も通していない、整備も点検も全くされていない車にはさすがに乗れないですよね。

まず前提として、「インスペクションを行った後に購入を検討する」として、どうすれば購入に値する中古住宅を見つけることができるのか?
社内でも意見交換してみました。

・やっぱり王道はインターネットかな~
athomeやsumo以外にも「家いちば」や「ジモティー」なんかもある
・新聞広告(信毎不動産情報)
・不動産会社のホームページや店頭

と、意外とインターネット以外方法がないんですよね・・・。
実際、実質的に不動産業者だけが閲覧できる「レインズ」という物件登録サイトがあり、各不動産業者は売り主から仲介の依頼を受け、媒介契約を締結したら1週間以内にレインズに登録する義務があるのです。
しかしのこレインズも、一般媒介(多数の不動産業者に仲介を依頼する契約)の場合はレインズ登録の義務がないためあまりアテにならない。

インターネットサイトを運営する会社は、掲載する側も情報量が大事になるわけで、宣伝広告費もかかり、ますます販売経費がかかるわけでありまして、水面下で物件価格がじわじわが上昇していることも容易に想像できます。
実際、いい物件は買いたい人が群がるハズですから、相場価格より高めに設定されるのが常です。

他にも、
・自分の脚で希望エリアを歩き回って、空き家を見つけたらどうにかして家主に直接コンタクトをとってみる
・競売物件に入札してみる
・特定の不動産業者や建築業者を窓口にして物件を探してもらう
・司法書士や弁護士に依頼して、相続や遺産分割がらみで物件情報を得る
・不動産屋を片っ端からまわり、とにかく声をかけまくる
・希望エリアの区長さんや民生委員の方と仲良くなって、売りに出そうな物件情報を一足早くゲットする

・・・いずれにせよ膨大な労力と時間がかかりますね。
かつてのインターネットがない時代に比べれば格段に情報は得やすくなっていますが、それゆえインターネットに掲載されていない掘り出し物のような物件はまるで宝探しのよう。
総じて需要と供給のバランスが崩れていると言っていいでしょう。
不動産屋業者自体が仕入れ物件を血眼になって探している状況ですから、残念ながら一般の人が叶うはずもありません。

考えてみれば自分や家族の一生の住処を探すのですから、そう簡単に希望する場所に希望する家がみつかるはずもありません。
希望エリアには同様の希望条件をもって探しているいわばライバルたちが、数十人ほどいる可能性があります。

自分だけにラッキーが舞い込むということをみなさん期待しがちですが、経験上そうしたことは、皆無ではありませんがほぼありません。
逆に、世に出る前に「これはまだ市場に出る前なので、あなただけにそっとお伝えしますが」
というようなセリフを用いて、多少高い金額で取引されているのかなぁと感じる場面も正直あります。

「縁」と言ってしまえば身も蓋もありませんが、とにかくエリアを絞ってインターネット上の情報をマークしながら、
できれば不動産業者も1社に絞って本気度を上げてもらいつつ、希望に近い物件が出たら連絡してもらえる人間関係が大切。
いろんな会社に声をかけていると、優先的に教えてもらえない気がします。

いざ購入する場合は、すぐに決済(支払い)が待ち受けていますから、仮審査などでご自身の住宅ローンの上限を把握しつつ、
できればリフォームする建築会社も1社に絞っておき、購入候補の物件が現れたらすぐにリノベ費用が算出できるような体制(これまた人間関係)づくりが事前に必要かと思います。

物件探しは一苦労。
前もって費用の上限をおさえておく。
候補が現れたらまずはインスペクションを。
親身になって相談できる専門家がいると安心。
最後は決断が必要。その際、迷っている時間はあまりない。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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