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  1. 夏涼しい家は、通風と日除け、そして屋根がうまくいっている
塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(しおはらまさき)

株式会社Reborn

コラム

夏涼しい家は、通風と日除け、そして屋根がうまくいっている

2015年7月26日

テーマ:建築について

窓がない家はありません。
写真の現像室や納戸、トイレなど、窓がない部屋もたまにはありますが、ほとんどの部屋には窓がありますね。
建築基準法では、住宅の居室には、床面積の1/7以上の窓(開口部)を設けることとされています。
窓は日射や風を取り込むばかりではなく、煙を出したり、避難口にもなったりします。
こうした考え方も含めて法で定められているんです。
6帖間であれば、1.42㎡以上。横長の窓であれば1.7m×0.9mの大きさがよくあるパターン。
この窓が部屋の2面に配置できればもうこれは十分明るいといえるわけです。

しかし、お隣の家に近くなればなるほど当然暗くなりますから、隣地境界線からのはなれ寸法や窓の取り付け高さも考慮されるべきで、これを採光補正係数と呼ぶ特殊計算でチェックするようになります。


やはり住宅の設計で、最も大切なもののひとつは

「窓」

ではないでしょうか。

どこかの窓サッシメーカーではありませんが、「窓を考えることは、暮らしを考えること」といっても過言ではありません。

ガラスが大きければ、冬に日射は入りぽかぽかになる日もあるにはあるでしょう。しかし夏には日差しが家の中に侵入しサウナ状態になってしまうことも。

よくお客様から「南側の窓はとにかくおおきく!」とご要望をいただきますが、これは日除けとセットで考えないと、夏は大変なことになってしまいます。

窓は暖房や冷房に密接に関係し、さらに家の外観デザインにも直結します。
構造に関しても、窓位置に細心の注意を払いながら、地震や台風などの際に揺れたり破損しないようにするための耐力壁(たいりょくへき)とのバランスを取ってゆきます。

夏はとにかく直射日光を室内にできるだけ入れないこと。
もうそれに尽きると思います。

すだれやよしずは大歓迎。でも簡単に取り外しできたり、固定方法まで考えられたものでなければなりません。
冬は日射を取り込みたいわけですから外せるようにするべきでしょう。

すだれ
基本は窓上のヒサシにフックをつけてすだれをかけるというもの。
すだれは安価ですし、お手軽さはありますが、冬になってもぶら下がっている姿は感心しません。
2階の東や西の窓にどう室内側からすだれをかけるか、そのことを設計時に考える必要があります。
ドレーキップ窓や上げ下げ窓、中軸回転窓などが頭をよぎります。
ドレーキップ窓はちょっと変わった窓です。


室内側から見て、「内倒し」と「内側にドアのように開く」の2つの開き方ができます。
この窓のいいところは、防犯性を配慮して通風を得られるということと、ガラスの清掃が簡単、そして、網戸が外側全面につくので、実はすだれなしでもある程度日除けの効果が期待できます。

実際に測定まではしたことがありませんが、実感としてそういえるのです。
機会があればそのあたりメーカーさんに聞いてみようと思います。

すだれや網戸(メッシュ状のスクリーン)が非常に効果があるのは家の外側についているからで、室内にブラインドやカーテン、障子なんかで調整するのももちろんアリ。ただし遮蔽効果は外側ほどではありません。
ガラスのLOW-E金属被膜やペアガラスの間に封入されているガスの影響でもある程度の調整はできます。

屋根+ガラス屋根 
そうはいってもやはり屋根の形が窓と密接にかかわっています。
この屋根の場合、冬は陽を取り入れつつ、夏は陽を遮る、そうした機能を建築的に解決した事例です。
ガラスの屋根は固定方法や細部の納まりに注意しなくてはなりません。雪の影響もあるでしょうから、強化ガラスの8mm厚保程度を採用すべきです。経年劣化を受け入れてポリカーボネートでもグッドです。

MAG1 
この資料は以前断熱材メーカーのマグさんからいただいたのですが、なぜ日本は太陽高度が冬と夏とで異なるのか?その説明と太陽高度の元となる原理を知るためのものです。

 
その場所の緯度経度が分れば〇月○日 △時の太陽高度は簡単に分かる世の中です。
さらに我々設計者にとって強い味方である3次元CADでも、建築場所を入力すると、屋根やヒサシがどんなふうに建物に影を落とすのか、その移ろいが建てる前であっても正確に目で確認することができます。

参考までに、現在建築中の住宅について影の移ろいをビデオ出力しましたので、よろしければご覧ください。

 




朝 5:00~夜 20:00 30分毎のシミュレーション
南側の窓ガラスにはほとんど日射が入りません。これは太陽高度が80°近くまで上がっているからです。
同様に西面や東面、北側面について、そして冬至や春分などももチェックして窓の設計は終了します。

このビデオを見ると、屋根の向きや軒の出寸法が本当にに大事なんだといつも思います。

最近軒の出が50cmに満たない家が大変多い。
そして南側の大きなテラス窓の上にヒサシやベランダがなく、直射日光がもろにカーテンを温めている家も大変多い。
つるんとした南側の外観の家は夏は危険です。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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