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コラム

洗濯物をどこに干すか、の問いに対して

2016年1月13日

テーマ:建築について

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: 畳 掃除畳 張り替え


この時期悩むのが、家の中のどこに洗濯物を干すのか。

冬に設計をすると、そんなところにまでお客様の要望がきちんと出てきます。
すばらしいことです。
ぼくら建築士は、外観デザインやインテリアデザインだけではなく、そういう生活のなまなましい部分もきちんと提案し、落とし込んでてゆかなくてはなりません。



洗濯干しスペースをあなどることなかれ。
真面目に考えれば考えるほど奥が深い。

導線、広さ、アイロンはどこで?、たたむ作業はどこで?仕舞うのはどこへ?・・・・

とりわけ洗濯物をどこに干すのかは、ものすごく大事。



洗濯は毎日の作業ですし、なにしろ乾いてもらわねばなりません。
しかも室内干しは最悪結露によって建物寿命を縮めててしまうことすらあるんですからコワイ。

もちろん季節や気象条件も関係していますから、なかなかその解を得ることは大変です。


先日も、これからいよいよプランニングにさしかかるお客様からメッセージをいただきました。

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間取りの件も,様々な検討をしながら少しずつ変化している部分もあります。
昨日も,夫婦の間で洗濯室はいらないのではないかという話もでました。
乾きにくいだろうというのが理由です。光熱費があまりかからず乾燥させる
方法がありましたらご教示いただけると助かります。
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的確な間取りのアドバイスができているのか分かりませんが、以下のようにお返事申し上げました。

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K様
Reborn塩原真貴です。
ご返信ありがとうございます。
以下洗濯物干場についての私見です。ご参考になれば幸いです。


・断熱気密の良い家では冬場室内がかなり乾燥します。
拠って、洗濯物を室内に干すことを歓迎します。濡れた布はもっとも優秀な気化式の加湿器といえます。

・速乾性を持たせるのであれば、洗濯物を干す場所は暖房器具に近いところが好ましい。暖房器具の近くでなくとも、半日あれば大抵は乾きます

・「加湿」ということを重視するのであれば、換気の給気口に近いところが良い

・洗濯物が常時視界に入るようでは、スマートな空間にならないので注意

・洗濯機から干す場所までの動線があまり長くない方がよい。動線がくねくねしない

・洗濯物の量は、人にもよるでしょうが、4人家族では総じて3~4mの長さがほしい

・これまでの経験から、30坪~32坪の家づくりだと、2階の階段あがってすぐのホール(廊下)になる場合がほとんど。35坪いけるとするならば1階も可能か。

・洗面脱衣室を3畳ほどと広めにとって、そこである程度干す作業をして、どこかに移動する、ということも好まれる

・斜めドラム式の乾燥機付き洗濯機は意外と評判が良くない

・洗濯は家事のなかでも毎日で、しかもおろそかにできないので、前回プランのように思い切ってスペースを確保するか、比較的面積の取りやすい2階ホールに専用干場をとるのがいいのではないか?と考えている。

・和室の南の広縁が、古来からの洗濯干し場のもっともポピュラーな場所。プラン段階で死守する方も少なくない。

・日光を当てたい気持ちは当然だが、20℃前後の温度があれば、どこでも乾く環境と言ってよい

・洗面化粧台を廊下的なところに出してしまい、脱衣室とドアを開いた浴室との連続した細長い空間を洗濯物干場としている事例もある

・洗濯干しスペースとファミリークローゼットがある前回プランは、床面積はたしかに増えるが、とてもスマートで垂涎の的。給湯ボイラーや暖房用のボイラーをその空間に設置すると、暖房代わりとして室温を上げるので乾きやすく、ボイラーの耐用年数も飛躍的にアップ

※浴室換気暖房乾燥機はものすごい電力を食うので、断熱性能を高く持った家では無用の長物と成り果てる

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K様とは、今週末から本格的なプランニングの打ち合わせに入ってゆきます。
家づくりの作業のなかで、とても面白く、お互い、悩みに悩むところです。

あれもこれも、になれば、当然床面積が増え、工事費が上がってゆきます (>_<)

「でも、私これだけは絶対ゆずれない」
「俺の考え方のほうが正しい!」
「ちゃんと靴下ひっくり返しにしないでかご入れてよね!(怒)」
「いいかげんタオルローテーションさせるように置いとけよ!」

困ったことに、夫婦仲が一時的に悪くなるのもこの時期です(笑)

でも、お互い腹の中のものをさらけ出してください。私の前でもいいですから・・・(笑)


しかしながら、何回か打ち合わせを重ねてゆくと、どちらかが納得したり、折れたりして・・・。
なんとか間取りが形作られてゆくからプランニングって不思議です。
夫婦間の緊張感のあるやりとりも、第三者的な立場からみるとほほえましい。

お互いを理解したり、尊重したり自重したり。プランニングを通してお互いが近づいてゆく・・・。


物干し場をめぐって、そんなバトルが実はしばしば展開されているんです。

放り込んだら畳まれて出てくる夢のような洗濯機が先日公開されました。まだ商品化は先だと思いますが、ゆくゆくはそういう機械が住宅の中にも、当たり前nように取り込まれる時代がやってくるのかもしれませんね。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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