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コラム

エコキュートや蓄暖など、深夜電気を使う機器に物申す

2015年8月19日

テーマ:建築について

コラムカテゴリ:住宅・建物

コラムキーワード: エコキュート 交換

今回は私の個人的な思考に偏った意見を。
電力の話です。

建築に携わるものとしてここ数年、
深夜電気料金体系がこのままあり続けるのかどうか?
深夜電気を使う機器の導入を、「施主の意向だから」ということで採用してもいいのか?
みんながいいといってるんだから・・・、
それらが国内の内需につながっているんだから・・・。
そんなことを考えながら過ごしてまいりました。

当然気になる街のあちこちでの新築現場。同業他社がつくる住宅はことのさら気になるものです。
ほとんどの新築住宅の周りには、やっぱりまだまだありますね、エコキュート。
エアコンの室外機はまぁ仕方ないとして(冷房機器としてこれに替わるもの実効性のあるものがあまりないので)、
深夜電力を利用する給湯機器は、もうそろそろ止めてゆかないとマズイのではないでしょうか?

エコキュート

暖房に蓄熱暖房機、キッチンのコンロもIHヒーターにすれば、すなわちオール電化。
「料金が安くてお得なんでしょ♪」
まだそんなふうに思い込んでいる建築主の方が少なくありません。

昼間の電気単価は27円、深夜の電気は13.5円、
加入プランにもよりますが、現在の単価はおよそこんな感じ。つまり深夜電気はざっくり半額ってこと。

でもこれ震災前はそれぞれ24円と8円。実は1/3だったんです。なのでダントツお得感があった。

さらにオール電化割引きがあり、深夜電気を使う機器に対しても割引きがあり、住宅の電化は一気に加速していったのです。『そういう時代でしょ♪』なんてCMがありましたね・・・

過日の中部電力からの告知、皆さんはご存じでしょうか?
各種割引制度等の新規ご加入の終了について
大切なお知らせ

事実上、オール電化住宅優位性の完全崩壊、といったところでしょうか。
なぜこの割引き制度が廃止されるのか?
端的に言うと、「儲からないから」ですね。企業ですから当然の措置です。
ではなぜ儲からないのか?
原発が動いていない現在(8/14、九州電力川内原発1号機は再稼働)、深夜電力が安い理由はないのです。
深夜電力を売れば売るほど経営圧迫。そりゃそうです。

このままゆけば、深夜電力と昼間電力の差額は縮まる一方になってゆくことでしょう。既得権としての割引額もこれまで以上に圧縮されてゆくはず。

こんな状況下にあって、なおエコキュートですか・・・?
蓄熱暖房機ですか・・・?

たしかにピークシフト、という意味ではいいのかもしれませんが、ピークは日中の午後2:00くらいでしょ?
お風呂入るのってキホン夜でしょ。暖房するのってまずは朝と夜でしょ。

加えて余分なことを申せば、エコキュートのあの貯湯タンクの中って、恐ろしいほど汚れているんですよ。
それはそうです、お掃除できないんだから。電気ポットの中を見たことがある人だったら誰でも思うわけ。
「あ~そろそろ”ポット洗浄中”やらなきゃ」ってね。
だから取扱い説明書にもちゃんと書いてあるんですよ。「このお湯はそのまま飲用しないでね」ってさ。

とにかくですよ。
もうここいらで深夜電気を使う機器は選択肢から外さないと、って話です。
すでに導入してしまってる人は、この先何年後かにそれは壊れますから、その際にはもう止めようね、ってこと。

では何を選べばいいかって?

給湯はふつうに水道直圧式のボイラーでよし!ガス式でも灯油式でもいいけど、できればエコジョーズとかエコフィールと呼ばれる排熱を利用した変換効率がいいものがベターでしょうね。

暖房はマキストーブが本当は一番いい。国内のそこいらじゅうにあるエネルギーでしかも火をつけるだけで暖房になる。できれば住んでいるところに近い場所で育った木を薪にしたものを買って、アラブの国ではなく、その地域にお金が落ちる。
でも、いざ自宅の暖房にマキストーブをイメージするとちょっとなぁ・・・、という方も多いと思います。
時間的に、安全性的に、近所的に、敷地的に、情緒的に・・・いろいろな制約や嗜好性がありますからね、マキストーブは。

マキストーブ

どんな暖冷房方式にするにせよ、最も大事なのは暖房・冷房がちゃんと効くように断熱をちゃ~んとしておくこと。
床・壁・天井、それに窓、玄関ドア。隙間風がないように気密は当然とるべきでしょう。

断熱はたくさんやればやるほどいいけれど、やっぱり資金的な限度があるはず。さりとて向こう何十年も暮らす唯一無二の我が家。可能な限り断熱材は厚く入れ、予算の許す限りサッシやガラスにはお金をかけましょう。ここをケチらないのがポイントです。

また給湯の配管にも断熱材を巻くなどして、せっかく沸きあげたお湯が冷めずに蛇口やシャワーヘッドから出るようにしたいもの。ボイラーと蛇口の距離ができるだけ遠くならないようにすることも大事ですね。つまり水回りはあまりバラバラ配置しないことが肝要です。

こんな偉そうなことを述べている私も、実はキッチンのコンロ以外はすべて電化なのです。
震災前に比べて、月々の電気料金は30%以上も多く払い続けているのです(>_<)

はっきり言ってもう限界だじ!
だからって原発を動かせって、そういう話ではないのであしからず。

この記事を書いたプロ

塩原真貴

木造住宅を耐震・断熱構造に生まれ変わらせるプロ

塩原真貴(株式会社Reborn)

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