254【マンスリーマンション問題】三井住友海上から回答!全て「確認無し」 ヤミ宿泊業を支えてないか!?

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:賃貸経営実務



# コラム254【マンスリーマンション問題】三井住友海上から回答!全て「確認無し」 ヤミ宿泊業を支えてないか!?

■ 三井住友海上から回答が届いた

三井住友海上から、10月16日付の回答書が届きました。

マンスリーマンション事業用の保険・補償について、現在、次の4項目を確認する仕組みがあるのか質問しました。

① マンスリー事業として利用する権限
② 所有者の承諾
③ 分譲マンションの管理規約・使用細則との整合性
④ 1か月未満の利用に必要な旅館業法上の許可その他の行政手続

回答は4項目すべて「ない」。

さらに、本件物件の引受時に何を確認していたのかという質問も含め、全12項目の回答が「ない」でした。

■ 質問状と7点の添付資料

私が所有する分譲マンションの一室は、住居用として不動産会社に賃貸していました。

ところが、所有者の承諾がないまま、マンスリーマンションとして営業利用されていました。

調査の過程で、2022年10月25日付の「家具付き専用補償システム加入証」が見つかりました。

加入証には、申込者である不動産会社、補償システム引受会社、引受保険会社である三井住友海上、保険代理店が記載されています。

そこで、9月8日付で三井住友海上に質問状を送付しました。

質問の目的は、本件物件を補償対象とする際、営業利用の権限や所有者の承諾等について、何を確認していたのかを明らかにすることです。

添付資料は次の7点です。

① 家具付き専用補償システム加入証その他関連保険資料
② マンスリー予約サイト掲載資料(「7日以上30日未満」のスーパーショートプランを含む)
③ 原賃貸借契約書
④ 本件物件の不動産登記事項証明書
⑤ 所有法人の履歴事項全部証明書
⑥ 裁判所に提出した訴状(訂正後)
⑦ 国による短期賃貸借物件等の取扱いに関する通知・関連資料

■ 三井住友海上の回答を抜粋

本件物件について、次の質問をしました。

**質問3:原賃貸借契約書を確認しましたか。**
回答「ない」

**質問4:マンスリー事業に利用する権限を確認しましたか。**
回答「ない」

**質問5:所有者がマンスリー事業利用と第三者への反復的な提供を承諾していることを確認しましたか。**
回答「ない」

**質問6:管理規約・使用細則上、マンスリー利用が許容されていることを確認しましたか。**
回答「ない」

**質問8:1か月未満の利用に必要な旅館業法上の許可その他の行政手続について、確認する仕組みがありましたか。**
回答「ない」

さらに質問9では、現在の同種の保険・補償について確認する仕組みがあるのか尋ねました。

営業利用の権限、所有者の承諾、管理規約との整合性、旅館業法上の許可等。

現在も4項目すべて、確認する仕組みが「ない」との回答でした。

■ 問題は「補償システム」の仕組みではないか?



今回、私が注目したのは、加入証に記載された「補償システム」という言葉です。

加入証には、補償システム引受会社と引受保険会社が別々に記載されています。

補償システム引受会社は、マンスリーマンションの予約サイトも運営しています。

つまり、予約サイトの運営と、掲載事業者向けの補償制度が結び付いている可能性があります。

仮に、多数の掲載事業者が同じ補償システムを利用しているのであれば、今回の問題は一室だけの話ではありません。

全国の多数のマンスリーマンションに共通する問題となる可能性があります。

もちろん、現時点で掲載事業者全体の加入状況や、補償システムの詳細な設計・審査体制まで確認できたわけではありません。

ただ、三井住友海上の回答から、少なくとも同社自身は、本件の営業権限等を確認しておらず、現在の同種補償についても4項目を確認する仕組みがないと回答していることが分かりました。

包括的な補償システムであれば、保険会社が個々の物件を直接確認しないこと自体は考えられます。

問題は、個々の物件を確認しない仕組みであれば、誰が、どの段階で、何を確認する制度になっているのかという点です。

■ 予約サイトAの役割と三井住友海上の責任

予約サイトAは、マンスリーマンションの物件情報を掲載するだけでなく、掲載事業者向けの補償システムにも関与しています。

つまり、物件の募集・予約と、営業に伴う事故等への補償が結び付いた仕組みです。

予約サイトAの運営会社は、掲載事業者がどのような権限で物件を営業利用しているのか、必要な許認可を取得しているのかを確認できる立場にあります。

そして、その補償システムの保険を引き受けているのが三井住友海上です。

包括的な保険契約であれば、保険会社が個々の物件を直接確認しないことは考えられます。

しかし、制度運営会社に確認を任せるのであれば、その確認基準や運用状況を管理することは、引受保険会社にとって重要な責任ではないでしょうか。

今回の回答では、三井住友海上自身に確認する仕組みがないことは分かりました。一方、予約サイトAの運営会社や保険代理店が実際に何を確認しているのか、その確認体制を三井住友海上がどう検証しているのかは明らかになっていません。

仮に、確認体制を検証しないまま補償システムの運営を任せているのであれば、制度運営会社だけの問題ではありません。

確認を他社に委ねたからといって、引受保険会社としての管理責任までなくなるわけではありません。

三井住友海上には、予約サイトAの運営会社を含めた補償システム全体の管理体制についても説明を求めます。

■ 保険加入時に4つの書類を確認すれば?

例えば、補償システムへの加入時に、次の4つの書類を確認する方法があります。

① マンション管理規約・使用細則

宿泊営業が認められているのか。

② 原賃貸借契約書

住居用なのか。営業利用や転貸が認められているのか。

③ 所有者の承諾書

所有者がマンスリーマンション営業を承諾しているのか。

④ 旅館業許可等

実際の営業形態に必要な許認可を取得しているのか。

管理規約に反していれば、管理規約に適合するよう是正が必要です。

賃貸借契約で営業利用が認められていなければ、契約の見直しや所有者の承諾が必要です。

旅館業に該当する営業であれば、必要な許可を取得しなければなりません。

必要な書類が確認できなければ補償を引き受けず、問題があれば是正後に引き受ける。

書類の確認だけですべての違反を防げるわけではありませんが、無断転貸や無許可営業等の問題を、営業開始前に発見できる可能性があります。

保険・補償の引受条件を見直すことが、全国のマンスリーマンション営業の正常化につながるのではないでしょうか。

■ ヤミ宿泊業を保険が支えていないか?

本件物件では、「7日以上30日未満」のスーパーショートプランが募集されていました。

所管の保健所からは、本件物件について旅館業許可がないとの回答を得ています。

実際の営業が旅館業法に違反するかどうかは、利用実態に基づく判断が必要であり、警察が捜査、保健所が調査中です。

しかし、営業権限や必要な許認可を確認しないまま補償を提供する仕組みであれば、無断転貸や無許可営業の疑義がある事業者にも補償が提供される可能性があります。

保険会社が意図せず、ヤミ宿泊業を保険・補償の面から支えてしまうおそれがあります。

今回の回答だけで、三井住友海上が違法営業を認識していたとか、補償制度運営会社や代理店も一切確認していなかったと断定することはできません。

だからこそ、補償システム全体の確認体制を検証する必要があると考えています。

■ 金融庁から電話があった

今回の問題については、金融庁にも情報提供を行っています。

その後、金融庁の担当者から直接電話がありました。

国民から寄せられた情報を関係部署に伝達する制度について説明があり、今回の情報もその仕組みによって伝達されるとのことでした。

なお、個別案件について書面で回答することはできないとの説明でした。

そして、10月16日付で三井住友海上から回答書が届きました。

金融庁への情報提供が回答につながったのか、単なる偶然なのかは分かりません。

ただ、一個人からの情報提供に対して金融庁から直接電話があり、保険会社からも正式な回答が届いたことは、今回の経緯として記録しておきたいと思います。

三井住友海上の回答書についても、金融庁に提供する予定です。

■ 次は「どう是正するのか?」を質問



三井住友海上には、今回の回答への謝意を伝えるとともに、追加質問状を送付する予定です。

主な質問は次のとおりです。

① 本件への対応

本件補償の引受経緯や現在の契約状況を調査し、どのように対応するのか。

② 補償システムの設計と管理

補償システムの加入基準は誰が定め、三井住友海上はどのような審査・管理を行っているのか。

③ 加入事業者・対象物件の規模

同じ補償システムに加入する事業者数、対象物件数はどの程度あるのか。

④ 既存契約の検証

同様の問題が他の契約にも存在しないか確認するのか。

⑤ 新規引受基準の見直し

所有者の承諾、賃貸借契約、管理規約、必要な許認可等を確認する仕組みを設けるのか。

⑥ 補償制度運営会社・代理店への対応

確認体制を整備し、関係会社への指導を行うのか。

⑦ 全国の同種制度の是正と対応時期

全国の同種契約を検証し、問題があればいつ、どのように改善するのか。

金融庁にも三井住友海上の回答書を提供し、制度の適切性や監督上の対応について確認します。

マンスリーマンション事業そのものを否定しているわけではありません。

適法に営業している事業者にとっても、補償制度の確認基準が明確になることには意味があります。

一室の無断営業をきっかけに、全国のマンスリーマンション向け補償システムのあり方を問うことになりました。

三井住友海上と金融庁が、今後どのように対応するのか注目しています。



これまでの経緯は、マンスリーマンション問題のコラムシリーズで紹介しています。

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