243【マンスリーマンション】警察から電話がありました 「旅館業法に該当」「捜査する」

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:賃貸経営実務



243【マンスリーマンション】警察から電話がありました 「旅館業法に該当」「捜査する」

前回のコラム242で、博多警察署へ告発状を提出したことを書きました。

その後、9月30日に博多警察署生活安全捜査課から電話がありました。

「旅館業法に該当」「捜査する」

大きく前進したと思います。


■ 9月14日に警察へ相談書面を提出

今回、いきなり告発状を提出したわけではありません。

9月14日、私は博多警察署へ本件についての相談書面を提出していました。

これまで調べてきた内容をもとに、旅館業法との関係などについて警察の見解を確認するためです。

警察では、この相談書面について検討し、ちょうど私に回答しようとしていたそうです。

その回答内容が、

「旅館業法に該当する」

そして、

「告発するのであれば捜査する」

というものでした。


■ 回答しようとしていたところに、告発状が届いた

一方、私は警察からの回答を待ちながら、保健所、消防署、保証会社などから得た回答や資料が整ったことから

告発状を発送。

ちょうど警察が9月14日の相談書面に回答しようとしていたところに、その告発状が届いたそうです。

9月30日、博多警察署生活安全捜査課の担当者から電話があり、この経緯について説明を受けました。

時系列にすると、

9月14日 博多警察署へ相談書面を提出
↓
警察が内容を検討
↓
「旅館業法に該当する」「告発するなら捜査する」と回答する予定
↓
そのタイミングで私からの告発状が到着
↓
9月30日 警察から電話

という流れです。

つまり、私が告発状を提出したことによって初めて警察が「旅館業法に該当する」と考えた、という経緯ではありません。

9月14日に提出した相談書面を検討した段階で、警察はそのように回答する予定だったとのことです。


■ 福岡県警本部にも確認

9月30日午前の電話では、

「福岡県警本部にも旅館業法について確認している」

との説明もありました。

そして同日午後、博多警察署から再び電話がありました。

今度は、すでに提出した告発状についてです。

県警本部ともやり取りをしたうえで、告発状として、もう少し明確に記載してほしい事項があるとのことでした。

具体的には、

・いつからいつまで
・どこで
・誰が
・何をしたのか
・罪名
・罰条
・処罰を求める意思

です。

そこで、警察からの指示に沿って、提出済みの告発状を追記・補正して再提出しました。


■ 実際に再提出した告発状

今回の告発状では、罪名と罰条を明確にしました。

罪名

「旅館業法違反(無許可営業)」

罰条

「旅館業法第3条第1項、第10条第1号、第13条」

です。


■ 「いつからいつまで」

期間については、

「2015年の賃貸借契約締結当初から2026年までの約10年間」

としました。

これは私の推測ではありません。

L社自身が私への回答書で、

「賃貸借契約締結当初より、マンスリーマンションとして運営」

「約10年間にわたり従前どおり運営を継続」

と回答しています。

さらに別の回答書でも、

「長年にわたり公然と運営を継続」

と回答しています。


■ 「どこで」

今回の告発対象となっているのは、私が所有する本件702号室です。

本件702号室について、L社との間には賃貸借契約があります。

L社は「賃貸借契約締結当初より、マンスリーマンションとして運営」と回答しています。

一方、

「契約締結当初から現在まで、本件702号室をマンスリーマンションとして営業利用することについて、歴代の所有者による承諾はありません」

という状態です。

さらに、

・賃貸借契約書は住居専用
・管理規約でも短期賃貸は不可
・保証会社も住居用保証

です。

その中で、L社自身が約10年間のマンスリーマンション運営を認めています。


■ 「誰が」

本件702号室の賃借人はL社です。

また、L社代表者についても、今回の補正で関係を整理しました。

代表者は、

・L社の代表取締役
・本件賃貸借契約の連帯保証人
・内容証明郵便に対する回答も代表取締役名義
・約10年間のマンスリーマンション運営について回答

という形で本件に関与しています。

そこで告発状では、代表者を含め、実際の意思決定者、指示者、募集・契約・利用者受入れ等を行った者を特定し、それぞれの認識や関与について捜査してもらうよう求めました。


■ 「何をしたのか」

L社は、本件702号室を家具・家電等を備えたマンスリーマンションとして、自社サイトや予約サイト等を通じて一般に募集していました。

そこには通常のマンスリー利用だけではなく、

「7日以上30日未満」

さらに、

「1日単位で利用期間を選択」

できる短期利用商品も含まれていました。

一方、私は博多保健所に、本件702号室を具体的に特定して旅館業法上の許可の有無を確認しています。

回答は、

「旅館業法上の許可 → なし」

でした。


■ 「処罰を求める意思」も明記

今回、警察から指摘された中で、もう一つ重要だったのが、

「処罰を求める意思」

です。

最初に提出した告発状では、この部分が明確ではありませんでした。

そこで警察からの指示を受け、再提出した告発状には、

「犯罪事実が認められた場合には、違反行為を行った者及び法人について、法令に基づき厳正かつ相応の処罰がなされることを求める」

と明記しました。


■ 告発状を追記・補正して再提出

今回の警察とのやり取りは、私自身にとっても勉強になりました。

一般人が告発状を提出する機会は、それほど多くないと思います。

私も今回が初めてです。

実際に提出してみると、単に資料を大量に添付するだけではなく、

「いつからいつまで、どこで、誰が、何をしたのか」

「何の法律の、何条に違反すると考えるのか」

「処罰を求めるのか」

を明確にする必要があることが分かりました。

今回は警察から具体的に補正事項を教えてもらえたので、その指示に沿って追記・補正した告発状を再提出しました。


■ 捜査の材料は、かなり整理されている

私はこれまで、本件702号室について、

・賃貸借契約書(住居専用)
・管理規約(短期賃貸不可)
・保証会社からの回答(住居用保証)
・歴代所有者による営業利用の承諾なし
・L社自身からの回答書
・実際の募集ページ
・「7日以上30日未満」の短期利用商品
・予約サイトの掲載内容
・保健所からの回答
・消防署からの回答

などを集めています。

これらの資料は警察にも提出しています。

つまり、

誰が借りているのか。

どのような契約なのか。

いつからマンスリーマンションとして運営しているのか。

どのような商品を一般募集しているのか。

旅館業法上の許可があるのか。

といった捜査の材料は、かなり整理されています。

ここから実際の利用者、利用期間、契約方法、料金、利用者の入れ替わり、運営方法などが確認されれば、本件702号室で実際に何が行われていたのか、さらに具体的になっていくと思います。

そして今回、警察から、

「旅館業法に該当する」

「捜査する」

という回答がありました。


■ L社だけの問題なのか

私が今回の調査を続けてきた理由は、L社1社だけを追及するためではありません。

本件702号室について調べ始めたことがきっかけですが、調査を進めると、同じような短期マンスリー商品を扱う事業者や、それらを掲載する予約サイトの存在も確認できました。

もちろん、他の事業者や掲載物件について、本件702号室と同じ問題があると決めつけることはできません。

賃貸借契約も違います。

所有者の承諾の有無も違います。

管理規約も違います。

保証契約も違います。

旅館業法上の許可の有無や消防上の対応も、それぞれ確認する必要があります。

だからこそ、必要であれば一つずつ確認すればいいと思っています。

本件702号室について警察が捜査し、

「どこまでが通常の賃貸借なのか」

「どのような営業実態なら旅館業法上の問題になるのか」

その具体的な線が見えてくれば、L社だけではなく、同様の事業を行う事業者にとっても大きな意味があります。

そして、そうした物件を多数掲載している予約サイトにとっても、掲載時の確認や運用方法を考えるきっかけになるかもしれません。


■ 1室から、マンスリーマンションの正常化へ

今回の発端は、私が所有する本件702号室でした。

たった1室です。

しかし調べていくと、

「住居専用の賃貸借契約」
「歴代所有者の営業利用への承諾なし」
「管理規約では短期賃貸不可」
「保証会社は住居用保証」

その一方で、

「約10年間のマンスリーマンション運営」

という実態が見えてきました。

さらに調べると、旅館業、消防、宿泊税、予約サイトなど、さまざまな問題につながっていきました。

今回、その一つである旅館業法について警察が捜査することになりました。

最終的に犯罪が成立するのか。

誰にどのような責任があるのか。

それを判断するのは警察や司法です。

私が期待しているのは、今回の捜査が本件702号室の事実確認だけで終わることではありません。

同様の問題が存在するのであれば、それも是正されてほしい。

L社だけではありません。

同様の営業を行っている事業者。

それらの物件を掲載している予約サイト。

そして、契約、保証、管理、消防、旅館業など、それぞれの立場で関係する企業や行政。

それぞれが自分たちの守備範囲を確認する。

問題があれば直す。

問題がなければ、その根拠を明確にする。

マンスリーマンションという仕組み自体を否定する話ではありません。

適法で安全に運営できる建物、契約、仕組みでやればいい。

今回の警察の捜査が、その「正常化」につながればいいと思っています。

本件702号室から始まった話が、どこまで広がるのか。

ここからは警察の捜査を待ちます。





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