226【マンション】隣の部屋が民泊・ウィークリー・マンスリーかも? 迷ったら行政に情報提供

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:賃貸経営実務



226【マンション】隣の部屋が民泊・ウィークリー・マンスリーかも? 迷ったら行政に情報提供


マンションに住んでいて、

「隣の部屋、最近よく人が変わるな?」

「同じマンションで見たことない人やたら多いな?」

と思ったことはありませんか。


毎回違う人が出入りしている。

スーツケースやキャリーケースを持った人をよく見かける。

外国人や旅行者らしき人が、短期間で入れ替わっている。

夜になると知らない人がやってくる。

キーボックスのようなものが設置されている。


そんな状況を見れば、

「民泊?」

「ウィークリーマンション?」

「マンスリーマンション?」

と思う人もいるでしょう。


でも、一般の住民には分かりません。


そして、

分からなくていいんです。


■ 民泊なのか、マンスリーなのか、自分で調べる必要はない


まず大切なのは、

自分で調査して結論を出す必要はない、

ということです。


その部屋の賃貸借契約書を見ることはできません。

オーナーが承諾しているのかも分かりません。

マンションの管理規約を持っていない人もいるでしょう。


旅館業の許可を取得しているのか。

住宅宿泊事業の届出をしているのか。

消防上の手続きはどうなっているのか。

そもそも、その利用方法が違法なのか。


普通のマンション住民には分かりません。


だから、

「違法だと確認できないから何もできない」

と考える必要はありません。


分からないから、

行政に情報提供すればいいのです。


■ 直接注意する必要もありません


もう一つ大切なことがあります。


利用者に、

「あなた、ここに住んでいるんですか?」

と聞く必要はありません。


部屋を訪ねる必要もありません。

運営会社を探して電話する必要もありません。

直接注意する必要もありません。


相手が誰なのかも分かりません。


旅行者なのか。

単なる知人なのか。

普通の入居者なのか。

マンスリーの利用者なのか。


接触する必要はありません。


■ 誰かの許可をもらう必要もない


管理会社へ連絡してからでないと行政に情報提供できない。

管理組合の許可が必要。

オーナーを特定しなければならない。


そんなこともありません。


自分が実際に見聞きした事実を、

行政の相談・通報窓口へ伝えればいい。


「違法民泊です」

と断定する必要もありません。


「民泊かもしれない」

「ウィークリー、マンスリーとして短期利用されているように見える」

「よく分からないので情報提供します」


それで十分です。




■ 実際に自治体も情報提供を受け付けている


これは私が勝手に言っている話ではありません。


実際に複数の自治体が、

民泊等について住民からの相談、通報、情報提供を受け付けています。


いくつか具体例を見てみましょう。


■ 福岡市


福岡市は、

近隣で違法と思われる施設がある場合には、

施設が所在する区の衛生課へ連絡するよう案内しています。


その際、

所在地、

部屋番号、

建物外観の写真など、

調査に役立つ情報があれば提供するよう求めています。


寄せられた情報は調査・指導に使用され、

内容によっては警察等の関係機関への情報提供に利用する場合もあるとしています。


福岡市
「いわゆる民泊」の苦情や相談窓口について

https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/kurashinoeisei/news/iwayuruminnpaku/iwayuruminnpakunokujyouyasoudannmadogutinituite.html


また福岡市は、

民泊仲介サイトを監視して、

旅館業法上の許可や住宅宿泊事業法上の届出が確認できない施設の掲載状況などを調査する、

「違法民泊ゼロプロジェクト」

にも取り組んでいます。


福岡市
「安心安全な宿泊環境の確保事業を開始します~違法民泊ゼロプロジェクト~」

https://www.city.fukuoka.lg.jp/shisei/kouhou-hodo/hodo-happyo/2024/documents/ansinanzennasyukuhakukankyounokakuhojigyowokaisisimasu.pdf


■ 京都市


京都市には、

そのものズバリ、

「民泊通報・相談窓口」

があります。


ここでは、

通報だけではなく、

苦情、

相談、

問い合わせ、

意見なども受け付けています。


つまり、

「違法だと確認できた人だけが通報する窓口」

ではありません。


民泊について不安や疑問があれば、

相談することができます。


京都市
「民泊通報・相談窓口」

https://minpakuportal.city.kyoto.lg.jp/local/local1


電話だけでなく、

入力フォームや電子メールでも受け付けています。


■ 京都市では、市民の通報から267施設を確認


そして、

私が非常に興味深いと思った事例があります。


2024年、

京都市に市民から通報がありました。


京都市が調査したところ、

「ウィークリーマンション等」と称して宿泊の募集をしていた施設のうち、

違法「民泊」に該当する267施設を確認しました。


そして行政が指導。


267施設すべてについて、

営業中止・撤退を確認しています。


267施設です。


始まりは、

市民からの通報でした。


京都市
「ウィークリーマンション等と称する違法『民泊』施設に対する指導結果について」

https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000330379.html


京都市によると、

事業者側はウィークリーマンション等について、

営業許可が必要な旅館業には該当しないと認識していたとのことです。


しかし京都市は、

住宅の貸付期間が1か月未満の場合には旅館業に該当するとして指導しています。


京都市は現在も、

民泊通報・相談窓口への通報件数や、

無許可営業が疑われる施設への調査・指導状況を公表しています。


京都市
「京都市における宿泊施設の状況(許可施設数、届出住宅数、無許可施設への対応等)」

https://minpakuportal.city.kyoto.lg.jp/news/953.html


■ 大阪市は「違法民泊かも?と思ったら」


大阪市はもっと分かりやすいです。


公式サイトに、

「違法民泊かも?と思ったら『違法民泊通報窓口』へ」

と書いてあります。


「違法民泊だと確認したら」

ではありません。


「違法民泊かも?」

です。


近所で違法民泊が疑われる場合には、

部屋番号や営業者の連絡先など、

分かる範囲の詳しい情報を通報窓口へ寄せるよう案内しています。


大阪市
「民泊の適正な運営の確保について」

https://www.city.osaka.lg.jp/konohana/page/0000434741.html


大阪市では、

保健所に「違法民泊通報窓口」を設けています。


さらに、

行政だけでなく大阪府警察本部等とも連携した、

「違法民泊撲滅チーム」

を設けています。


■ 横浜市


横浜市も、

違法な営業が疑われる施設については、

施設が所在する区の福祉保健センター生活衛生課へ連絡するよう案内しています。


横浜市
「旅館業法に関する情報」

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/seikatsu/kaiteki/ryokan.html


横浜市では、

旅館業法に基づく許可を受けている施設の一覧や、

住宅宿泊事業法に基づく届出をしている施設の一覧も公開されています。


住宅宿泊事業、いわゆる民泊についてはこちらです。


横浜市
「住宅宿泊事業(民泊)の届出について」

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/seikatsu/kaiteki/20180222105955.html


■ 共通しているのは「住民自身が判断する必要はない」ということ


福岡市。

京都市。

大阪市。

横浜市。


表現や窓口は少しずつ違います。


でも、

「違法性を住民自身が証明してから来てください」

という仕組みではありません。


大阪市なんて、

「違法民泊かも?」

です。


横浜市も、

「違法な営業が疑われる施設」

について連絡するよう案内しています。


京都市に至っては、

市民からの通報をきっかけとして行政が調査し、

267施設すべての営業中止・撤退につながった実例があります。


住民は、

捜査官でも、

弁護士でも、

行政職員でもありません。


違法かどうかを自分で判断する必要はありません。


■ こんな情報提供で十分


では、

実際には何と伝えればいいのでしょうか。


例えば、

こんな内容で十分だと思います。


【行政への情報提供例】


○○市○○区の○○マンションについて情報提供します。

私はこのマンションの住民です。

最近、○号室について、短期間に利用者が入れ替わっているように見えます。

スーツケースを持った旅行者と思われる人や、毎回異なる人が出入りしているところを何度か見かけました。

民泊、ウィークリーマンション、マンスリーマンション等として利用されているのかもしれませんが、私には確認できていません。

管理規約、所有者の承諾、旅館業法上の許可・届出その他の手続きについても分かりません。

違法であると断定する趣旨ではありません。

念のため情報提供いたしますので、必要に応じて利用実態や許可・届出等をご確認ください。


【分かる範囲の情報】

・マンション名

・所在地

・部屋番号

・気になった時期

・実際に見聞きした状況

・掲載サイト等が分かれば、その情報


これだけです。


証拠を完璧に集める必要もありません。


自分が見聞きした事実と、

「私には分からないので確認してください」

を伝えればいい。


■ 外国人だから問題なのではありません


ここは誤解のないように書いておきます。


外国人がマンションに住んでいることは、

もちろん何の問題もありません。


旅行者であること自体も問題ではありません。


問題にしているのは国籍ではなく、

「短期間で利用者が次々に入れ替わっているように見える」

という利用実態です。


外国人、

日本人、

誰であっても同じです。


毎回違う人がスーツケースを持って出入りしている。

数日ごとに人が変わっている。

明らかに通常の居住とは違うように見える。


そうした状況が、

民泊、

ウィークリー、

マンスリーなどを疑うきっかけになる、

というだけの話です。


■ 直接対峙する必要はない


私は、

一般のマンション住民が、

運営事業者や利用者と直接対峙する必要はないと思っています。


誰が運営しているのか。

どんな契約なのか。

必要な許可があるのか。


分からない。


だから行政に伝える。


そして、

調査する必要があるのか。

適法なのか。

指導が必要なのか。


それを判断するのは行政です。


非常にシンプルな話です。


■ 事件や事故が起きてからでは遅い


マンションには、

多くの人が生活しています。


オートロック。

共用廊下。

エレベーター。

ゴミ置場。

駐車場。


住民は、

同じ建物の設備と空間を共有しています。


もし、

「前から知らない人が頻繁に出入りしていて気になっていた」

という部屋で、

火災や事件などが発生したらどうでしょう。


「あのとき知らせておけばよかった」

では遅い。


もちろん、

怪しいと思った部屋が、

調べてみたら何の問題もなかった。


それなら、

それでいいのです。


■ 分からないから情報提供する


管理規約が分からない。

賃貸借契約も分からない。

オーナーの承諾も分からない。

許可の有無も分からない。

本当に民泊なのかも分からない。

違法なのかどうかも分からない。


だから何もしない。


ではなく、


「分からないから、行政に情報提供する」


でいいと思います。


直接注意しなくていい。

自分で確認しなくていい。

誰かの許可を取らなくていい。

違法だと断定しなくていい。


見たこと、

気づいたことを、

事実として伝える。


調査と判断は行政に任せる。


実際に、

福岡市、京都市、大阪市、横浜市なども、

疑わしい施設について住民からの相談や情報を受け付けています。


そして京都市では、

市民からの通報が、

267施設の調査・指導につながりました。


民泊なのか。

ウィークリーなのか。

マンスリーなのか。


迷ったら、

まず情報提供。


事件や事故が起きてからでは遅いのです。


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