234【マンスリーマンション】国土交通省に質問してみた 宅建業の監督と「7日以上30日未満」の短期利用

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:賃貸経営実務



234【マンスリーマンション】国土交通省に質問してみた 宅建業の監督と「7日以上30日未満」の短期利用


■ まず結論


国土交通省や国交省関係の公表資料を確認すると、
マンスリーマンションについて、すでに次のことが確認できます。


・「マンスリーマンション」という名称だけで、賃貸住宅に該当するとは決まらない

・賃貸住宅に該当するかは、滞在期間、生活の本拠として使用されることが予定されているか、衛生上の維持管理責任を誰が負うかなど、実際の利用形態が関係する

・分譲マンションで民泊等を行う場合、管理規約との整合が重要になる

・国交省関係資料には「ウィークリー、マンスリー対応規約」という項目まである

・違法民泊への対応として「保健所への通報と連携」が示されている

・同じく「警察との連携」も示されている

・国土交通省はマンション管理だけでなく、宅地建物取引業法を所管している

・国土交通省は賃貸住宅管理業、住宅宿泊管理業にも関係する


つまり、

「マンスリーマンションだから大丈夫」

「定期借家契約だから大丈夫」

「管理規約にマンスリー禁止と書いていないから大丈夫」

と簡単に終わる話ではありません。


もはや、答えは出ていますが

念のため、今回のケースでも国交省に質問状を送っています。

普通の分譲マンションの一室を使って、

「7日以上30日未満」

しかも、

「1日単位で利用期間を選択できる」

短期利用を反復して行う場合です。

しかも「宅建業者」が。



今回は、

国土交通省がすでに公表している資料を確認しながら、

この問題をできるだけわかりやすく整理してみます。



■ なぜ国土交通省に質問したのか?


今回、国土交通省に質問した理由は、

マンション管理を所管しているからだけではありません。


国土交通省は、

「宅地建物取引業法」

を所管する国の行政機関でもあります。


宅建業者の免許・監督については、

免許の区分によって、

国土交通大臣
都道府県知事

が担当します。


さらに、

賃貸住宅管理業や
住宅宿泊管理業にも関係します。


つまり今回の問題は、

マンション管理

だけではなく、

賃貸住宅
宅建業
住宅宿泊管理

という複数の分野で、

国土交通省と関係しています。


だから質問しました。



■ 実際に「7日以上30日未満」で募集されています


今回、国土交通省には、

単なる一般論だけを質問したわけではありません。


私の所有物件が実際に掲載されていた
予約サイトの資料も添付しました。


そこには、

「スーパーショート 7日以上~30日未満」

と記載されています。


さらに、

「1日単位で利用期間を選択できます」

とも書かれています。


つまり、

7日
8日
10日
14日
20日

といった利用も可能です。


契約形態の表示は、

「定期借家契約|貸主」。


さらに、

入居時間 15時以降
退居時間 10時

という表示もあります。


家具・家電が設置され、

光熱費
清掃料
事務手数料
保証料
寝具代

なども設定されています。


では、

この利用形態は、

普通の居住用賃貸と
まったく同じなのでしょうか?


ここが私の疑問です。





■ 「マンスリーマンション」という名前だけでは決まらない


国土交通省は、

賃貸住宅管理業に関する資料の中で、

ウィークリーマンションや
マンスリーマンションについても整理しています。


少し難しい文章ですが、

簡単に言えば、

「名前ではなく、実際にどう使われているのかを見る」

ということです。


例えば、

・滞在期間が長期に及ぶ

・生活の本拠として使用されることが予定されている

・衛生上の維持管理責任を利用者自身が負う

などの実態がある場合には、

賃貸住宅に該当する場合があります。


逆に言えば、

「マンスリーマンション」

と名前を付ければ、

自動的に普通の賃貸住宅になる、

という話ではありません。


実際の利用形態が重要になります。



■ では「7日以上30日未満」はどう考えるのか?


ここで、

今回のスーパーショートプランに戻ります。


7日以上30日未満。


しかも、

1日単位で利用期間を選択できる。


では、

7日間利用する人について、

「生活の本拠として使用することが予定されている」

と言えるのでしょうか?


10日なら?

14日なら?

20日なら?


もちろん私は、

「7日だから違法」

「30日未満だから必ず旅館業」

と断定しているわけではありません。


私は行政機関ではありません。


だからこそ、

所管する行政機関に質問しています。



■ 「定期借家契約」と書けば全部解決するのか?


予約サイトには、

契約形態として、

「定期借家契約|貸主」

と表示されています。


では、

利用者との契約を

「定期借家契約」

にすれば、

すべて普通の賃貸になるのでしょうか?


例えば、

・原賃貸借契約では何が認められているのか

・貸主は転貸を承諾しているのか

・7日などの短期利用まで承諾しているのか

・管理規約ではどのような用途が認められているのか

・管理組合は営業実態を把握しているのか


こうした問題は別に残ります。


契約の名前だけで、

他の契約や管理規約まで
書き換わるわけではありません。


そこで国土交通省には、

「定期借家契約」という名称だけで、

管理規約や使用細則上の用途制限等の確認が
不要になるのか?

という点も質問しています。



■ 分譲マンションなら管理規約があります


もう一つ重要なのが、

「どこで営業しているのか」

です。


一棟丸ごと短期滞在用として
設計・運営されている建物と、

普通の人が生活している
分譲マンションの一室。


これは同じようには考えられないと思います。


分譲マンションには、

区分所有者
居住者
管理組合
管理会社

など、

多くの関係者がいます。


そして、

管理規約
使用細則

があります。





■ 国土交通省は「マンション標準管理規約」を公表しています


国土交通省は、

マンション標準管理規約

を公表しています。


国土交通省
マンション管理・再生ポータルサイト

https://www.mansion-info.mlit.go.jp/


マンション標準管理規約等・ライブラリー

https://www.mansion-info.mlit.go.jp/library/


住宅宿泊事業についても、

民泊を

「可能とする場合」

「禁止する場合」

それぞれについて規定例が示されています。


つまり、

部屋を借りることができたからといって、

そのマンションで
どのような使い方でもできる、

という話ではありません。


分譲マンションでは、

管理規約や使用細則との整合も
確認する必要があります。



■ 国交省関係資料には「ウィークリー、マンスリー対応規約」まである


ここは、

今回調べていて特に興味深かったところです。


国交省関係資料に、

「管理組合における『民泊』対応マニュアルⅡ
~違法民泊排除と合法民泊推進のてびき~」

というものがあります。


この資料には、

民泊だけではなく、

「ウィークリー、マンスリー対応規約」

という項目まであります。


つまり、

国の関係資料でも、

ウィークリーやマンスリーを

マンション管理上の問題として
取り上げています。


「民泊じゃないから関係ない」

ではない、

ということです。



■ 保健所との連携、警察との連携も書かれています


さらに、

同じ資料には、

・保健所への通報と連携

・警察との連携

・違法民泊の予防対策

なども記載されています。


短期利用の問題は、

事業者と利用者だけの問題ではありません。


普通の分譲マンションには、

この事業とはまったく関係のない人が
生活しています。


防犯
防災
騒音
ごみ
共用部分の利用
緊急時の対応

など、

居住者の安全や生活にも関係します。


だから、

保健所だけではなく、

管理組合
管理会社
警察

などとの連携も必要になるわけです。



■ 「管理規約にマンスリー禁止と書いていないから大丈夫」なのか?


ここも私が疑問に思っているところです。


マンションの管理規約には、

世の中で起こり得る
すべての禁止行為が、

一つ一つ書かれているわけではありません。


例えば、

「専ら住宅として使用する」

と定められているマンションもあります。


では、

「民泊禁止」

「マンスリー禁止」

「7日利用禁止」

と一つ一つ書かれていなければ、

何をやってもいいのでしょうか?


私は、

そんなに単純な話ではないと思っています。


だから、

管理規約
使用細則
実際の利用方法
転貸の有無
貸主の承諾

などを確認する必要があります。



■ 国土交通省は宅建業を所管する行政機関でもある


そして、

今回もう一つ確認したかったのが、

「宅建業者としてどう考えるのか?」

という問題です。


国土交通省は、

宅地建物取引業法を所管しています。


今回私が確認しているケースでは、

宅建業者が、

住居用の分譲マンションを借り、

自らを「貸主」と表示して、

第三者に対して、

7日以上30日未満を含む
短期利用商品として募集しています。


ここで知りたいのは、

「宅建業者がやっているから大丈夫」

なのか?

ということです。


むしろ宅建業者であるなら、

原賃貸借契約上の用途

転貸・第三者使用の可否

貸主の承諾

管理規約

使用細則

などとの整合性は、

重要な確認事項ではないのでしょうか?


この点についても、

国土交通省に質問しています。



■ 私自身のケースでは「住居」でした


ここが、

私がこの問題を調べ始めた原点です。


私が所有する、

福岡市博多区の分譲マンションの一室。


賃貸借契約書では、

使用目的は、

「住居」

です。


さらに、

貸主の書面による承諾なく、

第三者に転貸したり、
使用させたりすることを制限する内容になっています。


ところが、

実際には、

インターネット上で
マンスリーマンションとして募集され、

7日以上30日未満の
スーパーショートプランまで設定されていました。


私は、

そのような利用を承諾していません。


現在、

この問題については、

福岡地方裁判所で、

明渡し・損害賠償等を求める裁判を行っています。


福岡地方裁判所
令和8年(ワ)第2671号


だから私は、

「マンスリーマンションとは何なのか?」

を一つずつ調べ始めました。



■ 国土交通省には10項目を質問しました


今回の質問状では、

できるだけ回答しやすいように、

10項目の質問を作りました。


例えば、

・短期利用と管理規約

・住宅宿泊事業の可否の明確化

・「専ら住宅として使用」と短期営業利用

・「定期借家契約」という名称

・管理組合、管理会社への事前確認

・賃借人による短期利用者への提供と貸主承諾

・管理上のトラブル、安全面

・違法民泊等を把握した場合の対応

・宅建業者がマンスリーマンション事業を行う場合

・7日以上30日未満という営業表示


などです。


そして、

「はい」

「いいえ」

「条件による・個別判断」

「所管外・回答困難」

から選べる回答用紙まで付けました。


回答のハードルは、

かなり下げたつもりです。



■ 国土交通省から回答はあるのか?


現時点では、

回答待ちです。


中央官庁ですから、

「個別案件については回答できない」

ということになるかもしれません。


所管外という回答もあるでしょう。


回答そのものがない可能性もあります。


それでも、

質問する意味はあると思っています。


なぜなら、

国土交通省自身が、

マンション管理
賃貸住宅管理
宅地建物取引業
住宅宿泊管理業

について、

多くの資料を公表しているからです。


その制度の間にある、

「分譲マンションを使った短期マンスリー営業」

を、

国はどう考えるのか。


回答があれば、

このコラムにも追記します。



■ 調べれば調べるほど、関係するところが増えました


これまで、

保健所
消防
保証会社
保険会社
予約サイト
建物管理会社
宅建関係
金融庁
国土交通省
厚生労働省
観光庁

などに、

質問や情報提供を行っています。


警察にも相談しています。


なぜここまで確認するのか。


理由は簡単です。


事故や事件が起きてからでは遅いからです。


普通の分譲マンションには、

この事業とはまったく関係のない
居住者がたくさん生活しています。


所有者もいます。


だから、

「事業者と利用者だけの問題」

ではありません。



■ 「1か月以上なら大丈夫」で終わらせない


私は、

マンスリーマンションという仕組みそのものを
否定しているわけではありません。


転勤
長期出張
研修
建替え
一時的な住まい

など、

必要としている人もたくさんいます。


だからこそ、

できる建物で、

必要な手続きをして、

貸主の承諾を得て、

管理規約を確認して、

必要な許認可や消防設備、

保証、保険なども確認して、

きちんと運営すればいい。


私はそう考えています。


問題なのは、

「マンスリーだから大丈夫」

「1か月以上なら大丈夫」

「定期借家契約だから大丈夫」

という言葉だけで、

すべてを終わらせてしまうことです。



■ 関連する公的資料


国土交通省
マンション管理・再生ポータルサイト

https://www.mansion-info.mlit.go.jp/


国土交通省
マンション標準管理規約等・ライブラリー

https://www.mansion-info.mlit.go.jp/library/


国土交通省
住宅宿泊管理業について

https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr3_000050.html


観光庁
民泊制度ポータルサイト

https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/


■ 最後に


法律や行政の資料は、

普通の人が読むには難しいものが多いです。


私も行政機関ではありません。


だから、

自分で勝手に結論を出すのではなく、

契約書を確認する。

管理規約を確認する。

行政の資料を読む。

実際の営業内容を確認する。

そして、

所管する行政機関に聞く。


一つずつ確認しています。


「今までやっていたから大丈夫」

ではなく、

「本当に大丈夫なのか?」


事故や事件が起きる前に、

確認することが大切だと思います。


※本コラムは、私自身が経験している事案と、公表されている行政資料等をもとに問題提起するものです。特定の事業者について違法性等を断定するものではありません。



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