88【不動産投資】火災保険実例 動画25分

238【マンスリーマンション】消防署にも質問してみた 本件702号室の消防検査等は「なし」
■ まず結論
本件702号室について、
短期宿泊・旅館・ホテル等としての利用を前提とした消防検査等は、
「なし」
でした。
博多消防署に、
・消防法令上の届出
・相談
・立入検査
・消防法令適合通知書の交付等
があるのか質問しました。
回答は、
「ない」
でした。
これは前回のコラム237で確認した、
本件702号室の旅館業許可
「なし」
ともつながります。
正式に旅館業許可を取得する場合には、
消防法令への適合確認を行い、
必要な消防関係の手続きを経たうえで、
旅館業許可の手続きへ進むからです。
前回、
保健所に確認した旅館業許可は、
「なし」。
今回、
消防署に確認した消防検査等も、
「なし」。
ここまでは、ある意味つながっています。
しかし、
今回の消防署への質問で重要なのは、
むしろここからです。
■ 「7日以上30日未満」なら消防上どうなる?
本件702号室では、
「スーパーショート 7日以上30日未満」
の商品が販売されています。
さらに、
「1日単位で利用期間を選択できます」
と明記されています。
家具・家電等が用意され、
光熱費、
清掃料、
寝具セット
も設定されています。
入居時間は15時以降。
退居時間は10時。
私は、
このような形で短期利用者を入れ替えながら反復継続して提供する場合について、
博多消防署に3つ質問しました。
①通常の共同住宅とは異なる消防上の用途・取扱いとなる可能性はあるか?
「ある」
②消防設備の追加・変更、届出、検査、防火管理上の対応等が必要となる可能性はあるか?
「ある」
③避難・安全管理上、通常の共同住宅とは異なる消防上の確認・対応が必要となる可能性はあるか?
「ある」
全部、
「ある」
でした。
ここが今回の重要な回答です。
■ 正式に旅館業許可を取るには?
では、
普通の分譲マンションの一室で、
正式に旅館業許可を取ろうとするとどうなるのでしょうか。
福岡市が公開している手続きを見ても、
「保健所に申請書を出せば終わり」
ではありません。
大まかには、
管理規約・使用権原等の確認
↓
建築関係法令の確認
↓
消防署への相談
↓
必要な消防設備等への対応
↓
消防法令への適合確認
↓
必要な消防関係書類
↓
保健所への旅館業営業許可申請
↓
施設調査
↓
旅館業許可
↓
営業開始
という流れになります。
分譲マンションなら、
管理規約上、
そのような営業が可能なのか。
賃貸物件なら、
所有者・貸主が、
そのような使用を承諾しているのか。
さらに、
建築、
消防、
保健所、
それぞれの確認があります。
■ 本件702号室は、そもそも入口から問題がある
ここで、
本件702号室に当てはめてみます。
消防設備をどうするのか、
という話より前に、
もっと根本的な問題があります。
本件マンションの管理規約は、
「住居専用」。
さらに、
「転貸不可」。
です。
L社は、
702号室の所有者ではありません。
賃借人です。
賃貸借契約も、
住居として締結されています。
そして私は、
本件702号室の所有者・貸主です。
私は、
旅館業として使用することも、
民泊として使用することも、
短期宿泊営業を目的として第三者へ転貸することも、
承諾していません。
整理すると、
管理規約
「住居専用・転貸不可」
賃貸借契約
「住居」
貸主
「宿泊営業・短期転貸を承諾していない」
という状態です。
つまり、
消防設備をどうするのか、
という話以前に、
そもそも、
この部屋を宿泊営業に使用できるのか?
という入口の問題があります。
現在の管理規約、
賃貸借契約、
貸主の承諾状況を前提にすると、
本件702号室で正規の旅館業許可取得ルートを進むことは、
極めて難しいように見えます。
■ その入口をクリアしても、次は消防
仮に、
管理規約や使用権原等の問題をクリアしたとしても、
次に消防があります。
ここも、
「消火器を置けばいい」
という程度の話ではありません。
例えば、
誘導灯です。
「誘導灯を設置する」
と聞くと、
器具を一つ壁や天井に付ければ終わり、
と思うかもしれません。
実際は、
そんな単純な話ではありません。
設置位置を確認する。
常用電源を確保する。
必要な配線を行う。
建物の状況によっては、
天井裏などを通す配線工事も必要になります。
さらに重要なのが、
停電時です。
火災や災害時に停電して、
誘導灯まで消えてしまったら意味がありません。
そのため、
停電時にも一定時間点灯できるよう、
非常用電源を備える仕組みがあります。
つまり、
通常時に光ればいい、
という設備ではありません。
自動火災報知設備等についても、
既存設備との関係を確認し、
必要な設備・工事を行い、
消防法令への適合を確認してもらうことになります。
普通の分譲マンションなら、
専有部分だけで完結せず、
共用部分や建物全体の既存設備との関係が出てくる場合もあります。
■ 「消防設備を追加する」は簡単な話ではない
画像にすると分かりやすいと思います。
誘導灯一つを考えても、
設置位置
↓
電源
↓
配線
↓
停電時の非常用電源
↓
既存消防設備との関係
↓
消防による確認
と、
いくつもの確認があります。
そして、
必要になる設備や工事は、
建物の構造、
規模、
既存の消防設備、
利用形態、
収容人員
などによって違います。
つまり、
「消防設備を追加する」
とは、
ホームセンターで器具を買ってきて、
部屋に付ければ終わり、
という話ではありません。
■ 時間も費用もかかる
福岡市で旅館業営業許可を申請する場合、
申請手数料は、
1施設22,000円。
しかし、
「22,000円を払えば旅館業ができる」
という意味ではありません。
本当のハードルは、
申請にたどり着くまでです。
管理規約を確認する。
使用権原を確認する。
建築関係を確認する。
消防署に相談する。
必要な消防設備を確認する。
必要なら工事をする。
消防法令への適合確認を受ける。
そして、
ようやく旅館業許可申請へ進む。
設備工事が必要なら、
当然、
工事費用もかかります。
時間もかかります。
管理規約、
使用権原、
建築、
消防
のどこかで条件を満たさなければ、
そもそも旅館業許可申請まで進めない場合もあります。
■ これを80室でやるのでしょうか?(笑)
ここで、
L社の事業規模を考えてみます。
確認している事業規模は、
約80室。
仮に、
これらを旅館業として正式に営業するのであれば、
まず一室ずつ、
管理規約はどうなっているのか。
所有者は承諾しているのか。
賃貸借契約はどうなっているのか。
建築関係はどうなのか。
消防設備はどうなっているのか。
を確認する必要があります。
そして必要なら、
消防設備を設置・改修する。
消防法令への適合確認を受ける。
保健所に申請する。
施設調査を受ける。
旅館業許可を取得する。
これを、
80室。
できるのでしょうか?(笑)
しかも、
同じ建物の80室ではありません。
建物が違う。
所有者が違う。
管理組合が違う。
管理規約が違う。
賃貸借契約も違う。
既存の消防設備も違う。
必要な工事も違う。
一つの手続きを80回コピーすれば終わる、
という話ではありません。
■ なぜ、ここまで厳格なのか?
ここまで読むと、
「旅館業って面倒だな」
と思う人もいるかもしれません。
確かに、
時間もかかります。
費用もかかります。
消防設備の工事まで必要になる場合があります。
しかし、
なぜ、
ここまで厳格なのでしょうか。
理由は、
他人の命、安全、財産が関係するからです。
宿泊する本人だけではありません。
普通の分譲マンションなら、
隣にも、
上にも、
下にも、
普通に生活している人がいます。
火災が発生すれば、
一室だけの問題では済まない可能性があります。
だから、
管理規約、
使用権原、
建築、
消防、
保健所
など、
いくつもの確認があります。
面倒だから設けられている手続きではありません。
事故を防ぎ、
人の命を守り、
周囲の人の安全と財産を守るための手続きです。
■ 実際に火災は起きている
これは、
机上の話ではありません。
実際に、
宿泊施設や短期宿泊施設等では火災が発生しています。
短期利用者は、
その建物をよく知っているとは限りません。
今日初めて来た人かもしれません。
階段の場所を知らない。
避難経路を知らない。
消火器の場所を知らない。
外国人利用者かもしれません。
そして、
深夜に火災が起きるかもしれません。
私が今回の問題を調べる中でも、
京都市における短期宿泊施設等について、
消防・安全対策が問題となった事例や行政資料を確認しました。
だからこそ、
消防設備、
避難経路、
防火管理、
安全管理
について、
通常の住宅とは異なる確認が必要になる場合があります。
■ ハードルが高いことと、飛び越えていいことは別
私は、
旅館業のハードルが高いこと自体は、
当然だと思っています。
むしろ、
他人の命、安全、財産に関わる以上、
簡単であってはいけないのでしょう。
問題は、
そのハードルが高いから、
「これは旅館ではありません」
「マンスリーマンションです」
「定期借家契約です」
と名称を変えれば、
全部飛び越えていいのか?
ということです。
前回、
保健所に質問しました。
定期賃貸借契約等の形式であっても、
営業実態によって旅館業に該当する可能性は、
「ある」。
今回、
消防署にも質問しました。
通常の共同住宅とは消防上の取扱いが変わる可能性
「ある」。
消防設備の追加・変更、
届出、
検査、
防火管理上の対応等が必要になる可能性
「ある」。
避難・安全管理上の対応が変わる可能性
「ある」。
でした。
■ まとめ 消防検査等は「なし」
今回の結論を、
もう一度整理します。
本件702号室について、
短期宿泊・旅館・ホテル等としての利用を前提とした消防検査等は、
「なし」。
前回確認した旅館業許可も、
「なし」。
一方、
消防署への質問では、
通常の共同住宅とは消防上の取扱いが変わる可能性
「ある」。
消防設備等の対応が必要になる可能性
「ある」。
避難・安全管理上の対応が変わる可能性
「ある」。
でした。
さらに本件では、
管理規約は、
「住居専用・転貸不可」。
賃貸借契約も、
「住居」。
貸主である私は、
宿泊営業・短期転貸を承諾していません。
そのうえで、
建築、
消防、
設備工事、
消防法令への適合確認、
保健所、
施設調査
という正式な手続きがあります。
手続きが大変なことと、
手続きをしなくていいことは、
全く別の話です。
「マンスリー」
「定期借家」
という名称を付ければ、
こうした手続きや安全確認がすべて不要になるのでしょうか。
少なくとも、
今回の保健所と消防署の回答を見る限り、
そんな単純な話ではありません。
見るべきものは、
名称ではなく、
営業実態です。
そして、
法律や消防の手続きが守ろうとしているのは、
契約書の名称ではありません。
人の命、安全、財産です。
■ 参考リンク
福岡市「民泊はじめてガイド」
旅館業・住宅宿泊事業、建築・消防関係を含む手続きの概要を確認できます。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/kurashinoeisei/jigyosya/ryokan/documents/minpakuhajimetegaido.pdf
福岡市「旅館業の営業について」
旅館業営業許可の手続き、必要書類、申請等について確認できます。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/kurashinoeisei/jigyosya/ryokan/ryokangyounoeigyounituite.html
福岡市「民泊サービスの提供をお考えの方へ」
旅館業法、住宅宿泊事業法、消防関係の手続き等について確認できます。
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/kurashinoeisei/jigyosya/ryokan/minpakusa-bisuwookangaenokatahe.html
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