208【不動産投資】定期借家契約は本当に有利なのか? 大家歴25年の結論

# コラム252 マンスリーマンション問題 建物管理会社14社を特定、12社に再度資料を送付
マンスリーマンションを運営するL社について、予約サイトAに掲載されていた物件の建物管理会社14社を特定しました。
そのうち12社に対し、2026年10月16日付で情報提供と確認依頼を行いました。
実は、9月にも管理規約と宿泊業・短期賃貸の関係について質問状を送付しています。しかし、当時は回答がありませんでした。
今回は状況が違います。
警察への告発、保健所・消防への対応依頼、保証会社からの回答などを踏まえ、前回より踏み込んだ送付文を作成しました。
■ 予約サイトAの募集資料44件を保存
L社が予約サイトAに掲載していたワンルームマンションの募集資料44件をPDFで保存しています。
資料には、マンション名、所在地、室内写真、間取り、利用料金、初期費用、利用条件などが掲載されています。
特に注目したのは「スーパーショートプラン」です。
利用期間は7日以上30日未満。1日単位で利用期間を指定できる仕組みです。
掲載資料では、次のような利用条件も確認できます。
- 光熱費800円/日(税抜)
- 清掃料10,000円/回(税抜)
- 火災保険料1,000円/月
- 事務手数料、保証料、寝具セット料金等
- 入居時間15時以降、退居時間10時
- 水道・電気・ガスの開栓手続きは不要
料金や条件は物件によって異なります。
入退去時間や予約受付期間まで具体的に設定された募集資料もあります。
なお、スーパーショートプランは10月15日頃、予約サイトから削除されました。
保存したのは削除前の資料です。
募集されていたことと、実際に30日未満の利用が行われたことは別ですが、どのような利用を募集していたのかは確認できます。
■ ワンルームマンションには、それぞれオーナーがいる
今回確認した物件は分譲ワンルームマンションです。
それぞれの住戸にオーナーがいます。
そこで、いくつか疑問が生じます。
**管理規約で宿泊営業は認められているのか。**
**管理規約や使用細則で転貸は認められているのか。**
**L社はオーナーと、どのような賃貸借契約を締結しているのか。**
**オーナーはマンスリーマンションとしての営業を承諾しているのか。30日未満の利用についても承諾しているのか。**
**保証会社との契約はどうなっているのか。**
転貸については、賃貸借契約だけでなく、マンションの管理規約や使用細則でも禁止・制限されている場合があります。
オーナーが転貸を承諾していても、管理規約に反する営業まで認められるわけではありません。
また、マンスリーマンションとしての利用を承諾していることと、30日未満の短期宿泊利用を承諾していることも、必ずしも同じではありません。
旅館業法上の許可の要否も、実際の営業形態に応じて確認する必要があります。
予約サイトの募集内容だけでは、こうした契約関係は分かりません。
■ 9月の質問状から状況が変わった
9月の質問状では、主に管理規約と短期賃貸の関係について確認を求めました。
その後、私はL社について警察に告発し、保健所や消防にも情報提供と対応を依頼しました。
保証会社からは、住居専用契約と異なる営業利用が判明した場合、保証契約に影響が生じることがあるとの回答を得ています。
また、予約サイトAの募集資料44件を保存しました。
そこで今回は、対象マンションごとの募集資料、竹下レポート概要版、ランドメンテナンス株式会社の回答書などを添え、建物管理会社12社に改めて送付しました。
確認した14社は次のとおりです。
ランドメンテナンス、長谷工コミュニティ九州、応和管理、コミュニティサービス、穴吹コミュニティ、日本ハウズイング、東急コミュニティー、西部ガスリビング、イオンディライト、つかさビル管理、ライフメンテナンス、えん建物管理、日本不動産管理、ベストコミュニティ。
管理規約・使用細則との整合性、管理組合による営業実態の把握、オーナーの承諾や必要な許認可の確認、理事会への報告、問題が確認された場合の対応などについて確認をお願いしています。
管理会社だけでは確認できない事項もあります。
その場合は、管理組合やオーナーへの情報提供につなげていただきたいと考えています。
■ 建物管理会社からの回答
すでに複数の管理会社から回答をいただいています。
**ランドメンテナンス株式会社**
私の所有物件がある「ロマネスク博多駅前第2」について、2026年10月9日付の回答書をいただきました。
管理規約第12条では、専有部分を専ら住宅として使用することが定められ、住宅宿泊事業としての利用も禁止されています。
さらに、使用細則第7条では、専有部分の転貸も禁止されています。
つまり、このマンションでは宿泊営業だけでなく、転貸自体が禁止されていることになります。
同社からは、反復継続して不特定多数に利用させるウィークリー・マンスリーマンション等の営業利用・宿泊利用についても、管理規約・使用細則上、認められないとの回答をいただきました。
また、規約に適合しない利用を把握した場合には、管理組合・理事会への報告、区分所有者への事実確認、利用方法の是正要請などを行うとのことです。
**株式会社長谷工コミュニティ九州**
対象マンションの管理組合理事長へ情報提供し、管理規約・使用細則を確認するとの回答をいただきました。
対象マンションでは、そもそも宿泊業が認められていないとの説明も受けています。
実際の利用状況や許認可の有無については未確認の事項もあり、現時点で適法性の判断は差し控えるとのことです。
**西部ガスリビング株式会社**
対象マンションについて、すでに理事会へ報告し、対応を協議しているとの回答をいただきました。
私が管理会社に求めているのは、旅館業法違反の認定ではありません。
まず管理規約を確認し、管理組合やオーナーが営業実態を把握できるようにしていただきたいと考えています。
■ 保証会社は他の物件も調査する可能性
私の所有物件では、L社との賃貸借契約に保証会社が利用されています。
同社に質問状を送り、2026年8月25日付で回答をいただきました。
L社から、住居専用契約と異なるマンスリーマンション営業について説明や届出を受けた事実は「ない」。
営業利用を前提として保証契約を変更・承諾した事実も「ない」。
住居専用契約と異なる営業利用が判明した場合、保証契約に影響が生じることが「ある」。
具体的な取扱いとして「契約の解除」が挙げられています。
さらに、同じ契約者であるL社の他の保証契約についても、確認や調査を実施することが「ある」と回答しています。
その内容は「物件の実態調査等」です。
今回確認した44件すべてに同じ保証会社が関与しているとは限りません。
また、他の物件についてすでに調査が始まっているという意味でもありません。
ただ、居住用の保証契約を利用して営業しているのであれば、契約内容と利用実態が一致しているかは確認が必要です。
■ ほかのオーナーも明渡しや損害賠償を請求する可能性
私の所有物件では、L社に対して明渡しと損害賠償を求める民事訴訟を提起しています。
住居用として賃貸した部屋が、私の承諾なくマンスリーマンション営業に利用されていたことが問題です。
仮に、ほかの物件でも同じように、居住用として借りた部屋をオーナーの承諾なく短期宿泊営業に利用していたとすれば、どうなるでしょうか。
契約内容や違反の程度、信頼関係の破壊の有無などによっては、それぞれのオーナーが契約解除、明渡し、損害賠償を求めることも考えられます。
L社は社員5名規模の会社です。
仮に複数のオーナーが同時期に訴訟を提起した場合、物件ごとの契約内容、承諾の有無、営業実態などについて、それぞれ対応する必要があります。
訴訟対応だけでなく、明渡しによる運営物件の減少や、保証契約の見直しなどが重なる可能性もあります。
どの程度の対応力があるのかは分かりませんが、複数の紛争が同時に発生すれば、経営上の負担は小さくないでしょう。
一方、オーナーが営業内容を理解したうえで承諾し、管理規約や関係法令にも適合している物件であれば、事情は異なります。
今回確認した44件について、すべてが私の所有物件と同じ契約内容だと判断しているわけではありません。
個別の確認が必要です。
■ 建物管理会社にもリスクがある
今回の問題について、建物管理会社にどのような法的責任が生じるのかは、現時点では分かりません。
管理会社が、各住戸の賃貸借契約や営業内容をすべて把握しているわけでもありません。
ただし、具体的な物件名と募集資料を示され、管理規約に抵触する可能性を知った後は、事情が違ってきます。
仮に、そのまま放置して問題が発生した場合、管理組合や区分所有者から、なぜ確認しなかったのか、なぜ理事会に報告しなかったのかと問われる可能性があります。
管理会社の業務範囲や管理委託契約の内容によっても異なりますが、事実を知りながら何もしないことは、各社にとってリスクになり得ます。
今回、物件別の募集資料まで添付して送付したのは、管理会社が具体的な事実関係を確認できるようにするためです。
■ 「借りて貸すだけ」で済むのか
マンスリーマンション事業には、物件を所有せず、借りた部屋を第三者に貸し出すビジネスモデルがあります。
いわゆる「借りて貸すだけ」です。
しかし、借りることができたからといって、自由に貸し出せるわけではありません。
賃貸借契約、オーナーの承諾、管理規約、保証契約、旅館業法。
それぞれ確認が必要です。
現在、L社については警察への告発、保健所・消防への対応依頼、保証会社への照会など、複数の経路で問題提起を行っています。
今後、関係機関が事実確認を進める過程で、建物管理会社やオーナーに照会が入る可能性もあります。
そのとき初めて、自分の所有する部屋がどのように利用されているのかを知るオーナーがいるかもしれません。
L社のホームページには、企業理念として「正しくありたい」と掲げられています。
「公正であること・正しき判断を行うことを第一に心がけています」とのことです。
今回の問題についても、ぜひ、その理念に沿った対応を期待したいと思います。
これまでの経緯は、マンスリーマンション問題のコラムシリーズで紹介しています。
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