225【マンスリーマンション】保証会社に質問してみた 住居用保証と実際の利用が違ったらどうなる?

227【マンスリーマンション】予約サイトに質問してみた 自己申告だけで大丈夫? 予約サイトにできること
今回は、マンスリーマンションを掲載している「予約サイト」について考えてみます。
マンスリーマンションには、専用の予約サイトが存在します。
物件を検索すると、
・所在地
・間取り
・設備
・料金
・利用期間
・空室状況
などが表示され、そのまま問い合わせや予約につながる仕組みです。
そしてサイトによっては、
「スーパーショート」
「7日以上」
「1か月未満」
といった短期の商品も設定されています。
私が今回の問題に気づいたきっかけも、まさに予約サイトでした。
■ 自分の物件を予約サイトで発見した
私は福岡市内の分譲マンションの一室を法人に賃貸しています。
ある日、その物件がマンスリーマンションとして予約サイトに掲載されていることを発見しました。
ここでは、このサイトを「予約サイトA」とします。
私が所有する物件について、私はこのような利用を承諾した認識はありませんでした。
そこで調べ始めました。
契約はどうなっているのか。
管理規約はどうなっているのか。
保証会社はどのような用途として審査しているのか。
保険はどうなっているのか。
さらに、
1か月未満の利用が設定されている場合、旅館業法との関係はどうなるのか。
消防、衛生、税務などはどうなっているのか。
一つの予約サイトで自分の物件を見つけたことから、調査が始まりました。
■ 予約サイトA・B・Cに質問してみた
そこで、マンスリーマンションを掲載している複数の予約サイトに質問しました。
ここでは、
予約サイトA
予約サイトB
予約サイトC
とします。
Aは、本件物件が実際に掲載されていたサイトです。
BとCは、本件物件そのものではありません。
本件の不動産会社L社が運用する別の物件が掲載されているサイトです。
つまり、
A=本件物件の掲載サイト
B・C=L社の別物件の掲載サイト
という関係です。
確認した範囲では、A・B・Cともに短期利用の商品設定がありました。
■ 予約サイトAは弁護士対応
予約サイトAについては、弁護士を通じた対応となりました。
個別の掲載内容などについては、裁判所からの指示等があれば回答するという趣旨の対応です。
本件はすでに裁判になっていますので、予約サイト側として慎重な対応になること自体は理解できます。
■ 予約サイトB・Cは一般的な回答
BとCからも回答をいただきました。
ただし、本件物件についての回答ではありません。
あくまで、
「一般的にどのような仕組みで掲載しているのか」
という趣旨の回答です。
回答を確認すると、掲載事業者からの申告を前提としている部分があります。
もちろん、これは予約サイトだけの問題ではありません。
多数の物件を扱うサイトが、すべての物件について、
所有者は誰なのか。
原賃貸借契約はどうなっているのか。
転貸が認められているのか。
管理規約はどうなっているのか。
必要な許認可を取得しているのか。
消防設備は適切なのか。
税務処理はどうなっているのか。
と、一件ずつすべて調査することは現実的ではないでしょう。
自己申告を利用すること自体には合理性があります。
問題は、
「自己申告だけでよいのか?」
ということです。
■ 予約サイトにもルールがある
もちろん、それぞれの予約サイトにも掲載規則や利用規約があります。
何でも自由に掲載できるわけではありません。
また、マンスリーマンション向けの保険など、業界として利用を支える仕組みも存在します。
だからこそ、
ルールがある
↓
事業者が自己申告する
↓
予約サイトに掲載される
という現在の仕組みに、
もう一段だけ確認を加えることはできないでしょうか。
■ 契約書などを添付するだけでも違う
すべてを予約サイト側で調査する必要はないと思います。
例えば、掲載事業者に簡単な自己申告チェックリストを提出してもらいます。
確認項目は、
・第三者に貸し出す権限があるか
・原賃貸借契約を確認したか
・オーナーの承諾を得ているか
・管理規約・使用細則を確認したか
・今回の利用方法に問題がないか
・掲載内容に虚偽がないか
・関係する法令や手続きを確認したか
などです。
そして自己申告だけではなく、
・賃貸借契約書
・オーナー(貸主)承諾書
・管理規約・使用細則等
を添付してもらう。
これだけでも違うと思います。
予約サイトが契約書の法的判断をすべて背負うという話ではありません。
少なくとも、
「確認しました」
というチェックだけではなく、
その基礎となる資料も保存しておくという仕組みです。
■ 短期の商品を設定するなら許認可証を確認する
さらに重要なのが短期利用です。
例えば1か月未満など、旅館業法との関係について確認が必要となる短期商品を設定する場合には、
必要な旅館業等の許認可証を提出してもらう。
予約サイト側でその存在を確認する。
そして、掲載ページに許可番号を表示する。
こうした仕組みが考えられます。
つまり、
短期の商品を設定
↓
必要な許認可証を提出
↓
予約サイトが確認
↓
掲載ページに許可番号を表示
です。
短期商品を設定しない通常のマンスリー利用と、短期商品を掲載する物件で、登録時の確認項目を分ければよいわけです。
■ 全国で統一した仕組みにできないか
基本的な部分については、予約サイトごと、地域ごとにバラバラにする必要もないと思います。
旅館業法は国の法律です。
もちろん自治体ごとの条例や運用、個々の物件の契約内容、管理規約などは別途確認する必要があります。
しかし、
「短期の商品を設定する場合には、必要な許認可を確認する」
という入口の仕組みについては、全国共通で運用することも考えられます。
■ 利用者にも分かるようにする
もう一つ大切なのが利用者です。
一般の利用者が、
マンスリーマンション
ウィークリーマンション
民泊
旅館
ホテル
の法的な違いをすべて理解しているとは限りません。
予約サイトに普通に掲載されていれば、
「予約できるのだから問題ない物件なのだろう」
と思う人も多いでしょう。
そこで、利用者向けの統一した注意喚起ページを用意します。
例えば、
・マンスリーマンションとは何か
・短期利用と旅館業法等との関係
・許可が必要となる場合があること
・許可番号の確認方法
・管理規約等による制限が存在する場合があること
・疑問がある場合の相談先
・無許可営業等が疑われる場合の情報提供窓口
などです。
各物件の掲載ページや予約画面から、
「予約前に必ずご確認ください」
として、このページへ誘導します。
■ この注意喚起ページは行政が作ってもいい
そして、この注意喚起ページを各予約サイトがそれぞれ作る必要もないと思います。
行政が全国共通の基本ページを作成する方法があります。
国や自治体が、
「マンスリー・ウィークリーマンション等を利用する方へ」
というページを作成する。
予約サイトはそこへリンクする。
そうすれば、予約サイトごとに説明内容が大きく異なることも防げます。
行政が基本的な考え方を示し、
予約サイトが利用者へ届ける。
利用者は行政の情報を直接確認できる。
この役割分担です。
■ 行政側も予約サイトを確認する
さらに、行政が情報提供を待つだけでなく、公開されている予約サイトを定期的に確認する方法もあると思います。
例えば、
・主要な予約サイトを定期的に確認する
・短期の商品が掲載されていないか確認する
・必要な許認可表示があるか確認する
・疑義があれば掲載事業者や予約サイトへ照会する
・必要に応じて関係部署と情報共有する
といった仕組みです。
当然、行政がインターネット上のすべての掲載物件を常時確認することは現実的ではありません。
だからこそ、
行政によるチェック
+
予約サイトによる登録時の確認
+
事業者による自己申告
+
利用者やマンション住民等からの情報提供
を組み合わせることに意味があります。
■ 京都市の事例から考える
京都市では、ウィークリーマンション等を称する施設について調査を行った事例があります。
行政が実際の利用状況を確認することによって、表面的な名称だけでは分からなかった問題が明らかになることがあります。
私が確認している予約サイトでも、以前確認できた短期の商品について、その後の掲載状況に変化が見られるケースがあります。
つまり、
「マンスリーマンションと書いてあるから大丈夫」
「昔から行われているから大丈夫」
というだけではなく、実際の利用方法を確認することが重要なのだと思います。
■ 予約サイト自身が行政へ情報提供してもいい
予約サイトが掲載事業者から提出された資料を確認して、
「これは少しおかしい」
と思うケースが出てくることもあるでしょう。
その場合、予約サイト自身が行政へ情報提供する仕組みがあってもよいと思います。
予約サイトが違法か適法かを最終判断する必要はありません。
判断するのは行政や司法です。
疑義のある情報を行政へ渡し、
「確認してください」
でよいわけです。
■ 会社と社員を守るためでもある
これは利用者を守るだけの話ではありません。
予約サイトという会社そのものを守るためでもあります。
そして、そこで働く社員を守ることにもつながります。
どれだけ立派な規則やコンプライアンス制度を作っても、最後に実際の掲載を扱うのは人です。
社員一人ひとりの、
倫理観
コンプライアンス意識
常識
も非常に重要です。
「規則上はこうだから」
だけではなく、
「これは本当に大丈夫なのか?」
と一度考えることができる組織であること。
そして、社員が疑問を感じたときに、上司や法務部門、行政などへ相談できる仕組みを会社が準備しておく。
それが結果として会社自身を守ることになります。
■ 万一、大きな事件や事故が起きたら
極端な例を考えてみます。
ある部屋で重大な事件が起きた。
その部屋は予約サイトを通じて利用されていた。
後から調べると、必要な許認可や契約関係などに問題があった。
こうなれば、
物件を運営していた会社だけの問題で終わるとは限りません。
オーナーはどうだったのか。
管理会社はどうだったのか。
予約サイトは何を確認していたのか。
保険はどうだったのか。
行政は把握していたのか。
さまざまな方向へ問題が広がる可能性があります。
事件や事故が起きてから、
「掲載事業者から適切だと申告を受けていました」
だけで十分なのか。
これは予約サイト自身が考えておく必要のある問題だと思います。
■ 予約サイトとの取引停止は事業全体に影響する
私は今回の件について、予約サイトという側面から考えても、どこかで話し合いによる解決になる可能性があると思っていました。
理由は単純です。
マンスリーマンション事業にとって、予約サイトは重要な集客経路だからです。
本件の不動産会社L社は、多数のマンスリー物件を運用していることを表示しています。
そして予約サイトAでは、確認した時点でL社の掲載物件が44室ありました。
仮に重大な規約違反等が確認され、予約サイトとの取引が停止されることになれば、本件の一室だけの問題ではありません。
そのサイトに掲載している多数の物件について、予約・集客に影響する可能性があります。
複数の予約サイトとの関係まで広がれば、事業全体への影響はさらに大きくなります。
だからこそ、掲載事業者にとっても、
「一室くらい大丈夫だろう」
では済まない問題だと思います。
残念ながら、現実は、そこで止まりませんでしたが。
■ 全件調査ではなく「入口」を整える
私は、予約サイトにすべての責任を負わせるべきだとは考えていません。
掲載物件が非常に多い以上、すべてについて詳細な法的調査を行うことは現実的ではないでしょう。
だからこそ、入口を整える。
掲載事業者
↓
自己申告チェックリスト
↓
契約書・オーナー承諾書・管理規約等を添付
↓
短期商品なら必要な許認可証も添付
↓
予約サイトが基本事項を確認
↓
許可番号等を掲載
↓
利用者へ統一した注意喚起
↓
疑義があれば行政へ情報提供
これなら、それほど複雑な仕組みではありません。
■ まとめ
今回、複数の予約サイトへ質問して感じたのは、
「予約サイトだけが悪い」
という単純な話ではありません。
掲載する事業者。
物件所有者。
管理会社。
管理組合。
保証会社。
保険会社。
予約サイト。
利用者。
そして行政。
マンスリーマンションという一つのサービスには、多くの人や会社が関係しています。
なにより、人の「命」がかかっています。
だからこそ、一社だけですべてを確認するのではなく、それぞれの入口で少しずつ確認する。
事業者は自己チェックする。
最低限の資料を提出する。
予約サイトは基本事項を確認する。
短期商品なら必要な許認可証を確認する。
利用者には分かりやすく情報を表示する。
行政は共通の基準や注意喚起ページを整備する。
行政自身も公開されている予約サイトをチェックする。
そして誰かが、
「これは少しおかしいのでは?」
と思ったら、行政へ情報提供する。
違法かどうかを、一般の利用者やマンション住民が立証する必要はありません。
予約サイトが最終的な法的判断をする必要もありません。
それぞれの立場から事実を確認し、疑義があれば所管する行政へつなぐ。
問題が起きてから責任の所在を探すより、
問題が起きる前に、それぞれができる確認を一つずつ重ねる。
私は、その方が現実的だと思います。
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