228【マンスリーマンション】建物管理会社に質問してみた 掲載されているんだから、できるんですよね?

235【マンスリーマンション】厚生労働省に質問してみた 旅館業法を所管する理由は「公衆衛生」
■ まず結論
厚生労働省の公表資料や通達を確認すると、次のことがわかります。
・旅館業法を所管しているのは厚生労働省
・旅館業法の目的には「公衆衛生」が明記されている
・「マンスリーマンション」という名称だけで、旅館業法の対象外になるわけではない
・旅館業か賃貸住宅かは、名称だけではなく実際の利用形態が重要になる
・生活の本拠として利用するアパートなどは、原則として貸室業・貸家業
・一方、短期間で利用者が入れ替わる営業は、旅館業に該当する可能性がある
・厚労省は過去に、マンションを1泊から1週間程度で利用させる営業について、実態によっては旅館業と判断され得ると通知している
・旅館業には、施設・寝具・衛生管理などについて一定のルールがある
・感染症への対応も、旅館業法が担う重要な役割の一つ
つまり、
「マンスリーマンションだから大丈夫」
「賃貸借契約を結んでいるから大丈夫」
「定期借家契約だから旅館業ではない」
と、名前や契約書だけで簡単に決まる話ではありません。
そこで今回は、
普通の分譲マンションの一室を使って、
「7日以上30日未満」
しかも、
「1日単位で利用期間を選択できる」
という営業について、厚生労働省にも質問状を送っています。
■ なぜ旅館業法を厚生労働省が所管しているのか?
ここが今回、一番わかりやすいポイントです。
旅館業法は、厚生労働省が所管しています。
なぜでしょうか。
理由の一つが、
「公衆衛生」
です。
旅館業法第1条にも、旅館業の適正な運営などを通じて、
「公衆衛生及び国民生活の向上に寄与する」
ことが目的として明記されています。
厚生労働省
「旅館業法の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130600.html
つまり旅館業法は、
単にホテルや旅館に営業許可を取らせるためだけの法律ではありません。
多くの人が入れ替わって利用する施設だからこそ、衛生状態を一定水準以上に保つ。
そのための法律でもあります。
■ 「公衆衛生」って何?
難しく考える必要はありません。
例えば普通の自宅なら、基本的には同じ家族が生活しています。
ところがホテルや旅館では、
今日Aさんが泊まり、
明日はBさん、
その次はCさん、
と利用者が次々に入れ替わります。
もし感染症にかかった人が利用していたらどうでしょう。
部屋だけでなく、
・廊下
・エレベーター
・ドアノブ
・共用部分
・寝具
・水回り
などを通じて、多くの人と接点が生まれる可能性があります。
新型コロナウイルスの流行を経験した今なら、イメージしやすいと思います。
実際、旅館業法には現在、特定感染症のまん延防止に関する規定も置かれています。
だからこそ、
人が短期間で次々に入れ替わる施設には、一般住宅とは違うルールがある。
私はそう理解しています。
■ 厚生労働省も「マンション」を想定している
実は厚生労働省は、かなり以前からこの問題について通知を出しています。
2000年には、
「マンション等の施設を使用する形態の旅館業について」
という、そのものズバリの通知があります。
そこでは、
「ウィークリーマンション等」と称して、
1日(1泊)から1週間程度の単位でマンション等の空室に客を宿泊させるケースについて、
実態として貸室業ではなく、旅館業と判断され得る営業があることを指摘しています。
厚生労働省
「マンション等の施設を使用する形態の旅館業について」
(平成12年12月13日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb3155&dataType=1&pageNo=1
さらに2005年にも、同じ問題について通知が出されています。
そこでは、
実態として旅館業を営んでいるにもかかわらず営業許可を受けていない事業者について、
営業実態を調査し、
無許可営業と判断されれば営業中止を指導すること、
営業を続けるのであれば旅館業法に基づく営業許可申請を行うよう指導すること、
そして悪質な事例については、
「警察当局とも連携」
して厳正に対応することが示されています。
厚生労働省
「マンション等の施設を使用する形態の旅館業について」
(平成17年2月9日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb2684&dataType=1&pageNo=1
つまり、
「マンションだから旅館業法とは関係ない」
とは言えません。
■ 「1か月」は一つの重要な境界になる。しかし、それだけではない
旅館業と賃貸住宅を考えるうえで、
「1か月」
は一つの重要な目安として扱われてきました。
厚生労働省関係資料でも、
「ウィークリーマンション(1月に満たない宿泊日数)は旅館業法の適用対象施設となる」
との整理が示されています。
厚生労働省
「生活衛生関係営業に係る近年の留意事項」
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000754645.pdf
ただし、
ここで注意したいのは、
「1か月以上なら何をやっても絶対に賃貸住宅」
という意味ではないことです。
現在の厚生労働省「旅館業法の概要」を見ると、
旅館業は、
「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」
とされています。
一方、
生活の本拠を置くようなアパートや間借り部屋などは、貸室業・貸家業であって旅館業には含まれないと説明されています。
さらに旅館業の一つである「下宿営業」は、
「1月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」
とされています。
厚生労働省
「旅館業法の概要」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130600.html
つまり、
単純に、
30日未満=旅館業
30日以上=賃貸住宅
と機械的に分ければ終わる話でもありません。
契約書のタイトルや「マンスリー」という商品名だけを見るのではなく、
実際にどのような形で利用されているのか。
ここを見る必要があるということです。
■ 宿泊業になると、何が変わる?
ここも重要です。
普通の賃貸住宅として部屋を貸すのと、
宿泊施設として営業するのとでは、
同じ「部屋を人に使わせる」行為でも制度が違います。
例えば、
・旅館業法上の営業許可
・衛生管理
・消防設備
・避難経路や非常時への対応
・玄関帳場・フロント等に関する基準
・宿泊者への対応
・消費税
・自治体によっては宿泊税
・契約関係
など、確認すべき事項が一気に増えます。
もちろん、
施設の種類や自治体、営業形態によって具体的な要件は異なります。
だから、
「部屋があるから貸せばいい」
という単純な話ではありません。
厚生労働省も、
旅館業について施設、設備、寝具、従業者の健康管理などを含む「衛生等管理要領」を定めています。
厚生労働省
「旅館業における衛生等管理要領」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tc9683&dataType=1&pageNo=1
■ ルールには理由がある
国交省の資料を調べた時にも感じましたが、
今回、厚労省の資料を調べても同じでした。
法律や規制は、
意味もなく存在しているわけではありません。
消防設備には、
火災から人を守る理由があります。
避難経路には、
非常時に逃げるための理由があります。
管理規約には、
共同住宅で生活する人たちを守る理由があります。
そして旅館業法には、
不特定・多数の人が利用する施設で、公衆衛生を守る
という理由があります。
ホテルや旅館なら、
「宿泊施設なのだから当然だよね」
と思うことでも、
普通の分譲マンションの一室で行われると、急に見えにくくなります。
しかし、
利用の実態が同じなら、発生するリスクまで消えるわけではありません。
ここが今回、私が一番疑問に感じているところです。
■ 今回、厚生労働省に質問した理由
私が確認したいのは、
「マンスリーマンションは全部ダメ」
という話ではありません。
逆です。
どこからが賃貸住宅で、
どこからが宿泊業なのか。
そして、
普通の分譲マンションで、
7日、8日、10日、15日……
と1日単位で利用期間を選択でき、
短期利用者が繰り返し入れ替わる営業について、
どのように整理するのか。
そこを確認したいだけです。
というより、
ここまで厚生労働省が公表している資料や通知を確認すると、
答えはかなり出ています。
ですから、
「明確に周知徹底してほしい」
と言うほうが正確かもしれません。
できる建物で、
必要な許可を取り、
必要な消防設備を整え、
必要な衛生管理を行い、
管理規約や契約関係も整理し、
税務上の処理も行う。
そうすればいい。
問題になるのは、
「マンスリー」
という名前を付ければ、
その確認を全部飛ばせるのか?
ということです。
厚生労働省がこれまで公表してきた法律、通知、衛生管理の考え方を読んでいくと、
なぜ旅館業法が存在するのか。
その理由はかなり見えてきます。
ルールには、理由があります。
そして、その理由の一つが、
公衆衛生。
「みんなの命や健康、安全を守る」
ということです。
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