228【マンスリーマンション】建物管理会社に質問してみた 掲載されているんだから、できるんですよね?

竹下昌成

竹下昌成

テーマ:賃貸経営実務



228【マンスリーマンション】建物管理会社に質問してみた 掲載されているんだから、できるんですよね?

■ なぜ、こんなに調べているのか?

ここ最近、私はマンスリーマンションについて、かなり調べています。

予約サイト。

保証会社。

保険会社。

建物管理会社。

管理規約。

旅館業法。

消防。

行政。

いろいろなところに質問状まで送っています。

「なんで、そこまで調べるの?」

と思われるかもしれません。

理由の一つは、非常に単純です。

こんなに儲かるなら、私もやってみたいからです(笑)。


私は不動産投資家です。

現在裁判になっている私の部屋は、不動産会社L社に月額54,500円で貸しています。

ところが、その部屋が予約サイトでは、

月額約178,000円

さらに、

初期費用約40,000円

という商品として掲載されていました。

しかも、短期利用の商品まで設定されています。

もちろん、178,000円がそのまま利益になるわけではありません。

家具・家電、光熱費、清掃費、人件費、予約サイト関係の費用、空室リスクなどがあります。

それでも、不動産投資家として見れば、

「これ、本当に適正にできるなら面白いな」

と思うのは当然です。






私は、この部屋の所有者です。

自分の物件で適正にできるのであれば、借りている会社だけではなく、所有者である私自身がやるという選択肢もあります。

だから調べています。

どういう契約ならできるのか。

管理規約上、本当にできるのか。

管理組合の承認は必要なのか。

旅館業の許可は必要なのか。

消防はどうなるのか。

そして、

「スーパーショートまで運用できる分譲マンションとは、どんなマンションなのか?」

これが知りたい。

本当に適正に運用できるマンションなら、私は新しく購入することさえ検討します。

ところが、調べれば調べるほど、

「では、現在予約サイトに掲載されている物件は、どういう整理になっているのだろう?」

という疑問が出てきました。

そこで今回は、

「建物管理会社」

に質問してみました。


■ 予約サイトでは普通に売られている

予約サイトを見ると、

「スーパーショート 7日以上~30日未満」

「1日単位で利用期間を選択できます」

「定期借家契約」

などと、普通に商品として掲載されています。

だったら私は単純に、

「このマンションでは、できるんですよね?」

と思います。

短期利用を禁止してほしくて調べているわけではありません。

「どういう条件を満たせば、私も同じ運用ができるのですか?」

を知りたいのです。


■ 建物管理会社に質問してみた

そこで、予約サイトAで不動産会社L社がマンスリー物件として掲載しているマンションについて、そのマンションを管理している建物管理会社に質問状を送りました。

質問した内容は、大きく7項目です。

① 管理規約上、7日以上30日未満などの短期利用は認められているのか

② 「定期借家契約」という形式なら、1か月未満でも通常の居住用賃貸と同じ扱いなのか

③ このような短期利用を行う場合、管理組合や管理会社への届出・承認は必要なのか

④ 実際に短期利用が行われていることを把握しているのか

⑤ 旅館業法上の営業許可や住宅宿泊事業法上の届出について把握しているのか

⑥ 入退館、鍵、オートロック、ごみ処理などについて特別な管理ルールがあるのか

⑦ 管理規約や関係法令上、確認が必要と思われる短期利用を把握した場合、どのように対応するのか

です。

違法かどうかを建物管理会社に判断してもらおうとしているわけではありません。

実際に商品として販売されている以上、

「このマンションでは、どういうルールになっているのですか?」

という確認です。


■ 11社の建物管理会社に質問状を送付

同じような方法で、予約サイトAにL社が掲載している物件について建物管理会社を調べ、11社に質問状を送りました。

ところが、

現時点では具体的な回答はほとんどありません(笑)。

もちろん、建物管理会社に私への回答義務があるわけではありません。

個別のマンションについて、外部の第三者へ回答しにくい事情もあるでしょう。

ですから、

「回答がない=何か問題がある」

と言うつもりはありません。

ただ、

インターネット上では短期利用の商品が普通に販売されている。

その一方で、

「そのマンションでは本当にできるのですか?」

という基本的なことが、なかなか見えてこない。

そこが私には不思議なのです。


■ 本件マンションでは管理会社にも電話で確認した

現在裁判になっている私の物件については、建物管理会社にも電話で確認しました。

その際、

宿泊業については「グレー」という趣旨の説明でした。

また、管理会社が把握している範囲では、そのような利用について届出のある部屋はないとのことでした。

ところが、

私がインターネット上で確認すると、私の所有する部屋以外にも、同じマンションで別の会社がマンスリーマンションとして利用している部屋を3室確認しました。

私の部屋を含めると4室です。

では、この4室はどういう整理になっているのでしょうか。


■ 本件マンションの管理規約は?

そこで、本件マンションの管理規約・使用細則を改めて確認しました。

細かな条文は省略しますが、内容を要約すると、

・専有部分は住居として使用することを基本としている

・専有部分を第三者に使用させる場合にも、管理規約・使用細則を守らせる仕組みになっている

・区分所有者だけではなく、実際に専有部分を使用する人についても、マンションのルールを守ることが前提となっている

・使用細則には、共同生活や建物管理に関する禁止事項・遵守事項が具体的に定められている

という構造です。

つまり、

「分譲マンションの一室だから、所有者や賃借人が自由に何にでも使える」

という管理規約ではありません。

マンション全体として住居利用を基本とするルールがあります。


■ でも、予約サイトでは売られている

ここが分かりにくいところです。

管理規約は住居利用を基本としている。

管理会社に聞くと、宿泊業については「グレー」。

そのような利用について届出のある部屋も把握していない。

ところが予約サイトでは、複数の部屋がマンスリーマンションとして掲載され、

「スーパーショート 7日以上~30日未満」

という商品まで販売されている。







だったら、

「できるんですよね?」

という話になります。


■ 書いていなければ、何をやってもいいのか?

ここで、非常に素朴な疑問があります。

管理規約に、

「マンスリーマンションは禁止」

と書いていなければ、マンスリーマンションとして利用してよいのでしょうか。

「ウィークリーマンションは禁止」

と書いていなければ、7日単位で利用者を入れ替えてよいのでしょうか。

私は、少し違うと思います。

そもそも管理規約は、世の中で考えられるすべての行為について、

「これは禁止」
「これは許可」

と一つずつ書くものではありません。

例えば、

「このマンションで人を殺してはいけません」

「共用廊下に放火してはいけません」

などとは、普通は書きません。

書いていないから、やってよいわけではないからです。

まず確認すべきなのは、

管理規約が定めている基本的な用途と、実際の利用方法が一致しているのか。

そこではないでしょうか。


■ 「民泊禁止」と書けば終わりなのか?

分譲マンションの短期利用というと、

すぐに「民泊禁止」という話になります。

しかし、

「民泊ではありません」

「旅館業です」

「ウィークリーです」

「マンスリーです」

「定期借家契約です」

と名称や契約形式を変えれば、住居を基本とするマンションでも何でもできるのでしょうか。

重要なのは、

「何という名前の商品なのか」

ではなく、

「実際に、その部屋がどのように利用されているのか」

だと思います。


■ 分譲マンションで宿泊業をするハードル

マンションによって細かな規定は違いますが、一般的な分譲マンションの管理規約には、

専有部分の用途を定める。

共同生活の秩序を守る。

共用部分の利用方法を定める。

第三者が使用する場合にも規約を守らせる。

といった考え方があります。

そう考えると、

一般的な住居用の分譲マンションの一室を、不特定の利用者が短期間で入れ替わる宿泊業の場所として利用することには、相当高いハードルがあるように思います。

もちろん、

「分譲マンションだから宿泊業はすべて違法」

という話ではありません。

旅館業法上の営業許可と、そのマンションでその利用が認められるかは別の問題です。

さらに、

消防、建築、原賃貸借契約、オーナーの承諾、管理規約、管理組合など、それぞれ確認すべき問題があります。


■ 実は、行政も同じように考えている

これは私だけの考え方でもありません。

行政の案内を確認しても、分譲マンションで民泊や宿泊サービスを行う場合には、管理規約や管理組合の意思を確認するという考え方が示されています。

国土交通省のマンション標準管理規約に関する考え方でも、住居としての利用と宿泊サービスとしての利用を区別して考えています。

つまり、

行政上の営業許可を取得した

だから、その分譲マンションでも営業できる

という単純な話ではありません。

行政上の許認可と、

「そのマンションで、その用途が認められているか」

は別の問題です。


■ 「民泊」だけの問題ではない

マンション管理の問題を「民泊」だけで考えると、現在のさまざまなサービスに追いつかなくなります。

旅館業。

ウィークリー。

マンスリー。

スーパーショート。

短期の定期借家。

今後、また別の名称の商品が出てくるかもしれません。

だから商品名だけを追いかけるのではなく、

「その専有部分を実際にどう使うのか」

を管理規約上明確にする方が分かりやすいと思います。


■ 建物管理会社に宿泊業を許可する権限はない

ここは重要です。

建物管理会社には、

「この部屋で宿泊業をやっていいですよ」

と許可する権限はありません。

旅館業の営業許可を判断するのは所管行政です。

また、マンションとしてどのような利用を認めるのかについても、管理会社が独断で決める話ではありません。

だから建物管理会社に、すべてを判断してもらう必要はありません。


■ 「グレー」なら、判断できるところへつなぐ

では、管理会社が短期利用を把握して、

「これはグレーだな」

と思ったらどうするのでしょうか。

管理規約との整合性については管理組合へ報告する。

旅館業法など行政上の問題に疑義があるなら、所管行政へ確認・情報提供する。

それでよいのではないでしょうか。






グレーだから何もしない。

ではなく、

グレーだから、判断できるところへつなぐ。

この仕組みが重要だと思います。


■ 「知らなかった」と「知った後」は違う

もちろん、建物管理会社がすべての専有部分の利用実態を常時把握することは難しいでしょう。

しかし、

住民から相談があった。

予約サイトへの掲載が確認された。

具体的な情報提供があった。

そうなれば、

「知った後」

の話になります。

管理規約を確認したのか。

管理組合へ報告したのか。

行政へつなぐ必要性を検討したのか。

ここが重要になると思います。


■ 建物管理会社と従業員を守るためでもある

こうした仕組みは、住民や管理組合だけを守るためのものではありません。

建物管理会社自身と、そこで働く従業員を守ることにもつながります。

もし将来、火災や重大な事件が起きれば、

「管理会社は知っていたのか?」

「住民から相談はなかったのか?」

「管理組合へ報告したのか?」

「何か対応したのか?」

と確認される可能性があります。

だからこそ、現場の管理員や担当者に難しい法律判断をさせる必要はありません。

何かおかしいと思ったら会社へ報告する。

管理会社は管理組合へつなぐ。

許認可等の疑義があれば行政へつなぐ。

「判断できないから放置する」

ではなく、

「判断できないから確認する」。

その方が会社も従業員も守りやすいと思います。


■ 管理規約を「明示型」にする

そして現実に、

「民泊ではありません」

「マンスリーです」

「マンスリー禁止とは書いてありません」

という議論が起きるのであれば、

管理規約をもっと分かりやすくすればいい。

例えば、

・住宅宿泊事業
・旅館業
・民泊
・ウィークリー
・マンスリー
・短期間で利用者を反復して入れ替える利用
・不特定又は多数の第三者へ短期滞在場所として提供する利用

などについて、

「認める」

「認めない」

「条件付きで認める」

を明示する。







私は、こうした「明示型」の方が分かりやすいと思います。


■ 禁止するためではない

これは、すべてのマンションで短期利用を禁止しようという話ではありません。

認めるマンションがあってもいい。

その場合は、

必要な許認可。

消防・安全面。

管理組合への届出。

緊急連絡先。

鍵・オートロックの管理。

ごみ処理。

など、必要な条件を明確にすればいい。

そうすれば、

住民にも、

区分所有者にも、

管理会社にも、

事業者にも、

そして投資家にも分かりやすくなります。


■ まとめ

結局、原点は、

「このマンションは何に使うマンションなのか?」

です。

住居として使うのか。

マンスリーまで認めるのか。

スーパーショートまで認めるのか。

宿泊業まで認めるのか。

条件付きで認めるのか。

それを分かりやすく管理規約・使用細則に書いておく。

そして疑義を把握したら、

管理会社だけで抱え込まず、

管理組合へつなぐ。

行政判断が必要なら行政へつなぐ。

管理会社に宿泊業を許可する権限はありません。

だからこそ、管理会社自身がすべてを判断する必要もありません。

そして、

私の部屋の家賃は月額54,500円。

L社の月額販売価格は約178,000円。

さらに初期費用は約40,000円です。

本当に、

管理規約上も、

行政上も、

安全面でも整理され、

スーパーショートまで適正に運用できるのであれば、

私もやってみたいと思います。

だって、

予約サイトでは普通に商品として掲載されているんですから。

できるはずですよね?


■ 関連コラム

203【契約違反】家賃5,500円の裁判→500万円の事件になるかも!?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5229390/

209【不動産投資】203続編 家賃5,500円の裁判。本当に約600万円事件になりました。福岡地方裁判所
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5231271/

219【マンスリーマンション】マンスリーマンションは「民泊・旅館」と違う!?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5235237/

222【マンスリーマンション】マンスリーマンションを「正常化」するには? 事故が起きる前に、それぞれができること
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236376/

224【マンスリーマンション】大手コンサル「マンスリーは借りて貸すだけ、手続き不要」ってどういう意味!?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236469/

225【マンスリーマンション】保証会社に質問してみた 住居用保証と実際の利用が違ったらどうなる?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236513/

226【マンション】隣の部屋が民泊・ウィークリー・マンスリーかも? 迷ったら行政に情報提供
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236522/

227【マンスリーマンション】予約サイトに質問してみた 自己申告だけで大丈夫? 予約サイトにできること
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236549/

\プロのサービスをここから予約・申込みできます/

竹下昌成プロのサービスメニューを見る

リンクをコピーしました

竹下昌成プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

関連するコラム

プロのおすすめするコラム

コラムテーマ

コラム一覧に戻る

プロのインタビューを読む

不動産投資の経験豊富なお金のプロ

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ神戸
  3. 兵庫のお金・保険
  4. 兵庫の不動産投資
  5. 竹下昌成
  6. コラム一覧
  7. 228【マンスリーマンション】建物管理会社に質問してみた 掲載されているんだから、できるんですよね?

竹下昌成プロへの仕事の相談・依頼

仕事の相談・依頼