128【不動産投資】借り換え2 119続編 動画16分

#247 マンスリーマンション問題 火災保険は「マンスリー専用保険」 金融庁と三井住友海上へ再照会
分譲マンションの一室を住居用として賃貸していたところ、借主の不動産会社L社が、所有者に無断でマンスリーマンションとして営業していました。
しかも約10年間です。
現在、建物明渡しと損害賠償を求めて訴訟中です。
今回は火災保険の話です。
調べてみると、通常の賃貸住宅向けの保険ではなく、「マンスリー専用」の補償制度に加入していたことが分かりました。
そこで、次の点が気になりました。
1. **引受審査**:所有者の承諾、管理規約、旅館業許可、消防設備などを確認しているのか。
2. **補償内容**:重大な火災が発生した場合、誰がどこまで賠償し、保険でどこまで補償されるのか。
3. **金融庁の監督**:こうした保険商品は、どのような審査を経て提供され、実際の運用はどう管理されているのか。
三井住友海上火災保険と金融庁には、これらの問題について質問状を送付しています。
■通常の賃貸用火災保険とは違う
賃貸住宅では、借主が家財保険や借家人賠償責任保険などに加入するのが一般的です。
家財の損害や、借主が建物所有者に対して負う損害賠償責任などに備えるものです。
しかし、今回確認された保険は違います。
2016年と2017年の保険資料には、「L社が管理するすべてのマンスリーマンション」を対象とする施設賠償責任保険などが記載されていました。
さらに、2022年10月25日付の加入証には、僕の所有する分譲マンションの702号室が個別に記載されていました。
名称は「家具付き専用補償システム」。
マンスリーマンション事業を前提とした補償制度です。
引受保険会社は三井住友海上火災保険。
施設賠償責任の補償額は、対人・対物それぞれ1億円です。
なお、この加入証の補償期間は2022年10月15日から2023年10月14日までで、現在の契約状況は確認できていません。
住居用として借りた部屋に、マンスリーマンション事業用の保険が付けられていたわけです。
■ ① 保険会社は何を確認して引き受けたのか
僕の会社は、マンスリーマンションとしての営業を承諾していません。
保証会社も、住居用契約を前提としており、営業利用について説明も承諾も受けていないと回答しています。
建物管理会社からは10月9日付で回答がありました。
不特定多数の短期利用者を反復して受け入れる宿泊営業は、管理規約上認められないとのことです。
管理会社自身も、今回の問い合わせで初めて営業実態を知ったそうです。
博多保健所に確認したところ、この部屋について旅館業法上の営業許可もありませんでした。
L社は予約サイトに「7日以上30日未満」の短期利用商品を掲載しています。
定期建物賃貸借契約という形式であっても、利用実態によっては旅館業法上の許可が必要になります。
博多保健所は現在、L社に営業実態を確認する調査票を送付しています。
所有者は承諾していない。管理規約でも認められない。旅館業の許可もない。
それでも、マンスリーマンション事業用の保険に加入していたのです。
保険会社は、何を確認して引き受けたのでしょうか。
■複数の物件をまとめて補償する仕組み
2016年と2017年の保険資料には、「L社が管理するすべてのマンスリーマンション」という記載があります。
個別の一室だけでなく、複数の物件をまとめて補償する仕組みです。
こうした包括的な保険契約では、事業者が管理する施設を一定の条件でまとめて補償対象にすることがあります。
例えば、対象物件が10室から100室、さらに1,000室に増えたらどうなるのでしょうか。
保険料はどのように計算するのでしょうか。
物件の追加や削除は、どのように管理するのでしょうか。
建物の構造や消防設備、営業許可の有無などは、物件ごとに確認するのでしょうか。
補償限度額が「対人1億円」だったとしても、その意味によって補償内容は大きく変わります。
1名につき1億円なのか。
1事故につき1億円なのか。
それとも、保険期間中の支払総額が1億円なのか。
対象物件が増えても、1事故あたりの補償限度額が変わらない契約は考えられます。
ただし、物件数が増えれば事故が発生する機会も増えます。
包括補償であれば、個々の物件の営業権限や安全性を確認する仕組みが重要になると思います。
なお、2016年・2017年の保険と、2022年の三井住友海上の補償制度は同一の契約ではありません。
それぞれの具体的な引受条件や補償限度額の適用方法は、まだ確認できていません。
■ ② ホテルの一室から火災が発生した場合
一般のホテルと比較してみます。
ホテルは宿泊施設として利用することを前提に、建物の用途や規模、構造などに応じた消防設備や避難対策が求められます。
例えば、次のようなものです。
- 自動火災報知設備
- スプリンクラー
- 屋内消火栓、消火器
- 避難はしご、避難ハッチなどの避難器具
- 非常階段、避難経路、誘導灯
- 停電時の非常用照明や消防設備の非常電源
- 消防車の進入経路、消防活動に必要なスペース
すべてのホテルに同じ設備が義務付けられるわけではありません。
しかし、宿泊施設として営業する以上、適用される基準を満たす必要があります。
建物内の設備だけではありません。
消防車が建物まで進入できる道路幅はあるのでしょうか。
はしご車が停車して救助活動を行える場所はあるのでしょうか。
消防隊が建物内へ進入する経路は確保されているのでしょうか。
建物の内部だけでなく、周辺道路や敷地の条件も消防活動に影響します。
火災で停電した場合には、非常用照明や消防設備の非常電源も重要です。
適法に営業するホテルでは、建物の用途や規模に応じて、こうした条件の確認と対策が求められます。
■分譲マンションの一室をホテルに変えたら?
一方、一般の分譲マンションは共同住宅として設計されています。
もちろん、マンションにも消防設備はあります。
しかし、共同住宅と宿泊施設では、建物の用途に応じて適用される消防法令上の基準が異なる場合があります。
通常の居住者であれば、建物の構造や避難経路をある程度把握しています。
初めて訪れた短期宿泊客はどうでしょうか。
火災が発生したとき、非常階段の場所を知っているでしょうか。
停電しても安全に避難できるでしょうか。
避難はしごや消火設備の場所を把握しているでしょうか。
さらに、分譲マンションの一室を借りた事業者が、共用部分にスプリンクラーや消火栓を追加したり、非常用電源を整備したりすることは簡単ではありません。
消防車が進入する道路を広げることも、はしご車の活動スペースを新たに確保することもできません。
営業するのは一室でも、火災時の危険は建物全体、さらには周辺の建物にも及びます。
こうした条件まで確認して、マンスリーマンション事業用の保険を引き受けているのでしょうか。
■ホテルの保険料と補償額
ホテルは消防設備だけでなく、保険にも相応の費用をかけています。
ホテル・旅館向けの保険料の試算例では、建物の火災保険だけで年間数十万円から100万円を超えるケースがあります。
賠償責任保険や休業補償などを加えれば、さらに高額になります。
大規模ホテルや高額な補償を設定した施設では、年間数百万円以上になることも考えられます。
また、ホテル向けには、施設事故による人身損害について、1事故あたり十数億円から数十億円の補償限度額を設定した団体保険の例もあります。
一方、L社の2022年の加入証では、施設賠償責任の補償額は対人・対物それぞれ1億円。
この金額の適用単位や、ほかの保険との関係については、詳細を確認できていません。
L社が実際に支払っていた保険料も不明です。
僕が気になるのは、保険料の金額そのものよりも、その算定の前提です。
適法に営業するホテルと、一般の分譲マンションの一室を利用したマンスリー営業。
建物の構造や消防設備、避難経路、管理体制は同じではありません。
それぞれの危険を、保険会社はどのように評価しているのでしょうか。
■ 失火責任法で賠償されない可能性も
仮に、この部屋から火災が発生したとします。
マンションが一棟全焼し、20人が死亡。さらに近隣の建物4棟にも類焼したらどうなるでしょうか。
損害総額が数十億円規模になる可能性もあります。
もちろん、仮定の話です。
ここで知っておきたいのが、失火責任法です。
日本では、軽過失による失火について、民法709条に基づく損害賠償責任が原則として制限されています。
つまり、火災で他人に損害を与えても、失火者に重大な過失がなければ、不法行為に基づく損害賠償責任を負わない場合があります。
一方、重大な過失がある場合や契約上の責任などは、別途検討が必要です。
また、施設賠償責任保険は、原則として被保険者が負う法律上の賠償責任を補償するものです。
したがって、被害が発生したからといって、必ず保険金が支払われるわけではありません。
■損害が発生することと、損害賠償を請求できることは別です。
さらに、法律上の賠償責任が認められても、保険の補償限度額を超える損害が発生する可能性があります。
今回のように、所有者も管理会社も承諾していない営業で火災が発生した場合はどうなるのでしょうか。
他の区分所有者や居住者は、宿泊営業が行われていることすら知らなかった可能性があります。
営業の適法性に疑義があるからといって、直ちに失火責任法上の重過失が認められるわけではありません。
しかし、通常の住居としての利用と、短期宿泊客を反復して受け入れる事業利用では、想定される危険や管理体制が異なります。
何も知らなかった周囲の住民や所有者が、十分な賠償を受けられない可能性はないのでしょうか。
■ ③ 金融庁は何を審査し、運用をどう監督しているのか
金融庁にも疑問があります。
マンスリーマンション専用の補償制度は、どのような保険商品や約款に基づいて提供されているのでしょうか。
独立した保険商品として認可・届出されたものなのか、既存の保険を組み合わせた制度なのか。
まず、その仕組みを確認したいと思います。
保険商品として適正な手続きを経ていたとしても、個々の物件について適切な引受審査が行われているとは限りません。
所有者の承諾がない物件。
管理規約で宿泊営業が認められない物件。
必要な営業許可を取得していない物件。
消防設備が宿泊営業の実態に対応していない物件。
こうした物件まで、事業者の申告だけで補償対象になるのでしょうか。
保険会社や代理店は、何を確認しているのでしょうか。
金融庁は、こうした保険商品の販売実態や引受管理を、どのように監督しているのでしょうか。
保険商品の認可・届出と、その後の個別契約の運用管理は別の問題です。
■三井住友海上と金融庁に質問状を送付
9月に三井住友海上と金融庁へ質問状を送りました。
さらに10月14日、建物管理会社、保証会社、保健所、消防署などから得られた回答を踏まえて、再照会しました。
確認したいのは、主に次の事項です。
1. マンスリー専用保険は、どのような商品設計と審査を経て提供されているのか。
2. 物件の登録時や更新時に、所有者の承諾、管理規約、旅館業許可、消防設備などを確認しているのか。
3. 複数物件をまとめて補償する場合、物件数の増減に応じて保険料、補償限度額、引受条件をどのように管理しているのか。
4. 一棟全焼や多数の死傷者、近隣建物への類焼が発生した場合、どのような補償が想定されるのか。
5. 営業の適法性に疑義があることを把握した現在、どのような確認や対応を行うのか。
10月30日までの書面回答を求めています。
■保険に加入できれば営業してよいのか
マンスリーマンション事業そのものを否定しているわけではありません。
適切な契約を締結し、必要な許認可を取得し、消防設備や管理体制を整えて営業するのであれば問題ありません。
しかし、所有者に無断で、管理規約にも反する宿泊営業を行っている疑いがある物件について、事業用保険が成立していた。
これをどう考えるべきでしょうか。
ホテルは、建物全体を宿泊施設として運営するための設備や管理に費用をかけています。
一方、分譲マンションの一室を借りるだけなら、建物全体の消防設備や維持管理費の多くは管理組合や区分所有者が負担しています。
その建物が宿泊営業に適しているかどうかは、別の問題です。
保険会社が事業用保険を引き受けたからといって、営業が適法になるわけではありません。
特に気になるのは、営業を知らなかった他の居住者や区分所有者の安全と補償です。
「勝手に他人をリスクにさらすな」
ということ。
金融庁と三井住友海上の回答が来ると良いですが。。。
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