58【不動産投資】FIRE大家FPの動画48分「不動産投資とリフォーム」

236【マンスリーマンション】観光庁にも質問してみた 予約サイトの責任はどこまで?
■ まず結論
観光庁と厚生労働省は、
マンスリーマンションなどの短期賃貸物件についても、
・原則1か月以上の滞在を予約条件として明確に表示する
・1か月未満の宿泊が行われないよう予約システム等で措置する
・旅館業法の適用に疑義があれば、地域の旅館業担当部署に照会する
などの考え方を示しています。
今回調べてわかったのは、
予約サイトは、単に物件情報を掲載するだけの場所ではない、
ということです。
では、
「事業者が自己申告しているから掲載しました」
だけで、本当に十分なのでしょうか。
今回は、
国土交通省
→ 建物・宅建業・契約
厚生労働省
→ 旅館業法・公衆衛生
に続いて、
「予約サイト」
という視点から、観光庁にも質問してみました。
■ 観光庁は「短期賃貸」の掲載方法まで示している
観光庁の「民泊制度ポータルサイト」には、
「住宅宿泊仲介業者等における短期賃貸借物件等の取扱い」
について、かなり具体的な説明があります。
マンスリーマンションなどの短期賃貸物件を掲載する場合には、
・原則1か月以上の滞在を予約条件として明確に表示する
・原則1か月未満の宿泊が行われないよう、予約システム等で措置を講じる
・短期賃貸借契約の締結を条件とする
・宿泊施設ではなく賃貸物件であることを明確に表示する
などの対応が示されています。
さらに重要なのが、
旅館業法の適用について疑義がある場合には、
「当該地域の旅館業担当部署に照会する等により必要な確認を行った上で、仲介サイトへ掲載する」
という考え方です。
観光庁・民泊制度ポータルサイト
「住宅宿泊仲介業者の業務」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/mediation/affairs.html
観光庁・厚生労働省
「住宅宿泊仲介業者等における短期賃貸借物件等の取扱いについて」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/mediation/prevention.html
ここまで読むと、
「事業者が自己申告しているから掲載しました」
だけで終わる話なのか?
私は疑問に感じます。
■ 予約サイトは「掲載するだけ」ではない
予約サイトの役割は、物件を並べるだけではありません。
利用期間を選択するシステムを作り、
料金を表示し、
予約につなげ、
利用者に物件情報を提供します。
そして観光庁自身が、違法な物件の掲載防止について、住宅宿泊仲介業者に対して、
届出番号等を確認し、
確認できない物件は掲載せず、
違法物件が確認された場合には削除する、
という仕組みを示しています。
観光庁
「違法物件の掲載の防止について」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/business/mediation/prevention.html
もちろん、
民泊とマンスリーマンションでは適用される制度が同じではありません。
だからこそ観光庁と厚生労働省は、
短期賃貸物件についても別途、取扱いを示しているのでしょう。
■ 厳しく運用している地域では、実際に営業が止まっている
京都市では2024年、
「ウィークリーマンション等」と称して宿泊の募集をしていた施設を調査し、
違法「民泊」に該当すると判断した267施設について指導。
京都市の公表資料によれば、
267施設すべてについて営業中止・撤退を確認しています。
京都市
「ウィークリーマンション等と称する違法『民泊』施設に対する指導結果について」
https://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/cmsfiles/contents/0000330/330379/mansyonkouhou.pdf
同じ法律でも、
行政が確認し、
事業者が確認し、
予約サイト側も確認する。
この仕組みが機能すれば、かなり違うのではないでしょうか。
■ 福岡市で「906件」
ここで、今回私が調べている予約サイトAを見てみます。
2026年9月24日時点で、
予約サイトAで「福岡市」を検索すると、
906件
の掲載が確認できました。
掲載されているのは、ワンルームなどの単身向けマンションの一室がほとんどです。
福岡市では、
「福岡市旅館業法許可施設一覧」をオープンデータとして公開しています。
福岡市
「いわゆる民泊」を利用する方へ
(福岡市旅館業法許可施設一覧へのリンクあり)
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/hokensho/kurashinoeisei/news/iwayuruminnpaku/iwayuruminpakuworiyousurukatae.html
私が現在裁判中の物件については、
旅館業の許可を確認できていません。
また、
物件には「宿泊施設」であることを示す掲示・表示もありません。
ただし、
「906件が無許可営業である」
と言っているわけではありません。
その他の予約サイトAに掲載されている福岡市内の物件については、
旅館業の許可があるのか、
住宅宿泊事業法による届出があるのか、
通常の賃貸借として運用されているのか、
裁判中の物件以外の、予約サイトAに掲載されている福岡市内の物件については、すべてを個別に照合・確認したわけではありません。
ここは明確に区別しておきます。
■ でも、影響するのは906室だけではない
ここで、いつものように規模を考えてみます。
仮に、
906室がそれぞれ別のマンションにあり、
1マンションの総戸数を40戸
と仮定すると、
906室 × 40戸
=36,240戸
です。
さらに単純化して、
1戸につき
入居者1人
+
区分所有者1人
とすると、
36,240戸 × 2人
=72,480人
約7万2,000人です。
もちろん、これは実際の影響人数ではありません。
規模感を見るための仮定による試算です。
しかし、
一つの予約サイトの掲載基準やシステム設定が、
理論上これほど多くの住民や区分所有者と関係し得る。
そう考えると、
予約サイトの責任は決して小さくないと思います。
■ 厚生労働省の「公衆衛生」から考えると、もっとわかりやすい
前回のコラムで、
なぜ旅館業法を厚生労働省が所管しているのか?
について書きました。
理由の一つが、
「公衆衛生」
です。
普通の住宅では、基本的に同じ人が生活します。
一方、宿泊施設では、
今日Aさん、
明日はBさん、
その次はCさん、
というように利用者が入れ替わります。
感染症が発生した場合、
部屋だけではなく、
廊下、
エレベーター、
エントランスなど、
他の居住者が利用する共用部分にも接点が広がります。
しかし、
普通の分譲マンションの一室なら、
外見は普通の住宅です。
実は福岡市では、
住居などと旅館業施設が混在する建物の場合、
旅館業の営業施設であることが周囲にもわかるよう、
「客室の玄関付近」
だけでなく、
「集合郵便受箱」
にも、
・旅館業の営業施設である旨
・営業施設名
・緊急連絡先
を掲示することが求められています。
しかも、
「宿泊者の他に近隣住民も容易に確認できる場所に掲示すること」
とされています。
福岡市
「旅館業法に基づく許可申請及び届出の手引き」
https://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/iyakumu-eisei/life/kurashinoeisei/documents/ryokangyounimotodukutebiki_R0411.pdf
これは非常にわかりやすい仕組みです。
福岡市のルールに従って掲示されていれば、周囲の住民からも「ここは旅館業施設なんだ」と確認できます。
逆に、
必要な許可を受けず、
こうした掲示もないまま短期利用が繰り返されていたら、
住民から見ても、
普通の入居者なのか、
短期利用者なのか、
簡単にはわかりません。
一方、
予約サイトには、
物件所在地、
利用期間、
募集条件などの情報が集まっています。
だからこそ、
予約サイトの掲載基準や確認、
システム設定には、
大きな意味があるのだと思います。
大事なことなので、再度言いますが、新型コロナウイルスの時を思い出せば、
なぜ公衆衛生という考え方が必要なのか、
非常にわかりやすいと思います。
■ 観光を推進することと、ルールを守ることは両立する
観光庁ですから、
当然、日本の観光を発展させることは重要な仕事です。
インバウンドも重要です。
宿泊施設も必要です。
民泊という仕組みも必要でしょう。
しかし、
観光客を増やすことと、
そこで生活している住民の安全や生活環境を守ることは、
どちらか一方を捨てる話ではありません。
できる建物で、
必要な許可や届出を行い、
消防設備を整え、
衛生管理を行い、
管理規約や契約関係を確認し、
税金も適切に処理する。
その上で営業すればいい。
私はそれだけの話だと思っています。
■ 今回、観光庁に質問した理由
私が観光庁に確認したいのは、
予約サイトが、
どこまで確認する必要があるのか。
という点です。
特に、
「7日以上30日未満」
「1日単位で利用期間を選択できる」
という商品を、
普通の分譲マンションの一室について大量に掲載する場合、
本当に事業者の自己申告だけでよいのか。
旅館業法の適用について疑義がある場合、
誰が確認するのか。
行政なのか。
営業者なのか。
予約サイトなのか。
あるいは、それぞれなのか。
観光庁と厚生労働省はすでに、
短期賃貸物件を仲介サイトに掲載する際の考え方を示しています。
だから私は、
新しい規制を作ってほしいと言っているわけではありません。
すでにあるルールを、
明確に周知し、
必要なら確認し、
適切に運用してほしい、と願っています。
観光を推進することは大切です。
予約する人も大切。
営業する人も大切。
しかし、
そのマンションには、
今日も普通に生活している人がいます。
観光客は数日で帰ります。
住民は、そこで生活を続けます。
一つの予約サイトが社会に与える影響は、
思っている以上に大きいのかもしれません。
だから、
ルールを確認して、
できる場所で、
必要な手続きをして営業すればいい。
少し厳しい言い方をすれば、
「勝手に他人をリスクにさらすな」
ということです。
■ 関連コラム
219【マンスリーマンション】マンスリーマンションは「民泊・旅館」と違う!?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5235237/
221【相続・不動産投資】純資産2億5,500万円 20年後に約4億円の差 「不動産の複利」やる?やらない?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236046/
222 マンスリーマンションを「正常化」するには? 事故が起きる前に、それぞれができること
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236376/
224 大手コンサル「マンスリーは借りて貸すだけ、手続き不要」ってどういう意味!?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236469/
225【マンスリーマンション】保証会社に質問してみた 住居用保証と実際の利用が違ったらどうなる?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236513/
226【マンション】隣の部屋が民泊・ウィークリー・マンスリーかも? 迷ったら行政に情報提供
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236522/
227【マンスリーマンション】予約サイトに質問してみた 自己申告だけで大丈夫? 予約サイトにできること
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236549/
228【マンスリーマンション】建物管理会社に質問してみた 掲載されているんだから、できるんですよね?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236560/
229【マンスリーマンション】保険会社と金融庁に質問してみた 「低リスク」って誰にとって? 他人の命と財産の重さ、わかってる?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236573/
230【マンスリーマンション】福岡市宿泊税課に質問してみた 短期利用の宿泊税はどうなる?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236600/
231【マンスリーマンション】宅建協会と福岡県宅建課に質問してみた 住居専用で契約して、最初からマンスリー営業?
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236642/
232【民泊・マンスリーマンション】普通の分譲マンションでやる必要ある? できる建物でやればいい
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236661/
233【マンスリーマンション】警察にも相談してみた 行政の通達には「警察と連携」
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236692/
234【マンスリーマンション】国土交通省に質問してみた 宅建業の監督と「7日以上30日未満」の短期利用
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236761/
235【マンスリーマンション】厚生労働省に質問してみた 旅館業法を所管する理由は「公衆衛生」
https://mbp-japan.com/hyogo/fp-takeshita/column/5236768/


