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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

喫煙で筋骨格系も損傷?

2017年12月12日

テーマ:たばこの害

コラムカテゴリ:医療・病院

喫煙で筋骨格系も損傷?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘喫煙で筋骨格系も損傷?’という報告です。
 米・Womack Army Medical Centerの研究者らが、米国陸軍兵士を対象に喫煙およびトレーニングに関連した筋骨格系損傷についてメタアナリシスを行った結果、喫煙者では非喫煙者に比べて筋骨格系損傷のリスクが約30%高いことが分かった。
喫煙強度とリスクの高さが関連
 米国軍人における喫煙率は約35%と、一般人口(民間人)の喫煙率(約19%)と比べて高く、以前から問題視されている。また、筋骨格系損傷はランニングや軍事訓練などに関連して発症し、特に軍人の間では共通の問題である。喫煙は、骨強度を低下させることにより筋骨格系に影響し、回復を遅らせるといわれている。
 筋骨格系損傷についての過去の研究では、危険因子としての喫煙には複合的なエビデンスが見られた。そこで同氏らは、2016年10月までに発表された文献を検索、レビューを行い、米国陸軍の軍事訓練に関連した筋骨格系損傷における喫煙の影響を検討。
その結果、男女とも非喫煙者に比べて喫煙者で筋骨格系損傷のリスクが高かった〔危険率:男性1.31倍、女性1.23倍〕。さらに、喫煙強度と筋骨格系損傷リスクの高さには関連が見られ、喫煙強度が低い人に比べて、高い人ではリスクが高いことも分かった。最も喫煙強度が高い人の危険率は、男性で1.84倍、女性で1.56倍に上った。今回の研究では、どの程度の喫煙期間が筋骨格系損傷リスクに影響を及ぼすかについては明確には示されなかったが、数カ月間の喫煙でもリスクは増大していたという。
 同氏は「今回の研究により、喫煙がトレーニングに関連する筋骨格系損傷の中等度の危険因子であること分かった。喫煙はトレーニング関連の損傷リスクを約30%増加させており、喫煙を継続すればリスクはさらに上がる。全ての人ができるだけ早期に禁煙するよう推奨する」と述べている。
 今回の研究は陸軍兵士におけるトレーニングに限定されているが、一般成人の高強度の運動においても喫煙は筋骨格系外傷の中等度リスクとなる可能性があるという。
 喫煙の弊害は今までも様々取り上げられて来ましたが、筋肉や骨格系にも損傷を起こしやすいというの少し驚きです。ここでも報告されている様に喫煙の継続でさらにリスクが上がるといのであればやはり、なるべく早く禁煙することが肝要の様です。

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