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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

暑い時の水分補給には何が良いのか?

2018年8月4日

テーマ:医療マメ知識

コラムカテゴリ:医療・病院

暑い時の水分補給には何が良いのか?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘暑い時の水分補給には何が良いのか?’という報告です。

 高温環境下で運動するときの水分補給には、スポーツドリンクと経口補水液のどちらが良いのだろうか―。米・University of Montanaの研究者らは、健康な男性10人を対象とした研究で、39℃の高温環境下で運動する際に、市販のスポーツドリンクまたは経口補水液のいずれかで水分を補給した場合の脱水率や代謝への影響を比較検討。その結果を報告した。これまで運動時の水分補給源としてスポーツドリンクと経口補水液を直接比較した研究はなかったという。そこで、同氏らは今回の研究で、高温環境下での運動時に1回のみ水分補給する場合のスポーツドリンクと経口補水液の効果を比較検討した。

 対象は、平均年齢が22.5歳の健康な成人男性10人。平均体重は82.2kg、平均身長は182cm、平均体脂肪率は14%だった。全員が耐熱耐炎性繊維の消防服を着用し、室温39℃、湿度30%の部屋で90分間の運動を2回行った。いずれの回も45分間の運動を行った後10分間休憩し、このときにスポーツドリンクまたは経口補水液のいずれかで水分補給した。90分間の運動の後は30分間、安静を保った上で体重測定や血液検査などを行った。その結果、発汗率および脱水率のいずれについても、スポーツドリンク群と経口補水液群の間に有意差は認められなかった。また、尿比重や尿量も両群間に有意差はなかった。運動後のヘモグロビン値は両群で有意に上昇していた。

 以上を踏まえ、同氏らは「経口補水液はナトリウム濃度がスポーツドリンクのほぼ3倍といった違いがあるが、どちらで水分補給しても消防服を着て高温環境下で運動した際の身体の水分バランスに差はなかった」と結論。また、その理由について「高温環境下で運動する際に分泌される抗利尿ホルモンの影響がスポーツドリンクと経口補水液のわずかな成分の違いによる影響を打ち消しているからではないか」と考察し、「このような状況下で運動する場合の水分補給では、飲料の成分よりも摂取量の方が水分バランスを維持する上で重要である可能性がある」との見解を示している。

 今シーズンの暑さは例年に比べてかなり厳しく積極的な水分摂取が勧められていますが、スポーツドリンクでも経口補水液でもあまり大差無く、水分摂取量の方が問題のようです。

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