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佐藤浩明

消化器内科専門医で「内視鏡検査」のプロ

佐藤浩明(さとうひろあき) / 内科医

さとうクリニック内科・消化器科

コラム

肥満者は低脂肪食で余命延長?

2017年12月13日

テーマ:長生きの秘訣

コラムカテゴリ:医療・病院

肥満者は低脂肪食で余命延長?

おはようございます。福島市 さとうクリニック内科・消化器科の佐藤です。今朝は‘肥満者は低脂肪食で余命延長?’という報告です。
 肥満の人は低脂肪で飽和脂肪酸の摂取量を抑えた減量食を実践すると、運動の有無にかかわらず余命が延長する可能性のあることが新たな解析で示された。低脂肪食による食事介入で肥満成人の全死亡リスクは18%低減し、介入を行わなかった場合と比べて死亡例が1,000人中6例減ることが分かった。

 論文共著者の一人、英アバディーン大学の研究者は「肥満の人は低脂肪食によりカロリー摂取量を減らして減量すると、早期死亡リスクが低減できるようだ」と述べている。同氏らの研究チームは、肥満の成人を対象にさまざまな減量法が全死亡や心血管死、がんによる死亡のほか、心血管疾患やがんの発症に及ぼす影響を調べるため、これまで発表されている文献のレビューを行った。

 その結果、低脂肪食による介入で肥満者の全死亡リスクが18%低減することが分かった。また、別の解析から低脂肪食による介入で肥満者の心血管死リスクが7%、同じくがんによる死亡リスクが42%低減することも示された。今回、運動の有益性について、同氏は「減量食による介入は、確かに運動だけを行うよりも効果は高いが、運動は長期にわたって体重を維持したり、減量以外にも多くの利点があることは明らかだ」とコメントしている。

 この研究結果について、専門家の一人で米National Jewish Healthの研究者は「今回の研究では示されなかったが、減量により肥満者の全死亡率が低下することにはがんや心疾患のリスクが低減することが密接に関連している可能性が高い」と指摘しつつ、「早期死亡のリスクを低減させ余命を延長するには減量だけでなく、食生活の改善やストレスの緩和、社会的支援など多くの側面からの対策を組み合わせて行う必要がある」と述べている。
 
 最近はどちらかと言うと脂肪制限より糖質制限に重きが置かれがちですが、今回の報告では肥満者に関してはやは低脂肪食のよる減量で余命延長に効果があったという結果です。まあ、糖質制限にしろ脂質制限にしろ食生活の改善による減量が余命延長に効果があるのはある意味、言うまでもない事かも知れませんね。
               
17.12.12 birthday

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